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BiSH、かの悪名高きフェスで同じ曲6連発からはじまる壮大な演出劇

BiSH、かの悪名高きフェスで同じ曲6連発からはじまる壮大な演出劇の画像1
BiSH 公式サイトより

 数を数えておくべきだったと、毎年この時期になると必ず思うのだ。

 趣味でもあるし、今はそいつが立派、かどうかは別であるがそれでもショウムライターとしての執筆業の一環としてライブレポと言う項目が存在し、即ちおっさんはライブに行く事が趣味と実益を兼ねる様になったのである。我が脳内に於ける則巻アラレはうほほーいと言っていますしそう考えていると言う事は今年のライブに出向いた回数は数えておりませんと言う事です。

 さて置き、年末である。皆人一様に仕事勉学遊びに飲みにと〇〇締めや〇〇納めに奔走している今日この頃であろう事だが、おっさんのフェス締めなるものは先日代々木第一体育館にて行われたBiSH FESになりそうであったので、こらあ書いとかなきゃなるめえような心持ちである訳だ。執筆当日12月27日、明日からはカウントダウンジャパンですね。行かれる方はお楽しみ下せえよう。

 しかしのしかし、そこはかの悪名高きBiSH(つうかWACK)であり、それはこの場合に於いては賛辞の言葉となる訳であって、「フェス」と銘打たれておきながら出演者として発表されたのは第1弾BiSH 第2弾 BiSH 第3弾 BiSHそして主催者BiSHと、BiSHしか出演しない「フェス」である事が明言されていた。とは言え実はこれ遡る事2015年9月6日に渋谷WWWにて行われたBiSH FES(こちらの出演者もBiSHのみであった)の、言わば再演とも取れる内容であったので、まあ許容の範囲……ではあるにせよ、あるにしてもだ。まさかこんなんを代々木第一体育館の場でもぶちかまして来るとは。ううむ、痛快。

 定刻を少々過ぎた所で場内暗転、最初のアクトであるBiSHの登場だ。所謂スク水(の下にギンギラギンのタイツ的なものを着用)を模した衣装の6人と言う、こちらも7年前の再演である事を思わせる粋な計らいである。間髪入れず鳴り響く軽快かつ力強い快速スネアロール。「BiSH -星が瞬く夜に-」によってフェスは高らかにその幕を開け、曲が終わるや否や間髪入れず鳴り響く軽快かつ力強い快速スネアロール。「BiSH -星が瞬く夜に-」によってフェスは高らかにその幕を再び開け、そして曲が終わるや否や間髪入れず鳴り響く軽快かつ力強い快速スネアロール。「BiSH -星が瞬く夜に-」によってフェスは高らかにその幕を再び開け、更に曲が終わるや否や間髪入れず鳴り響く軽快かつ力強い快速スネアロール。「BiSH -星が瞬く夜に-」によってフェスは高らかにその幕を再び開け、続いて曲が終わるや否や間髪入れず鳴り響く軽快かつ力強い快速スネアロール。「BiSH -星が瞬く夜に-」によってフェスは高らかにその幕を再び開け、その上曲が終わるや否や間髪入れず鳴り響く軽快かつ力強い快速スネアロール。「BiSH -星が瞬く夜に-」によってフェスは高らかにその幕を再び開け、BiSHの出番は終わった。同じ曲を執拗に繰り返しパフォーマンスする手法もこれまた伝統芸的なヤツであるのだが、まさかこんなんを代々木第一体育館の場でもぶちかま(以下略)。

 正しく申し上げればこの6連発の全てが間髪入れずではなく、曲間や曲中にMCを挟んだり、歌割りが変わったり、振り付けがあったり、それを放棄したり、はたまた振り付けがヘドバンのみに変わっていたりと、きちんと1曲ごとに視覚的なアレンジが施されており、これがなかなかどうして見応えがあり、カッコ良かったのである。

 そして結果最後となった6回目では軌跡を振り返るかの如く、過去のライブパフォーマンスをバックスクリーンに投影し、BiSHの今昔を共演させると言う演出が。それまでの5回がこの為の壮大でタチの悪い前フリだったとしたらと考えると空恐ろしくなるくらい、その演出は感動的であった。

 斯様にして呆気なく術中にハマるおっさん。続くアクトのBiSH以降曲が繰り返し演奏される事はなかったが、ファン投票で一位に輝いた衣装でのパフォーマンスとなった第2幕、映像を巧みに使いながらの第3幕、バンドを従え人気曲を畳み掛けて行った第4幕と、結果本当にBiSH以外の出演者がステージに登壇する事のないまま、にてフェスは大団円となった。のにも関わらず当フェスは確かに「フェス」であった。それは単純にグループの輝かしくも泥臭い軌跡を祝う祭典、と言う意味合いでのフェスティバルでもあったし、それより何より、1~4幕それぞれの演出の幅広さや濃さのそのいずれにも華麗に適応し立ち回ってみせるグループのアイドルとしての強さであり、そしてそのいずれもを背負ってこなしてそれでいてなお濃厚に匂い立つ個々の演者としての強さを存分に味わう事の出来る、BiSHと言うアイドルが持ち得るダイバーシティの全部乗せ=「フェス」と称するのが1番相応しいとおっさんは思うのである。

 なので12月28日カウントダウンジャパン2022初日メインステージのトリを張るBiSHには是非ともそこで「BiSH -星が瞬く夜に-」の6連発をかまして頂きたいと言う事は多分起こらない訳だがあながちそうとも言い切れない、そんな「普通」の「アイドル」が持ち得る事の出来ない「ダイバーシティ」こそが、自身のみが出演するライブを「フェス」たらしめる事が出来たのであろう。

 果たしてBiSHはカウントダウンジャパンの大トリで同曲を繰り返すと言う暴挙に打って出るのか否か、読者の皆様に是非とも確認に行って頂きたい気持ちであるし、同ステージにて“その前に出るバンド”も楽しんで頂ければおっさんは更に嬉しい(笑)。

 

 

庄村聡泰(コラムニスト・スタイリスト)

ロックバンド[Alexandros]のドラマーとして2010〜21年に活動。バンド時代の収入ほぼ全てを注ぎ込むほど傾倒した音楽や洋服を中心に、映画やマンガ、アニメやグルメ、世界各地の珍スポットなどのさまざまなカルチャーに精通し、これらの知識と経験を生かしてライフスタイル提案型ファッションブランド「スナック NGL」を始動。また、歌劇な過激団 @furaku_taru の制作総指揮を務めるなどプロデュース活動や、#サトヤスタイリングとしてファッションスタイリングや、#ショウムライターとして音楽や映画をはじめさまざまなメディアでインタビューやコラムを執筆。自ら映画にも出演するなど精力的な活動を広げている。 #サトヤスタイリング #ショウムライター インタビュー

Twitter:@shomurasatoyasu

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しょうむらさとやす

最終更新:2022/12/28 18:00
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