阪神タイガース、「阪急出身」オーナーへの交代劇に見え隠れする闇
#阪神タイガース
プロ野球・阪神タイガースの杉山健博球団新オーナーが12月21日に就任会見を開いたが、現場は「阪急タイガース化」のワードに過剰なまでに反応している。
「阪急出身者ということを全く意識していない。特別な狙いもない」
開口一番、このように語ったのは杉山オーナーその人だった。今月初旬、「スポーツニッポン」に阪急電鉄出身者である杉山氏のオーナー就任が報じられると、球団や親会社の阪神電鉄社内は大混乱に陥った。
「歴史的にもな、阪急と阪神は相反するライバル企業やったわけやんか。それが2006年の村上ファンド事件で阪急が阪神を子会社化して守ったのはええけど、とうとう阪急が球団にも乗り込んできよったっちゅうわけよ。そら阪神側からしたら気分はええことないわな」(球界関係者)
今までは阪神電鉄の会長が球団オーナーを兼任し続けた。現電鉄社長の秦雅夫氏も来年4月1日付で会長職に昇格することも決まった。ところが今回は、球団オーナーは杉山氏、球団の代表権は阪神出身者の秦氏が保有し続ける。わざわざオーナーと会長が職務を分担するほど互いに多忙な身でもない。杉山オーナーは「(職務の)棲み分けを敢えてやる必要はない。協力し合うということ」と二人三脚体制を強調するが、具体的な話には言及していない。
その謎を解く鍵は21日、球団から報道各社に配られた1枚のお知らせに隠されていたようだ。
「リリースには12月21日付で藤原球団オーナーの退任、杉山氏の取締役オーナー就任、秦氏の球団代表取締役就任が載っていたが、なぜか順番は藤原氏、杉山氏、秦氏になっている。言い換えれば会長の秦氏よりもただの取締役の杉山氏のほうが会社組織として上に位置付けられているということ。ここに今回の闇が隠されている。肩書きは横に置いておいて、杉山氏がイニシアティブを取ることが明確なのです」(在阪テレビ局関係者)
つまりは、二人三脚体制や阪神が球団の代表権を保有することも「全ては他のプロ野球11球団や阪神側への体裁を保つだけのためで、実効支配は阪急側が完全に握ったということ」だという。
「今までは見えないところで球団を含む阪神側は阪急側に忖度して動いていたが、今後は目に見える形で阪急側の意向が優先させられるということ。何よりも阪神球団を実際に運営する役員は先導役が多いため、誰の意見を優先させて運営しなければいけないか、かなり迷うのではないか」(同)
改めて会社組織の怖さが世間に露呈した交代人事だろう。
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