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『silent』TVer記録更新で加速するテレビの「配信サービス」シフト  “課金慣れ”したユーザーを狙い撃ち

『silent』TVer記録更新で加速するテレビの「配信サービス」シフト  課金慣れしたユーザーを狙い撃ちの画像1
『silent』(フジテレビ系)より

 12月22日放送の最終回の平均世帯視聴率が9.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と番組最高を記録し、有終の美を飾ったフジテレビ系ドラマ『silent』。2022年10月クールで最大の話題となった同ドラマだが、特筆すべきは視聴率よりもTVerの再生数だ。

 第1話で443万回再生され、歴代フジテレビ全番組における最多再生回数記録を塗り替えると、第2話の489万回でその記録を更新。第4話では582万回を叩き出し、再度記録を更新した。また、TVerでのお気に入り登録者数は200万人を超え、全番組最多(12月23日現在)となっている。

「視聴率は2ケタを超えておらず、TVerで見る視聴者のほうが多かった作品であることは間違いない。この『silent』のヒットのおかげもあり、今後はTVerや各局の配信サービスでドラマを視聴する人がどんどん増えていくのではないかと予想されています」(テレビ局関係者)

 昨今はネットでの有料動画配信サービスにも力を入れている民放各局。その影響もあってか、ドラマ放送枠が増加傾向にある。

「プライムタイムはもちろん、深夜帯でも多くのドラマが放送されています。一時期、深夜アニメが増加したときのような雰囲気がありますね。配信で売り上げを出すには、バラエティ番組よりもドラマのほうが力が強いので、この傾向は今後も続いていくと思います」(同)

 民放各局は、より効率的にドラマに課金させるシステムの構築に躍起になっているという。

「人気ドラマのスピンオフをネットのみで配信するというケースはかなり増えています。また、第1話をネットで先行配信することで、配信サービスの有料会員を増やすというパターンもありますね。地上波のドラマで売り上げを出すには、放送後の配信が基本となるのですが、先行配信であれば“前金”を受け取れるというわけです。これは出演者の熱心なファンをターゲットにした方策ですが、ドラマの内容に関係なく売り上げが見込めるという点で、局としてもメリットが大きいと言えるでしょう」(同)

 地上波のドラマと言えば、基本的に幅広い層に向けた作品が多いはずだが、今後はよりコアな層に向けた作品も増えてきそうだという。

「地上波ドラマを楽しんでいる視聴者は、あまり映像コンテンツにお金を払う習慣がない人が多い。でも、深夜帯のドラマなどを見ると、ボーイズグループやアイドル、若手俳優を起用しているケースが多く、そういったファンは、普段の“推し活”のなかでお金を使うことに慣れています。

 つまり、“課金慣れ”している視聴者をターゲットにすることで、有料のネット配信サービス加入者を増やそうとしているんです。コアなファンであれば、推しが出演するドラマを見るために月額1000円くらい払うことなんて、当たり前のことですからね。別に地上波でドラマを観てもらう必要なんてなくて、そういった層にお金を使ってもらうことが目的となりつつあるんです」(同)

 近年はあまり景気のいい話が聞こえてこないテレビ業界だが、今後はドラマを軸に進んでいくのだろうか。

「すでにバラエティ番組は減少傾向にあり、その代わりのドラマ枠が増えています。スポーツの中継なども放映権にお金がかかるので減っている。また、深夜ドラマなどはもちろん低予算なんですが、お金をかけずに作るノウハウが完成されつつある現状もあります。クオリティについてはなかなか厳しい部分はあるものの、出演者のコアなファンを狙うのであれば、それでもOKという現実もあり、ひとまずはドラマ増加の傾向は続いていくと思いますね」(同)

 テレビ番組表からバラエティが消え、ドラマとニュースばかりになっている──2023年には、そんな状況があるかもしれない。

田井じゅん(エンタメウォッチャー)

1985年生まれ。神奈川県出身。専門学校在学中より、ミニコミ誌やフリーペーパーなどでライター活動を開始。一般企業への就職を経て、週刊誌の芸能記者に転身。アイドル業界や音楽業界を中心に、その裏側を取材中。

たいじゅん

最終更新:2022/12/24 19:00
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