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日刊サイゾー トップ > カルチャー > 映画  > “題場面”でアメリカが分断!?
今週の『金曜ロードショー』を楽しむための基礎知識㊵

『ホーム・アローン2』に潜む“問題場面”で抗議が勃発

『ホーム・アローン』あの泥棒たちがトイレに頭を突っ込んで爆発!!

 一作目では泥棒コンビのダブルを演じたスタントマンが、必要以上に派手にすっころんで階段から落ちたり、滑って転んで地面に頭をぶつける。下手すれば大けがしたり、命に係わるようなオーバーアクションである。子供向けのコメディ映画なのに頑張りすぎじゃない?

 しかしこの過剰なリアクション演技は、当時のスタント業界に衝撃を与えた。スタントマンは「『ホーム・アローン』のスタントをやった」といえばどこの現場でも持て囃されたという。

 これがもし「イテッ」とかいうだけで動きの少ないアクションだったら、この映画はバカ受けしただろうか。子供向けのヒーロー番組だって悪役が派手にやられてくれるから、見ている視聴者は拍手喝采を主役に送るのだ。

「主役の活躍以上に悪役のやられ方が重要」というヒーローものの本質を『ホーム・アローン』は捉えている。この『2』でも前作以上に、泥棒コンビが情けなく惨めにやられ派手に吹っ飛ぶので、観客は腹を抱えて大笑い。トイレに頭を突っ込んで爆発(どういうシーンなのかは、ぜひ放送を見て欲しい)するところなんて涙が出るほど笑ってしまった。

 そんな爆笑映画『ホーム・アローン2』にはある問題場面がある。それは序盤、ケビンがプラザ・ホテルに泊まる場面で通りすがりの男に「ロビーはどこ?」と聞くと男は「そこを曲がって左だ」という。

 この男はドナルド・トランプ。後のアメリカ大統領。撮影当時、トランプはプラザ・ホテルのオーナーで、映画のスタッフはホテルでの撮影許可を得ようとした際、トランプに「その代わりに映画に出してくれ」とバーターを持ち掛けられ、実現となった。

 時間にしてたった7秒の、なんてことのない場面だが、後にこのシーンは問題になった。トランプ元大統領が数々の問題発言で批判されるようになると、このシーンも問題視され、映画から出演シーンを削除しろと抗議が起きている。思い切ってジョー・バイデン大統領に差し替えろという意見も。そんな無茶な。

 2019年にはカナダでテレビ放送された際、出演シーンがカットされてしまい、元大統領の息子や支持者がSNSで抗議する事態に。放送枠の尺の都合上、カットされただけなんだけど。ほんの数秒だし、カットしてもしなくても映画の内容には影響がない。ちなみに主演のカルキンも「トランプ削除」には同意の意見を示している。

 トランプ元大統領といえば、コストカット政策で知られてたけど、自分の出演シーンもカットしてはいかが?

 

しばりやトーマス(映画ライター)

関西を中心に活動するフリーの映画面白コメンテイター。どうでもいい時事ネタを収集する企画「地下ニュースグランプリ」主催。

Twitter:@sivariyathomas

しばりやとーます

最終更新:2022/12/23 19:00
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