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『盛ラジオ』が可視化した芸人の“盛りトーク”、関係者が明かすバラエティーの実態

『盛ラジオ』が可視化した芸人の盛りトーク、関係者が明かすバラエティーの実態の画像1
『盛ラジオ』(テレビ東京系)公式ホームページより

 テレビのトークバラエティ番組を見ていると、出演者から次々と爆笑エピソードが飛び出し、芸能人のトークスキルに驚かされるもの。でも、あれがもしも“ウソ”だったら──。

 そんなテーマで作られた番組が、10月から12月にかけて6回放送された『盛ラジオ』(テレビ東京系)だ。この番組は、「うまく使えば人々を笑わせるテクニックであるが、やりすぎると毒になる“盛り”がどの程度行われているのかを検証」(番組HPより)するというテーマで、その検証方法は、なかなかに手が込んでいた。

「出演者はロケに出かけ、その内容を“ロケで起きたことを話すラジオ番組”で話し、番組はSpotifyで放送されます。しかし実際にはロケの様子は映像で収録されており、『盛ラジオ』ではその内容を逐一検証。ラジオで話したことが本当か、あるいは盛っているかが明らかにされるんです。出演したのは三四郎、鬼越トマホーク、錦鯉、アルコ&ピースなどですが、内容は高く評価され、ギャラクシー賞の2022年11月度月間賞を受賞しました」(テレビ情報誌記者)

 その選考では「決して芸人を窮地に追い込もうとするのではなく、芸人の凄さを明らかにする番組になっている」、「知的な要素とエンタメ的要素が上手く両立した」と大絶賛された『盛ラジオ』。しかし、“盛りトーク”の存在が可視化され、事実上認めてしまったことに対して、関係者は苦笑いする。

「トーク番組はあたかもその場の流れで展開しているように見えますが、実際はガチガチに台本が存在します。出演者は事前にアンケート用紙への記入を求められ、内容が薄かったり面白くなかったりすれば、『もっと面白い話はないか』と、厳しく問い詰められるんです。

 それでもどうしようもない場合、トークが面白くなるように“加工”するのは当たり前。ダラダラ話されても困るので、余計な情報を省くことで、結果的に事実と異なる内容になることもあり得ます。『盛ラジオ』はそこを皮肉ったわけですが、正直、関係者としてはあまり触れて欲しくない部分ですよ」(同上)

 誰しも1度や2度は、場を盛り上げるために話を盛った経験があるだろう。それがテレビでも行われているということだが、“面白ければOK”という時代は、テレビの世界では終わりに近づきつつあるという。

「昨今、テレビ界はコンプラ遵守が絶対ですが、トークを盛ることに対してもその目は厳しくなっています。明らかに“作り”であるとわかる内容ならひとつのエンタメとしてアリですが、それがあやふやで、なおかつ本人が確信的に行っている場合、ウソだとバレたら炎上は間違いありません。実際、現場ではすでに、トークを盛りすぎてカットされている芸能人も少なくありませんよ。

 話を盛りたくなる気持ちはわかります。“若いタレントに芸能界を生き抜く方法を教える”というある番組で、売れっ子の女性タレントは、『用意していたオチで滑ったら、そこから先は作れ』と話していましたが、そういう罪のないウソがどれだけ許されるのかは、正直我々もよくわからない。問題の根っこには、安直なトークバラエティが多すぎることもあると思います」(同上)

 嘘偽りないが面白くない話を聞かされるぐらいなら、ウソでも面白いほうがいい?

木村之男(芸能記者、TVウォッチャー)

1972年生まれ、東京都出身。大学時代にライターとして活動し始め、出版社~編集プロダクションを経てフリーに。芸能・カルチャー・テレビ・広告業界などに精通する。趣味はテレビに映った場所を探し出して、そこに行くこと。

きむら

最終更新:2022/12/23 11:00
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