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元芸人が今年もM-1グランプリ全ネタ解説!

山田邦子の批判受ける「おもしろいです」批評の理由とM-1全ネタレビュー

オズワルド、人気が出すぎて客に“耐性がついてしまった”?

3組目 オズワルド「明晰夢を好きなときに見れるようになった」

 敗者復活戦を制し決勝戦へ勝ち上がってきたオズワルド。今や東京漫才を代表する若手漫才師といっても過言ではない。M-1の決勝戦常連で、2019年から4年連続で決勝へ進出している。そんな実力者のオズワルドはいつものスタイルの漫才で相変わらずのオズワルドらしい高クオリティの漫才を見せてくれた。

 しかし例年に比べるとオズワルドの漫才に対する会場のテンションが、そこまで上がっていない感じがした。やはり漫才というのは賞味期限があり、鮮度が大事になってくる。オズワルドの漫才が賞味期限切れというのでは、もちろんないのだが、あまりにも知名度があがり、露出が増えたことにより、視聴者側がこのオズワルドの独特な漫才への耐性がついてしまい、新鮮味を感じられなくなってしまったのではないだろうか。

 ある程度予測が出来る漫才と、未知なる漫才とでは、同じくらいのクオリティだとしても未知なる漫才の方が笑いが起こりやすく、新鮮味もあるので面白く感じてしまう。逆にその形に慣れてしまうと、どれだけ面白くても100で笑えなくなってしまうのだ。

 漫才師というのは死に物狂いで自分たちのオリジナル漫才を探し出す。いざ見つけてそれが評価され、ある程度メジャーになるとそのオジリナル漫才は目に見える進化を求めらてしまう。オズワルドの漫才は今そのタイミングにあり、お客さんたちは目に見える進化を期待していたのではないだろうか。

4組目 ロングコートダディ ファーストステージ「マラソンランナーってかっこいい」

 キングオブコントの決勝戦常連でもあり、コントにも定評があるロングコートダディ。漫才もコントも高水準でこなすその姿は、まさに現代の芸人の象徴的な存在なのではないだろうか。さらに今回ファイナルステージへ進んだ彼らは、両方をこなす芸人のトップであることは間違いない。

 今までのロングコートダディが披露する漫才は「漫才風コント」という印象だったのだが、今回ファーストステージで見せた漫才はまさに「漫才コント」で、きちんと技術が上がっていることを証明していた。

ファイナルステージ「タイムスリップの練習」

 こちらもロングコートダディさんらしいネタで、ボケの流れや種類はわかり切っているが、そのワードセンスやタイミングなどで思わず笑ってしまう。ただ思わず笑ってしまうでは優勝できないのが、日本最高峰の漫才の大会「M-1グランプリ」。どうなるか予測がつくボケの爆発力には限界があり、予測不能なボケの爆発力には勝てないのだ。主軸となるボケ以外の枝葉的なボケで笑いを起こしてはいたが、やはり主軸に威力がなければトータル的な印象は爆発力に欠けたネタとなってしまうのだ。

 ロングコートダディの得意な手法として、客観的にツッコミをいれるというものがあるが、今回のネタは客観視しているときの説明が長く、オチがわかり切っているが故に、その説明が不必要に感じてしまい、「笑う」という態勢を無意識で崩してしまうのだ。人を笑わせるうえで説明というのは大事な要素だが、説明を入れる場所や秒数を間違えると笑いづらくなってしまうもの。漫才の繊細さが垣間見えたネタだった。

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