骨董品の世界を舞台にした地獄めぐり 映画『餓鬼が笑う』クリエイターズ対談
#映画 #インタビュー
脚本と俳優が融合して生まれた台詞「苦しいときほど笑えよ」
――骨董屋を目指す大を演じる田中俊介は、NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』に曽我兄弟の弟役で出演するなど、これからが楽しみな期待の俳優です。
平波 志が高いばかりに現実世界で挫折してしまう役に、彼はすごくハマりますね。
大江戸 嘘に紛れたくないと思っている純粋な若者を描きたかったから、田中くんが演じた主人公はとてもよかった。
平波 僕が撮った短編映画に出演してもらい、助監督として僕が参加した『異物-完全版-』や『ジャンクション29』などでも一緒でした。普段の田中くんは映画好きな好青年ですが、映画好きな人ってどこかナイーブだったり、屈折していたりもするので、彼のそんな素の部分が『餓鬼が笑う』で引き出せると思っての起用でした。ハードなシーンにも果敢に挑んでくれるのも彼のよさですね。
――ヒロイン・佳奈役の山谷花純は、オーディションでの抜擢。
大江戸 僕は特撮ドラマが好きでよく観ているけど、彼女は『手裏剣戦隊ニンニンジャー』(テレビ朝日系)にレギュラー出演していたんだよね。他のメンバーとちょっと距離を置いたキャラで、その頃から印象に残っていた。『鎌倉殿の13人』にも出てたし、彼女はいつブレイクしてもおかしくない。
平波 オーディションに現れた彼女を見て、一発でOKでしたね。山谷さんはヒロイン然とした佇まいがあり、また脚本の幻想的な世界観の理解力が抜きん出ていました。『劇場版コード・ブルー』では末期がん患者役で頭を丸めていましたし、すごく俳優魂を感じさせる方です。
――主人公の大を餓鬼たちのいる世界に引きずり込むのが、国男役の萩原聖人。プロ雀士としても知られるだけあって、メフィストフェレス的な役がよく合っています。
平波 メフィスト役なキャラクター、僕は好きなんです。大江戸さんの初稿にもあった役ですが、物語の後半に登場した別のキャラも織り交ぜていくことで、膨らんでいった役です。
大江戸 「苦しいときほど笑えよ」とこの作品を象徴する台詞を国男は口にするけど、あの台詞は平波監督が似たような台詞を用意していたのを、萩原さんが俳優としての直感で分かりやすい言葉に変えたんだよね。僕と平波監督が脚本上で創り上げた役と俳優の萩原さんが融合することで、化学反応的に面白い役になったんじゃないかな。
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