トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • x
  • feed
日刊サイゾー トップ > エンタメ > お笑い  > 『M-1』は当日だけが戦いではない…
TPの芸人礼賛

『M-1』は当日だけが戦いではない… 敗者復活戦が人気投票になるのは“悪”なのか

視聴者投票システムにど「どちらかといえば賛成」な理由

『M-1』は当日だけが戦いではない… 敗者復活戦が人気投票になるのは悪なのかの画像2
YouTube「M-1グランプリ」公式チャンネルより

 そんな白熱した戦いも、結果だけ見ると1位オズワルド47万9890票、2位令和ロマンが35万5577票と、オズワルドが2位に12万票の差をつけての圧勝だった。もちろんオズワルドもさすがの仕上がりで、敗者復活したことになんの文句もないのだが、敗者復活戦で毎年必ず巻き起こるのが「人気投票」論争だ。 敗者復活戦は視聴者が「面白かった3組」に投票し、それが結果に直結するシステムだ。普段お笑いをあまり見ない視聴者が多い中での投票になるこのシステムは、どうしたって知名度の高い芸人が有利で、いくら面白いネタを披露しても知名度の低い芸人は不利なことは間違いない。知らない人より知ってる人が面白いことをしてくれたほうが笑いやすいから。これによって「面白かったのに落ちた」芸人が必ず生まれてしまうので、毎年必ず「あの芸人が敗者復活したのは人気投票だから」とネットが荒れるのだ。

 僕はこの視聴者投票システムを考えるにあたって、重要な要素が2つあると思っている。

 1つ目は「審査員による審査は準決勝で済んでいる」ということ。

 敗者復活戦にいる芸人は、審査員審査による準決勝で決勝進出者に敗れている。なので準決勝までと同じく審査員が敗者復活する1組を決めるシステムにするのは、敗者復活戦が「準決勝の追試験」のような位置づけになってしまう懸念があるし、あの白熱の戦いをただ「10番手の芸人を決める作業」にしてしまうのはもったいないと思う。

 2つ目は異論もありそうなのだけど「『M-1』は当日だけの戦いじゃない」ということ。

『M-1』は、当日のネタの出来だけではなく、その1年、いや芸人人生全てを賭けて武器を身につけてストーリーを作っての戦いなのではと思っている。その日に面白い漫才をするだけではなく、これまでの『M-1』での戦いぶり、テレビ露出、SNS人気、ライブシーンでの評判、審査員からの評判、強弱はあるにせよ全てが決勝まで勝ち上がる要素になっていると思う。それを平たく言うと「人気投票」という言葉になるのではないだろうか。

 今回もしかしたら敗者復活戦当日のネタだけでいったらオズワルドより令和ロマンのほうが上だったかもしれないが、オズワルドはそんなすべてを踏まえた「総合値」で上回ったということだと思う。これに関しては酷だと思うけど、本人たちのこれまでの努力の対価なので不公平だとは1mmも思わない。また、『M-1』はテレビ番組なので、視聴率やスポンサーのことを考えても、そんなお茶の間に後押しされた「人気者」が復活してきてくれるのがいちばんベターなのだ。

 だから僕はどちらかというと、この視聴者投票システムは「賛成」だ。あぁ、ウエストランド井口さんが嫌いな、お笑いを分析しちゃう「うぜぇお笑いファン」になってしまった……。皆目見当違いかもしれない僕の文章、最後まで読んでいただきありがとうございました。
(編集/斎藤岬)

 

 

高橋雄作(TP、プロデューサー・作家・社長)

プロデューサー、作家、社長。2022年夏、テレビ朝日を退職し独立。音声配信アプリ「stand.fm」コンテンツアドバイザー、お笑いラジオアプリ「GERA」チーフプロデューサー。YouTubeチャンネル「金属バット無問題」などを手掛ける。

Twitter:@takahashigohan

たかはしゆうさく

最終更新:2022/12/23 16:14
12
ページ上部へ戻る

配給映画