『M-1 2022』さや香、ロコディ、男性ブランコが掴みかけたNSC大阪ワンツースリー
#関西バラエティ番組事件簿 #田辺ユウキ #タブーなきM-1 2022批評 #特集
「NSC大阪校のワンツースリーか!?」
そんな期待が高まった『M-1グランプリ2022』の決勝戦。しかしファーストステージの最後の最後「ある、なしクイズのオリジナルを作ったんだけど、やります?」というネタ振りの漫才にまくられた。
ファーストステージの最後に登場したウエストランドは、みんなが感じているけどちょっと言いづらいことを直接的に突いて笑いへ変えていった。あけすけな毒舌漫才、いや悪口漫才と言うべきか。そのネタに、審査員の立川志らくは「今の時代は人を傷つけてはいけない笑いだけど、傷つけまくる笑い。笑いは本来そういうもの。あなたたちがスターになれば時代が変わる」と興奮を隠しきれない様子で評した。
松本人志、男性ブランコのネタに「こんなん大好きやねん」
ウエストランドは659点でファーストステージ3位に滑りこんだ。その瞬間、650点で当落線上にいた男性ブランコのファーストステージ敗退が決まった。男性ブランコの浦井のりひろ、平井まさあきはNSC大阪校33期。同期には、コロコロチキチキペッパーズ、ZAZY、ビスケットブラザーズといったタイトルホルダーが勢ぞろいしている「黄金世代」だ。ふたりは2021年『キングオブコント』で準優勝するなどコントで高い実力をしめしながら、同年『M-1』敗者復活戦でも3位になるなど漫才でも存在感を発揮していた。
今回の初の決勝の舞台では、平井が「音符を運ぶ仕事をしている」と言い、巨大な音符を肩にかけるなどして運搬しているようにみせる。それをながめる浦井は、平井の肩からはみ出た音符の先っちょでぶっ倒されたり、ピンと張られた五線譜に身体が切り裂かれたりしてズタボロに。男性ブランコらしい不穏で飛躍的なコント漫才をみせた。
審査員の松本人志(ダウンタウン)も「おもろいわ、こんなん大好きやねん」と吹き出したほど。
男性ブランコの6番手というネタ順はベストだとも思えたし、のちほど言及する前2組と離れた方が良かったようにも感じた。もしもあのヨネダ2000の「わかりやすい英語と餅をつくペッタンの音」で構成された強烈なコント漫才の後だったら、男性ブランコのネタも余計に不条理さが際立ち、混乱に拍車をかけ、笑いの量はさらに放たれたのではないか。
なにより、コントと漫才の絶妙かつ不気味な融合がすばらしかった。彼らは2017年に東京へ拠点を移すまで大阪・よしもと漫才劇場へ出演していたが、ちょうどそのとき、同劇場は漫才中心に公演が組まれていた。コント勝負の男性ブランコは悩みながら公演に出演していたというが、今大会では当時の漫才経験が結果として良い形であらわれたのではないか。筆者的にもっとも笑ったのが男性ブランコだった。
サイゾー人気記事ランキングすべて見る
イチオシ記事