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日刊サイゾー トップ > エンタメ > お笑い  > 『THE W』ファイナリスト同じ問題

『THE W』自由度の高さの割にファイナリストが似通ってる問題

「女芸人№1決定戦 THE W」はもっと多様性を持つべきだ

 12組目、ファーストステージ最後の組は唯一のフリー芸人「にぼしいわし」。

 どこの事務所にも属さず、大阪で活躍する”地下芸人”。所属事務所が無いということは客観視する人がいないので、ネタを成長させるのが本当に難しい。そんな状況下で決勝進出を果たしたのは本当に凄い事だ。

 ただやはり、ネタを客観的に見えていない弊害が随所に見えた。例えば本題に入る前にボケのにぼしさんがキャラに合っていない相槌をしたり、ツッコミのいわしさんがせっかく笑いが起きているのに若干、長めにつっこんでしまったりといった具合。本来、客観視してくれる人がいれば削ったり、修正したり出来る部分なのだが、それが出来ないのでどうしてもネタに影響が出てきてしまう。

 もし彼女たちに第三の脳みそがあればもっと良いネタになり上位に食い込めるのではないだろうか。フリーのメリットデメリットが垣間見えた瞬間だった。

 2022年度版の「女芸人№1決定戦 THE W」はファイナルステージ、ファイナルステージ共にバランス良く笑いを取っていた「天才ピアニスト」さんの優勝で幕を閉じた。

 今大会は成績だけ見れば7対0という結果を何度も叩き出した天才ピアニストさんの圧倒的勝利に見えてしまうが、本当はどの戦いも僅差の勝利であり、ほんの少しネタが変わっていて、ほんの少し笑いの量が多ければ、参加したどの組にも優勝のチャンスはあったように思う。

 大会を見終わって僕が感じたことは、ネットで言われているような「レベルの低い大会」では無かったし、「今までで一番面白かった大会」でも無かった。たぶん「昨年と同じような大会」だった気がする。

 この「THE W」という大会は、今日本で開かれている大きなお笑い賞レースの中で最も、自由度が高い大会のはずだ。その割にはファイナリストのネタ質が似ているものが多い。これではせっかく規定ルールの幅が広くても意味がないと思う。

 どうせならフリップネタがいたり、漫談がいたり、体を張る芸人がいたり、古典落語家さんがいたりとネタの種類をバラけさし、お笑いにおけるバーリトゥード感を強めることにより、この「THE W」という大会の存在意義を高めるべきだ。

 他の賞レースとは一線を画す、唯一無二の大会にすれば「女芸人№1決定戦 THE W」の根本的な需要が変わり、今よりももっと愛される大会になるのではないだろうか。

 まだまだ世に出ていない女性芸人が多いのと同様に、この大会自体もまだまだ伸びしろはありそうな気がする。お笑い界を盛り上げる為にも、今後の変化に期待だ。

檜山 豊(元お笑いコンビ・ホームチーム)

1996年お笑いコンビ「ホーム・チーム」を結成。NHK『爆笑オンエアバトル』には、ゴールドバトラーに認定された。 また、役者として『人にやさしく』(フジテレビ系)や映画『雨あがる』などに出演。2010年にコンビを解散しその後、 演劇集団「チームギンクラ」を結成。現在は舞台の脚本や番組の企画などのほか、お笑い芸人のネタ見せなども行っている。 また、企業向けセミナーで講師なども務めている。

Twitter:@@hiyama_yutaka

【劇団チーム・ギンクラ】

ひやまゆたか

最終更新:2022/12/17 11:00
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