『グレムリン』ギズモがカワイすぎてスピルバーグが脚本変更していた!
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『グレムリン』暴力描写満載!R指定は回避も…新基準を作り出す
しかし監督のジョー・ダンテはマジメな話をおちょくってしまいがちな反骨心溢れる人。そんなダンテのセンスが、遺憾なく発揮されたのは後半だ。グレムリンの襲撃を逃れたビリーらは街をとぼとぼ歩きだす。ケイトは「クリスマスにはいい思い出がない」と過去のトラウマを語り出す。
ケイトが9歳のクリスマス、母と二人で父の帰りを待っていたが、父は行方不明に。暖炉の火を入れると中から異様な臭いがし、消防士が煙突に入ると、中からはサンタの格好をした父親の死体が……父は家族を驚かせようとして煙突に入り、首の骨を折ってしまったのだ。
「私は9歳のころにサンタなんかいないって知ったのよ」
……ってこれ泣ける話なの? それともギャグ? グレムリンよりもダンテのいたずらのほうがよっぽど凶悪だよ!
こうしてコロンバスの原案は影も形もなくなってしまった『グレムリン』だが、それでも強欲な金貸しのディーグル夫人を2階の窓から吹き飛ばして地面にめり込ませたり、ビリーの母親がグレムリンをジューサーミキサーにかけたり、電子レンジで爆殺するといった暴力的な描写はしっかり残されていたため、映画のレイティング(年齢制限)を決める、当時のアメリカ映画協会(MPAA)は『グレムリン』をR指定(17歳未満は保護者の同伴が必要)にしようとした。
制作会社のワーナー・ブラザースは『グレムリン』を夏休みシーズンの6月初旬から公開する予定だったので、ファミリー向けの映画をR指定にされちゃあたまらないとなり、スピルバーグはMPAAにかけあって「NC-17」(18禁)と「R」の間に「PG-13」(13歳未満の鑑賞は保護者の同意が望ましい)という新たな基準をつくらせた。このPG-13がはじめて適用されたのは『グレムリン』と『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』。両方ともスピルバーグ! 世界の巨匠は映画のレイティングにすら影響を及ぼしているのだ。
結果、製作費の10倍以上の興行成績という大ヒット。クリスマス映画の定番として今も人気。ヒットの影にはスピルバーグの「怖いだけじゃダメ、カワイイだけでもダメ。両方必要なんだ」という適切な判断がなされた上、監督ジョー・ダンテの「やりすぎ」演出がうまい具合に噛み合った結果と考えられる。ダンテは続編の『グレムリン2 新・種・誕・生』では「何やってもいいから」とワーナーのお墨付きを得た結果、本当に「やりすぎ」て大失敗してしまった。やっぱりバランスが必要なんだなあ。
そんな『グレムリン』は来年に前日譚となる新作アニメーション、そして待望(?)のパート3が動き出す予定という。今度はちゃんとスピルバーグがコントロールしてよ! モグワイを飼うのは容易じゃないんだから!
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