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今週の『金曜ロードショー』を楽しむための基礎知識㊴

『グレムリン』ギズモがカワイすぎてスピルバーグが脚本変更していた!

『グレムリン』ギズモがカワイすぎてスピルバーグが脚本変更していた!の画像1
金曜ロードショー『グレムリン』日本テレビ 公式サイトより

 金曜ロードショーの年末企画「クリスマスに見たい映画」、第三弾はクリスマスの映画といえばこれ! 1984年公開、巨匠スピルバーグが製作総指揮を担当したSFコメディ『グレムリン』が金曜ロードショーに初登場。

 公開30年以上を越えて尚愛されているキャラクター、‟ギズモ”と正反対の狂暴な怪物‟グレムリン”がクリスマスの街に大騒動を巻き起こす!

 使えない物ばかりつくっている冴えない発明家のランダルは息子ビリーへのクリスマスプレゼントを買うためにチャイナタウンの骨董屋に足を踏み入れる。そこで見つけた不思議な生き物‟モグワイ”を気に入り、店主のミスター・ウィングに200ドルを渡して引き取ろうとするが、「売り物ではない」と拒否される。しかし孫がこっそり譲ってくれることに。孫から「モグワイを買うための3つのルール」を教わる。ひとつ、光を当ててはいけない。ふたつ、水をかけてはいけない。みっつ、真夜中すぎにエサを与えてはいけない……。

 父同様、冴えない日々を送っている青年・ビリーはモグワイをもらって大喜び。ギズモという名前を付けて可愛がるが、うっかり水をかけてしまう。するとギズモの身体から毛玉がいくつも飛び出し、モグワイは増殖する。時計が壊れていることに気づかず真夜中すぎにエサをあげてしまい、モグワイはいたずら好きな小悪魔・グレムリンに変貌して大暴れ。

 グレムリンのリーダー格、ストライプはプールに自ら飛び込んで数百匹に仲間を増やし、クリスマスで賑わう街を大パニックに陥れる。ビリーは惚れている友人のケイトをグレムリンの魔の手から間一髪救い出し、朝日を避けるためにグレムリンが潜んだ映画館で、ギズモと共に最後の決戦に挑む。

 この映画がつくられた少し前、スピルバーグは『ジョーズ』(1975)、『未知との遭遇』(1977)の二本で「最も稼げる映画監督」としてすでに名を馳せており、80年代に入っても『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』(1981) 『E.T.』(1982)とヒット作を連発、向かうところ敵なしの状況。

 次のヒット作を探している中で、ある大学生が書いた脚本を目にしたスピルバーグはすぐさま権利を獲得。それがクリス・コロンバスの書いた「グレムリン」だ。後に『ホーム・アローン』シリーズ、『ハリー・ポッター』シリーズを手掛けることになるコロンバスはスピルバーグに見いだされ、ヒット作家への階段を駆け上る。

 スピルバーグは監督に『トワイライトゾーン/超次元の体験』(1983)で組んだジョー・ダンテを指名。この決定が『グレムリン』を大きく変貌させていく。

 ダンテはギズモのデザインに着手するが、なかなかスピルバーグからOKが出ない。何度出してもやり直しを要求され、煮詰まったダンテはやけっぱちで、当時スピルバーグが飼っていたコッカー・スパニエル犬をモチーフにしたデザインを送り付けたところ、はじめてOKが出る。さらにスピルバーグは「ギズモはカワイイから、最後までカワイイままにしておこう」といったことで、中盤からの展開が変更された。

 コロンバスが書いていたシナリオではギズモもグレムリンに変貌し、大暴れの果てに街の人間たちを虐殺していくという内容だったのだ。ビリーの母親の首を切ったり、人間を頭から食らいつくすなどのスプラッター・バイオレンス描写がてんこもりの! スピルバーグの「英断」によりホラー色は薄められ、コメディタッチの作風に変化した。

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