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レゴランド誘致失敗が韓国の経済ショックに発展…いまだ収まらず

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「冬季五輪平昌」の舞台となった韓国・江原道の風景は、日本人の記憶にもまだ新しいことだろう。現在、その江原道発のある経済問題が、韓国社会に大きな混乱を生み出している。その問題とは“レゴランド事態”だ。

 江原道は観光客の増加を期待しレゴランドの誘致を決定。その造成地開発のために、江原中道開発公社という公企業を設立した。しかし、開発予定地から世界最大級の遺跡が発掘されたり、コロナ禍の影響で工事の予定が大幅に遅れることになった。工事遅延のため開発費用が膨れ上がる中、江原中道開発公社は資金を調達するために債権を発行。投資家から2050億ウォン(約200億円)の資金を調達し、江原道はこの債務を保証する立場となる。

 問題は新知事が就任後に起きる。

 新しく就任したキム・ジンテ道知事は、2022年9月28日、裁判所に江原中道開発公社の再生申請を申し出た。すると、債権市場はキム知事の動きについて自治体の債務不履行と見做すことになった。キム道知事は事態が大きくなると3週間後に「保証した債務を払う」と声明を発表したが、「自治体の債権も信用できなくなった」という市場参加者たちの危機感や懸念を拭い去ることはできなかった。

 以上のレゴランド事態以後、韓国公企業や一般企業などAAA級優良債の平均金利が、5.6%台に跳ね上がった。これは事態が発生する直前の8月対比で1.6%pほど上昇した数値となる。金利が高まれば企業がこれを負担する必要があるが、優良債を発行した企業が追加で負担することになった年間債権利子は203億ウォン(約20億円)に達すると分析されている。また債権発行目標を達成できない企業が相次ぐことになった。

 韓国の金融専門家は「(レゴランド事態は)債券市場に爆弾を投げ入れたのと同義だ。『自治体が発行したA1等級の債権でさえ不渡りになる』という懐疑心は、簡単に拭い去ることができないだろう」と話している。

 韓国政府は50兆ウォン(約5兆ウォン)を超える予算を投じて、レゴランド事態、そしてそこから派生した経済ショックの鎮静化に乗り出しているが、信用危機が収拾する気配はいまだ見えていない。

 2023年には世界的な景気後退(リセッション)が予想されるなか、債券市場の国際的信用を回復できなければ韓国経済の先行きはより深刻になる可能性がある。韓国の経済専門家たちは、レゴランド事態をきっかけとして、来年上半期に黒字ドミノ倒産が起きること、またそのなかで力をつけてきたベンチャーやスタートアップ企業の未来を閉ざされてしまうことなどに警鐘を鳴らしはじめている。

 なお、江原道は五輪の際にも数千億ウォンの借金をしており、コロナ禍収拾のための費用歳出などと合わせると約1兆ウォン(約1000億円)の負債を抱えていると言われている。企業のみならず、自治体の先行きさえ不透明となれば、経済的のみならず、社会的、精神的にも国民の負担は大きくなる。最近では、財政や人口増加に回復に成功した日本の自治体を見習うべきという論調も登場してきた。

 レゴランド事態は無事収拾するのか――はたまた新たな経済危機の出発点となってしまうのか。今後の動きに注目したい。

 

 

与良天悟(芸能ライター)

1984年、千葉県出身のウェブメディア編集者。某カルチャー系メディアで音楽や演劇を中心にインタビューなどを担当するほか、フリーで地元千葉県の企業の記事なども請け負っている。

よらてんご

最終更新:2022/12/19 07:00
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