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監督・東野幸治が引き出した

草なぎ剛「グループもなくなっちゃったし」まるで“SMAPのメンバー”のように出演したドキュメンタリー

草なぎがジャニーズ事務所時代を振り返った驚きと感慨

 最後は、東野と草なぎでサシのインタビュー。場所はどこかのカフェ? まず最初に、ジャニーズに入所した頃の志について東野は質問した。サラダを食べながら回答する草なぎ。

「少年隊に憧れたんですよ。東山(紀之)さんに憧れて。とにかく少年隊に会いたかったんですよ、僕は」(草彅)

 13歳でジャニーズ事務所に入所した草なぎ。少年隊に会いたい一心で、草なぎは自らジャニーズに履歴書を送った……というのがファンの間では定説だ。事実、少年隊が『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)に出た回を見返すと、感動する草なぎの心境を香取が以下のように代弁している。

草なぎ 「少年隊の皆様がいなければ、僕はここに今いません」
香取 「『俺、だって明日、夢が叶うんだぜ』っていうのを僕に(笑)。『俺、もしかしたら踊りながら泣くかもしれない』って」

 ジャニーズに入所してたった半年で、草なぎは少年隊に会えたそう。テレ朝のリハーサル室で、遠巻きながら3人を眺めることができた。

草なぎ 「だから、もう夢叶っちゃったんですけど、そのときになったら光GENJIさんとかもいて。(少年隊と)会えるのを目的としてたんだけど、『自分ももっとテレビに出て踊りたい』みたいな気持ちに変わってましたね」
東野 「ガツガツしてたんですね」
草なぎ 「していましたよね。若いし、負けん気強かったんで」

「ガツガツしてた」と振り返りながら、サラダをガツガツ食べる草なぎ。というか、ジャニーズ事務所入所、少年隊、光GENJI……と、草なぎが普通にジャニーズ時代の話をしている事実である。新しい地図を立ち上げた頃、3人がSMAPのスの字も出せなかった事実を思うと、やはり時代は動いている。ちなみに、このときのBGMは「世界に一つだけの花」のインストゥルメンタルバージョンであった。

 ここで東野は、芸能界における今までの草なぎの歩みを紹介する。

「1988年、SMAPを結成して以来、CDは3700万枚以上を売上げ、数多くのドラマで主演を務め、冠番組のバラエティーでは視聴率20%超えを連発。時代の象徴とも言えるスーパースターになりました」(東野によるナレーション)

 ゴールデンタイムで草なぎの経歴を漏らさずちゃんと紹介しているだけで、結構な驚きだ。ジャニーズのこともSMAPのこともちゃんと入っているし、BGMに流れたのはSMAPのヒット曲である。本来は普通のことなのだけれど、かなり社会が変わった気がする。

東野 「今、この年齢になってきて、5年後とか10年後とか考えているのか? なんとなく、流れるように感じでやっていきたいのか?」
草なぎ 「あんまり先のことを考えなくなったっていうのがあって。新しい環境になって、新しい地図を広げたくらいから、先もどうなるのかなって。グループもなくなっちゃったし。そのときに、『とりあえず、目の前に仕事があればいいかな』みたいな感じで。それに集中しているほうが、いろんな不安とか先のことを考えなくていいなってなったので。健康であれば、なんとかなるんじゃないかなみたいな」

 つまりSMAPに在籍していた頃までは、草なぎは先のことを考えていたのだ。しかし、解散して6年が経ち、「目の前のことに集中すればいい」という考え方に移った。いろいろなことがありすぎて、今の境地にたどり着いたのだろう。

 そして、「グループもなくなっちゃったし」という言葉である。いまだ、草なぎは「SMAP」と口にしない。いや、してはならないのか? 「グループ」という言い方が、旧態依然のしがらみを感じさせなくもない。

 なんにせよ、到達したのは「健康であればなんとかなる」という結論であった。アントニオ猪木流に言えば、「元気があればなんでもできる」。つまり、多くの人に共通する人間としての真理である。ただ、この境地に行き着くまでは、かなり荒波に揉まれる必要がある。草なぎの6年間に、さまざまなことがあったということだ。

 あと、「健康であれば」という草なぎの言葉で奇しくも思い起こすのは、中居正広の現状だった。つまり、この日の草なぎはどこかSMAPのメンバーとして出演していた感があった。インタビュー後半、BGMとして流れていたのはビリー・ジョエルの「HONESTY」。直訳すると、「正直に」である。

東野 「今までの芸能人生、一言で言うならどんな人生なんですか?」
草なぎ 「サラダみたいな感じですかね」
東野 「うわ、適当に言った」

 サラダを食べながら、「サラダみたいな芸能人生」と回答する草なぎ。目の前にあるコブサラダを答えにしただけである。もし、そこにあったのがラーメンなら、彼は「ラーメン」と答えていたかもしれない。

草なぎ 「(芸能人生もサラダも)色とりどりっていうか」
東野 「ああ、なるほど。歌、お芝居、バラエティー」
草なぎ 「はい。野菜みたいな感じですかね、僕の芸能人生」

 煙に巻いたかと思いきや、意外と本質を突いていた草なぎの回答。しかし、彼が食べるサラダに、セロリは入っていなかった。

 今回の密着で監督を務めた東野は、こう総括している。

「今回の密着を通し、私が感じたのは、監督一作品目の題材としては草なぎ君は人選ミスでした。たぶん、深い人間なのに私ではすべてを引き出すことはできませんでした」(東野)

 東野の「人選ミス」という言葉が、かえって草なぎの人間性をうまく表している気がする。気さくそうで意外と気さくじゃない人間性、素の見えにくさを、東野は十分に引き出していた。安易に結論づけるテレビ的なまとめ方と違い、東野監督が映した草なぎの姿は本当にドキュメンタリーだったと思う。

 もし、本当に東野に悔いが残っているのなら、「東野vs」にも草なぎを呼んでもらいたいし、東野がYouTubeで行っている「東野デニム」シリーズにも出演してもらいたい。

 東野と草なぎは、共に“本心がわからない系”のタレントである。セッションの流れも予定調和じゃないワケのわからない方向へ進むし、妙なケミストリーが起きそうな期待値があるのだ。

寺西ジャジューカ(芸能・テレビウォッチャー)

1978年生まれ。得意分野は、芸能、音楽、格闘技、(昔の)プロレス系。『証言UWF』(宝島社)に執筆。

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最終更新:2022/12/09 21:00
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