オードリー若林「まぁ、ナメてますけども」森脇健児をオイシクさせる“共犯関係”
#テレビ日記
森脇健児「おもろないのがバレたのんちゃうん?…… なんで言わすの?」
番組では、森脇のデビューから振り返られた。1984年、17歳でデビューした森脇は、21歳のときには関西で帯番組のMCを務めた。1990年、23歳で東京に進出。『笑っていいとも!』(フジテレビ系)のレギュラーになり、森口博子やSMAPと共演した『夢がMORI MORI』(同前)が始まるなど、90年代には全国区の人気者となった。
しかし、1999年、32歳のころには関西に戻ることとなった。森脇は当時を振り返った。
森脇「何も仕事なくなってね」
若林「それは、なん……」
森脇「事件も事故もスキャンダルもないでしょ。別に僕、何もない。だから結局……まぁ、なんやろ……おもろないのがバレたのんちゃうん?……なんで言わすの?」
中西「自分から言いました」
那須「ご自身で言いました」
鳴り物入りで上京したあとの“下野”。確かにちょっと話しづらい件ではある。そこを「まぁ、なんやろ……」と逡巡しつつも「おもろないのがバレたのんちゃうん?」と自分からきっぱり言ってしまう感じ、そして言ったそばから「なんで言わすの?」と不本意を隠さない感じ。言わせてないのに「言わせてる」とクレームをつける森脇という構図に笑ってしまう。その構図の成立をなすなかにしが「ご自身で言いました」などとフォローする。
いや、森脇の言うとおり、若林はたしかに誘導していたのかもしれない。「それは、なん……」と語尾を濁しながら水を向ける若林の感じは、いやらしいと言えばいやらしい。このシーンの面白さは、そのあたりを森脇が実質的にツッコんでる点にもあったのかもしれない。番組ではこのシーンに至るまでにも、若林らの微かな誘導に森脇が追い込まれる流れが繰り返されてきたけれど、そんな流れに対するツッコミにもなっていたかもしれない。
トーク中に例えを盛り込む森脇、例えのイマイチさを指摘する若林、ボクシングのようにガードを固めて若林の鋭い指摘を耐える森脇――。番組内ではそんな“鉄板”の型もいつの間にか出来上がった。かと思うと、そんな型がなかったかのようにいきなり森脇が「汗かいて、ベソかいて、恥かいて」と例のごとくシャドーボクシング的な動きを見せる。そこにまたオードリーやなすなかにしがツッコミを入れる。そのコンビネーションも面白かった。
90年代、森脇はたしかにテレビの人気者だった。ただ、本人も認めるように、たしかに面白いとは思えなかった。それを私なんかはつい、“周囲に作られた人気”と振り返ってしまいがちだけれど、今回の『あちこちオードリー』を見ると、周囲が盛り立てた結果として面白くなっているなら、それはそれでいいじゃないかという気にもなってくる。
番組の前半、森脇は若林をこう評していた。
「若林くんはな、目が笑ってないやろ。鶴瓶さんと同じ目してると思わへん?」
若林が笑福亭鶴瓶と似ているかどうかはよくわからないけれど、森脇のイジられ方は鶴瓶に似ている気もする。松竹芸能には「足向けて寝れる偉人」が定期的に現れるのかもしれない。
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