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日刊サイゾー トップ > カルチャー > 本・マンガ  > 『インフォーマ』尼崎発の物語の終着点

ドラマ『インフォーマ』新キャストに森田剛、原作は重版決定

 

ドラマ『インフォーマ』来年1月19日(カンテレ/毎週木曜深夜0時25分~)スタート(同番組公式サイトより)

 小説『インフォーマ』(サイゾー文芸部刊) の販売がスタート。桐谷健太、佐野玲於出演でドラマ化されることも発表されたことで原作小説も勢いがつき、増刷も決定した。さらに新キャストとして、ジャニーズ事務所を退所した森田剛の出演も発表された。
 1月からの放送開始に向けて、ますます盛り上がりを見せていく『インフォーマ』。物語は、情報を操り、社会を裏で動かす情報屋“インフォーマ”と謎の連続殺人事件を軸に展開されていくが、その舞台のひとつとして登場するのが、兵庫県・尼崎。独特雰囲気を持つこの地域は、同作の作者である沖田臥竜氏の地元である。作者がドラマのロケ地として、尼崎にこだわった理由とは何なのか?  そんな尼崎で、何もないところから、筆一本で小説を書き続け、ドラマ化まで達成することができた理由とは?  沖田氏自身による特別エッセイ第2弾。

地元・尼崎はまったく好きじゃない

 物語はいつも尼崎から始まる。『ムショぼけ』もそうだが、『インフォーマ』においても、私はまず映像化が決まると、1人でロケハンをやるところから始まる。そこから次にプロデューサー陣や制作陣とロケハンをやり、最後に監督ロケハンをやるのだ。

 『インフォーマ』のロケハンは、夏前に行った。汗だくになりながら、阪神尼崎の商店街を歩いていると、道行く人に「あっ!ムショぼけの沖田さん!」と言われ、「エッヘヘヘ」と薄気味悪い笑みでやり過ごしたのを覚えている。

 製作陣と共にが『インフォーマ』のロケハンのために尼崎観光局を訪れると、『ムショぼけ』の撮影地に使ったことをひどく感謝され、尼崎ロケ地マップにまで使ってもらうことになった。

 何だったら現在、カンテレのゴールデンで流れているドラマでも尼崎の商店街が出てくるのだが、すまん。ほぼワシのお陰である……。

 それはさておき、ドラマ『インフォーマ』において、新キャストの森田剛さんの出演情報がリリースされ、おかげさまで小説『インフォーマ』の重版が決定し、現在、大急ぎで重版用の帯を作ってもらっているところだ。

ドラマ『インフォーマ』への出演が発表された森田剛 (C)カンテレ

 『インフォーマ』の映像化が決定した際、私はロケ地として尼崎は入れたいとみんなに伝え、快く承諾してもらったのだが、実は地元愛などという気持ちは清々しいくらい一切ない。

 お世話でも生まれた故郷に恩返しをしたい、みたいな想いもない。なぜならば、尼崎という街がまったく好きじゃないからだ。

 ならばなぜ、私が描く小説がいつも尼崎から始まるかといえば、それは単純である。生まれ育ってきた街だからだ。さまざまな思い出が、尼崎という街のそこかしこに溢れているからだ。

 そんな街並を思い出と共に活字に変換させながら、今回のように映像化が決定すれば、その風景がテレビに映し出されていくことになるのである。そこに感動が生まれるのは当たり前の話で、誰のためでもない。自分のためにやっている。正確には、自分自身でやりたいからやっているのだ、と常に言い聞かせている。内心は違うともだ。

 例えば、人に喜んでもらおうと考えたとしよう。

 大勢ではない。身近な人々に「すごいね」と言ってもらいたいとしよう。そうした想いはすべて自分から派生しているのであって、つまりは自分の意志によるものなのだ。だから私は、誰かのためという言葉を極力使わないようにしている。そんなものは口に出さなくとも、社会生活を営んでいる以上、みんな持っている感情なのだ。

 ただ、私の生まれ育った街から物語が始まるということは、ドラマづくりに携わる多くの人々が私の生まれ育った街に来てくれるのである。それは私が筆を握り、物語を生み出せなければ、実現しなかった話だ。それがきっかけで尼崎という街が世界にも届くとすれば、裏方の作り手として悪い気はしないだろう。

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