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金属バット「いやー間に合った」に拍手喝采! 『M-1グランプリ2022』準決勝レポート

ワイルドカード復活からコロナで否応なく生まれたドラマ性

 そしてさらに、敗者復活戦には進めないが準決勝を盛り上げた芸人を、もう2組紹介させてほしい。

・深海魚

金属バット「いやー間に合った」に拍手喝采! 『M-1グランプリ2022』準決勝レポートの画像4
(C)M-1グランプリ事務局

 今年は「ベストアマチュア賞」を受賞したコンビがオープニングアクトとして準決勝進出者の前に漫才を披露した。これは「会場が温まっていない序盤が圧倒的に不利」という積年の課題を解決するために『M-1』側が講じた策だと思うのだが、結果としてこれがとても功を奏していた。

 大役を務めたのは、アマチュアながら準々決勝まで進出した兄妹コンビ「深海魚」。予選のネタがとても面白かったので安心と思っていたら、披露したのはまさかの新ネタ。しかも『M-1』がテーマの漫才。ネタ中ふんだんに「『M-1』あるある」が取り入れられており、もちろん本戦ではご法度かもしれないが、準決勝の会場に来るような『M-1』マニアのお客さんの前で披露するにはこれ以上ない設定。案の定会場は大ウケ、最高のオープニングアクトだった。すごいぜ深海魚、今のお笑い界は海深くこんな新種の魚が泳いでいたなんて。

 ただ、これと同じクオリティのネタを来年以降のアマチュア漫才師に求めるのは酷だし、一歩間違えれば大会の空気を壊しかねないリスクもあるなぁと思った。それくらい深海魚がすさまじかった。来年は準決勝進出メンバーとして同じ舞台で漫才をしている姿を見たい。

・金属バット

金属バット「いやー間に合った」に拍手喝采! 『M-1グランプリ2022』準決勝レポートの画像5
(C)M-1グランプリ事務局

 僕は彼らのYouTubeチャンネルのプロデューサーを務めており、どうしても彼らに肩入れしてしまうのはご容赦いただきたい。記者として冷静かつ公平な目で見なければいけないのは承知の上で、正直この準決勝はとにもかくにも金属バットだった。彼らの勇姿をこの目に焼き付けるために準決勝の会場に潜り込んだといっても過言ではない。

 今年がラストイヤーの金属バットは惜しくも準々決勝で敗退し、その後すぐに友保さんが新型コロナに感染。しかし敗退組の中から1組だけ準決勝に進出できる「GYAO!ワイルドカード」で見事復活を果たし、友保さんの療養明け初日が準決勝当日という奇跡。友保さんの「いやー間に合った」の一言から幕を開けた準決勝、会場からは“主役”の帰還を祝福する割れんばかりの大拍手、カッコよすぎた。過去にワイルドカード枠から決勝に進出したコンビはいないため、決勝進出の可能性が低いことは誰もが理解していたものの、これほどまでのドラマ+らしさ全開の漫才は、「何かが起こる」と思うには十分すぎた。

 結果は「敗退」。ワイルドカード枠は敗者復活戦に出場できないので、2人の『M-1グランプリ』はここで終了となってしまったのだが、こんなにも予選期間中の一挙手一投足が話題になったコンビはいまだかつていなかったのではないだろうか。これからは思う存分、制限時間や審査員にとらわれない漫才をしてもらいたい。お疲れさまでした、本当にありがとう、これからもよろしくお願いします。

金属バット「いやー間に合った」に拍手喝采! 『M-1グランプリ2022』準決勝レポートの画像6
会見直前の会場にて、疲労の色が見える筆者。

『M-1グランプリ2022』決勝と敗者復活戦は12月18日。メインディッシュの決勝戦の前にもうだいぶお腹いっぱいなのだが、まだまだお楽しみはこれから、最後の最後まで残さず味わいたい。(編集=斎藤岬)

 

 

高橋雄作(TP、プロデューサー・作家・社長)

プロデューサー、作家、社長。2022年夏、テレビ朝日を退職し独立。音声配信アプリ「stand.fm」コンテンツアドバイザー、お笑いラジオアプリ「GERA」チーフプロデューサー。YouTubeチャンネル「金属バット無問題」などを手掛ける。

Twitter:@takahashigohan

たかはしゆうさく

最終更新:2022/12/06 20:00
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