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今週の『金曜ロードショー』を楽しむための基礎知識㊲

『天使にラブ・ソングを……』虐げられた女性の“目覚め”を描いていた!

修道院長は『ハリー・ポッター』シリーズのマグゴナガル役

 聖キャサリン修道院は治安の悪い街の一角にあるため、修道院長は極力、街の住人との関わり合いを避けている。日々の息苦しさに耐えかねたデロリスはこっそり教会を抜け出し、バーにしけこむ。バーの客は革ジャンを決めたガラの悪そうな連中ばかり。そこにデロリスの後を追ってきた内向的な性格のシスター・ロバート(ウェンディ・マッケナ)、陽気な太っちょのシスター・パトリック(キャシー・ナジミー)がやってきて三人はなぜか意気投合。

 抜け出したことがバレて修道院長にお叱りを受けたデロリスは、聖歌隊のメンバーに入れられる。聖キャサリン修道院の聖歌隊はリズムも音程もめちゃくちゃ。聞いていられるレベルじゃあない。おかげで日曜日のミサは閑散としている。

 聖歌隊の指揮をとっているシスター・ラザラス(メアリー・ウィックス)はここに来る前は文明から隔絶された森の中にある教会におり、そんな状態で信仰にすべてを捧げることこそ、正しい信徒の姿と思い込んでる気難し屋で、音楽や指揮者の技能がまるでなかった。それじゃあうまくなるはずがない。

 歌手だったというデロリスを聖歌隊のメンバーが当てにすると、ラザラスは「じゃあやってみろ」と言わんばかりの態度をとるが、代わりに指揮を任されたデロリスが音域ごとにメンバーを分け、発声練習をさせる適格な指導によって聖歌隊の合唱レベルはたちまち上昇。それを見たラザラスは彼女にすべてを任せるようになる。

 デロリスが指揮をとった最初の礼拝日で聖歌隊が見違えるような美しい歌声を響かせると、その歌声に惹かれて教会に人が集まり出す。

 ノリノリのデロリスは讃美歌を伝統的な古めかしいものから、ゴスペル風のアレンジを加えて「しかめっ面で歌うより、楽しい方がいいじゃない」と独特なものに作り替える。人が集まらず潰れかけだった教会のミサには人が押し寄せるように。クラブでは誰も歌を聴いてくれなかったデロリスは初めて、観客が楽しんでくれるステージを成功させたことに快感を覚える。

 これをきっかけに内に閉じこもって外の人々と触れ合おうとしない修道院の姿勢を改めさせ、固く閉ざされた門を開放、落書きで汚れた街を清掃し、奉仕活動を通じて治安の悪い街の淀んだ空気を換えていく。しかし、旧態依然とし、規律と型にはめようとする修道院長と、自分の生きざまを貫くデロリスは対立するように。なにしろ修道院長を演じたマギー・スミスは、『ハリー・ポッター』シリーズでも厳格な教師のマグゴナガル役だった。厳しい人間を演じ続けて30年の迫力!

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