流行語大賞の「村神様」でも満票ならず!? ベストナインを決める「記者投票」という謎制度
#プロ野球 #流行語大賞
2022年のプロ野球は「BIGBOSS」「佐々木朗希」など、色々なトピックがあったが、今年を代表する選手といえば村上宗隆(ヤクルト)。史上初の5打席連続ホームラン、シーズン56本塁打、そして18年ぶりの三冠王を達成した若き天才打者はあらゆる賞を手にしたが、ベストナインの選出ではちょっとしたハプニングがあった。
「ベストナインはプロ野球担当記者の投票で選ばれ、有効投票数は299票ですが、セ・リーグ三塁手部門で村上に投じられた票は298。村上は満票を逃し、1票だけDeNAの宮崎敏郎に票が投じられました。
宮崎は打率.300、16本塁打、50打点という好成績でしたが、村上の.318、56本塁打、134打点と比べて何が上回っていたのやら。これ以外にも不可思議な票はあり、例えばセ・リーグの外野では、ほとんど先発出場がなかった阪神の高山俊、打率1割台で登録も内野手の荒木貴裕にそれぞれ1票が投じられました」(野球ライター)
首位打者、本塁打王、打点王、最多勝、最優秀防御率などは数字を見れば一目瞭然だが、MVP、ベストナイン、ゴールデングラブ賞、新人王などは記者の投票によって決まる。これまでにも疑惑の投票は何度も存在した。
「2020年のベストナイン投票では、巨人の吉川大幾とモタに票が投じられましたが、2人はほとんど試合に出ておらず、この年限りで戦力外となりました。2017年の新人王投票では、1位の京田陽太(中日)が圧倒的1位でしたが、モメたのが2位。ローテーションを守って10勝を上げた濱口遥大(DeNA)が27票だったのに対し、.237で7本塁打の大山悠輔(阪神)に49票が入り、“組織票ではないか”と騒動に。
毎年のようにおかしな票が入る状況は、ファンのみならず現場の人間も不信感を抱いており、元巨人の上原浩治はYouTubeで『記者投票は、もう名前とか出すべき』と提言。元ロッテの里崎智也は著書の中で、『得票率1%以下の選手に投票した場合は1年間の資格停止』と、厳しい言葉で自省を促しています」(前出・野球ライター)
記者投票の有資格者は「新聞社、通信社、放送局に属し5年以上の取材歴を持つ者」。“見るプロ”であるはずの記者が、なぜこんなトンチンカンな票を投じるのか?
「まず、考えられる理由のひとつは、自分が担当している球団の選手に入れるものです。『どうせ賞を取るのは○○だから、△△に1票入れてやろう』というのはありがちなパターン。また、もともと野球に思い入れがなく、自分の担当しているチームのこと以外は何も知らないので、担当球団の選手に入れる記者もいます。
成績をロクに見ずに印象で決めてしまうケースもあります。とりわけゴールデングラブ賞などで起きがちですが、守備が巧い選手でなく、その年に活躍した人に票を投じたり、自分がたまたま見た試合で好プレーをした選手を選んでしまうもの。後から数字を見て青くなるパターンです。
その他に以前、古参の記者から『満票というのは100点ということ。もっと上を目指してもらうためにあえて他の選手に票を入れた』という話を聞いたことがあります。一理ありますが、それならきちんとファンに向けてその旨を説明するべきでしょう」(週刊誌スポーツ担当記者)
自分の投じた票が、何十万、何百万人の野球ファンの目に止まり、宮崎に票を入れた記者は悦に入っているのだろうか。ただ、こうしたふざけた投票には、現場の記者も憤っている。
「毎年のようにおかしな票が入るのに記名制に踏み切れないのは、『番記者が取材をやりにくくなるから』というのが一説。チームによって担当記者の人数が違うので、記名制になるとかえって票に偏りが出ることも考えられるからです。
ただ、多くの記者は『記名制でも構わない』と思っているんです。おかしな票は賞の価値を減ずるわけで、野球ファンにそっぽを向かれれば自分の仕事の価値も下げてしまいますから。それでもふざけた票が入るのは、“記名制への議論が進まないことへの抗議の1票ではないか”と、現場では囁かれています。もっとも、そうであって欲しいというレベルの話ですが……」(前出・スポーツ担当記者)
記名を嫌う記者には辞退してもらうべきでは!?
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