『MONSTER LOVE』で「泥棒が道徳を説く」ようなクロちゃんの“ヤバさ”
#水曜日のダウンタウン
TBS系『水曜日のダウンタウン』の企画『MONSTER LOVE』が話題になっている。
『MONSTER LOVE』は、お笑いトリオ・安田大サーカス、クロちゃんの恋人探し企画。クロちゃんが9人の女性と沖縄で共同生活をしながら、恋人候補を絞っていくというバチェラー的な内容となっている。しかし9人の女性の中にはクロちゃんの事を好きではない女性も含まれており、それが誰か、そして何人いるのかはクロちゃんはもちろん、視聴者にも明かされてはいない。番組の最後ではクロちゃんが追放する女性を選び、その女性が本当にクロちゃんの事が好きだったかどうかを聞くという、人狼的要素も含まれている内容。
番組内ではクロちゃんが女性陣に対して、ゲスな言動を連発。スタジオでも悲鳴と笑いが交差する、破壊力のある映像が画面に映し出された。
『水ダウ』では過去にも、テラスハウスを模した『MONSTER HOUSE』、クロちゃんがアイドルプロデュースを行う『MONSTER IDOL』と、「クロちゃんと女性」の掛け合わせで企画の大ヒットを連発してきた。そして今回、クロちゃんに仕掛ける企画は、「人でズラす」笑いの決定版と言っても良い。
人でズラす笑いって?
「笑い」というのは「常識と非常識との落差」があるところに生まれる。そしてその落差によるズレの作り方は、大きく分けて2つ。「発想でズラす」か、「人でズラす」かとなる。
現在のお笑いの主流は「発想でズラす」ほう。例えばおもいっきり単純化すると、「大喜利」に代表される「常識と違う事をうまく言う」事で成立させる笑いであり、シンプルかつ分かりやすく、現在ほぼ全ての芸人の、笑いの骨子となっている。
一方で今回、主軸となっているのが「人でズラす」笑いだ。例えば「泥棒が道徳を説く」行為が滑稽であるように、「人が非常識」であれば、「言動が常識的」であってもそこに落差が生まれる。分かりやすく言うと、「誰が言ってんねん」・「誰がやってんねん」とツッコまれるような笑いのこととなる。
そう、この「人でズラす」笑いの特徴は、「真っ当な言動がボケになる」という所である。
「人(=ここではクロちゃん)」が「-100」の位置にいるから、言動が「常識」の「±0」でも、結果100の落差がつく。実際クロちゃんの言動は、好意を寄せてくれる女性に対してならば、常識からさほどズレていないものも多い、と思えるはず。しかしそこが大きな笑いに繋がっているのは、以上の理由からだ。
それではなぜ、この企画が「人でズラす笑いの決定版」なのか。
それはこの企画中のクロちゃんの言動が、常識を基準値として考えた場合、自身が置かれている位置と「逆ベクトル」に伸びているからだ。先の例でいえば「泥棒が道徳を説く」どころか、「泥棒が聖者として語る」レベル。「超ド級テクのホスト」が女性を掌で転がすが如く、「超ド級のモンスターキャラ」であるはずのクロちゃんが、それと同じ言動を取ろうとしている。自身の身の丈にそぐわない、真反対の言動を取るからこそ、この上なく大きな笑いが発生する、という計算だ。
また上述のように、この企画の笑いのベースは「発想」ではなく、「人」にある。つまりこの企画はクロちゃんの(お笑い芸人としてテレビなどで見せている)人間性に根ざした笑いであり、その為、例を見ないほどオリジナリティの高い笑いとなっている。もし仮に100人の芸人を使って同様のシチュエーションを用意したとしてもここで作られる笑いは、『水ダウ』でしか見る事ができないであろう。
『MONSTER LOVE』は、まだ始まったばかり。「TVer」・「Paravi」でも見逃し配信中です。
KinKi Kids「ジャニーさんが初めて間違ったグループ」中居と振り返る奇跡と軌跡
7月1日放送の『中居正広の金曜日のスマイルたちへ』(TBS系)では、KinKi Kidsの波乱万丈スペシャルが放送され、再現ドラマを元に、ジャニーズの後輩たちのインタ...サイゾー人気記事ランキングすべて見る
イチオシ記事