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日刊サイゾー トップ > エンタメ  > 有吉の黙食リポに垣間見た“らしさ”

『有吉クイズ』ゴールデン昇格に垣間見た有吉弘行の生き方、“らしさ”と黙食

“テレビ的”だった博多華丸の食リポとの対比

 続いての店舗は、さざえ丼が名物の「中西食堂」。ここで有吉は華丸と合流した。

 あろうことか、このお店で有吉は食べないらしい。理由は、お腹いっぱいだから。すでにラーメンとカレーをお腹に入れたのだから、当然といえば当然。だとしても、ひどい番組である。

 かねてより、「内容物(内臓系)が苦手」と公言していた有吉だ。だから、同店のさざえ丼を避けたのか? ……とも思ったが、以前は豚の脳みそをバクバク食べていたし、ヒッチハイク企画で行ったトルコではフジツボもたいらげていた。真偽の程はわからずじまいだが、お腹いっぱいなのは確かだろう。

 というわけで、有吉の代わりに食リポを担当するのは華丸である。

「(口に入れた途端)やっぱ、ウマかあ!」(華丸)

 有吉の黙食を見た後だと、やっぱりわざとらしい。なにしろ、口に入れた瞬間に美味のリアクションをとるのだから。従来のテレビ的な食リポは、華丸のほうである。

状況次第で“テレビ的”にも極端に振り切れる有吉

 一行が最後に向かったのは、鯛茶漬けが名物の老舗割烹料理店「割烹 よし田」であった。

 まず、“本命”鯛茶漬けの前にやりいか活造りをいただく模様。これを食した有吉は、「こんなに歯ごたえが!」と一言。なぜか、めずらしくリアクションをとったのだ。律儀にちゃんとコメントしている。

 そして、いよいよ鯛茶漬けをいただく流れに。まずは、お店の大将から食べ方を教えてもらう有吉。

大将 「1膳目はお刺身のような感じで、(鯛の刺し身を)ご飯と一緒に召し上がっていただきまして。2膳目のときは鯛を(ご飯の)上にのせていただき、お茶をかけていただきますと2度楽しめます」

有吉 「なるほど」

 1杯目は大将が言った通り、お刺身のように鯛をいただく有吉。

「これは、普通に食べていいんですね? いただきます」(有吉)

 一口目を入れた直後、至福の表情で「ありがとうございます」と頭を下げ、鯛をお茶漬けとしていただいた2杯目では「これはありがたい!」と感無量の気持ちを露わにした有吉。らしくない。
 
 華丸と大将が目の前にいる状態で、無表情を通すのはさすがに難しかったのだろう。先輩・華丸がいることで、無言で食べる『有吉クイズ』のオリジナル演出は不可能となり、結果、普通の食リポになってしまっている。4軒目の食リポは、有吉弘行の“テレビ的バージョン”だ。

 さらに、補足情報がある。実は有吉、2020年4月5日放送の『有吉ぃぃeeeee!』ですでにこの店を訪れており、しかも鯛茶漬けは体験済みなのだ。それでいて、まるで初見の客みたいなリアクションを見せた、大人の態度っぷり。

 ラーメン(黙食)、カレー(黙食)、さざえ丼(食リポ拒否)と、3軒目までの食リポと比較すると、割烹での有吉は極端にテレビ的だった。これは、自身の冠番組がゴールデン進出と同時にグルメ番組へと化したが、「それも大物MCになった自分の役割の1つ」と大人な態度で割り切る有吉のタレント性を皮肉にも表していたように思える。限られたわずかな自由度で、やりたいことをやらせてもらう。そんな悲しくも大人な有吉の生き方が、ゴールデン帯進出以降の『有吉クイズ』からは垣間見えるのだ。

 大人の事情は、視聴者にもなんとなくわかる。だとしても、残念に思う点がないではない。最初は衝撃的だった黙食シリーズも、あまり頻繁に見せられるとさすがに飽きてくるのだ。なにしろ、有吉はしゃべらない。黙食だけに、どの料理を食べても絵的にあまり変化は起きない。スタジオにいるパネラー陣も「なんすか、これ!」「普通、こんなのテレビでやらない!」というリアクションに終始し、ツッコミのバリエーションを増やせずにいる。

 無言で豚の脳みそを食べ続ける有吉の姿がサイコっぽくて、深夜時代の『有吉クイズ』はそこが面白かったのだが。

寺西ジャジューカ(芸能・テレビウォッチャー)

1978年生まれ。得意分野は、芸能、音楽、格闘技、(昔の)プロレス系。『証言UWF』(宝島社)に執筆。

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最終更新:2022/11/30 19:00
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