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日刊サイゾー トップ > エンタメ  > 有吉の黙食リポに垣間見た“らしさ”

『有吉クイズ』ゴールデン昇格に垣間見た有吉弘行の生き方、“らしさ”と黙食

『孤独のグルメ』に似ているようで対極の演出法

 続いて有吉が向かったのは、「106 サウスインディアン」。元5つ星ホテルのシェフが作る、南インドの絶品カレーが味わえるお店だ。そういえば、有吉はカレーに目がない。『有吉ぃぃeeeee!~そうだ!今からお前んチでゲームしない?』(テレビ東京系)では、「江戸川区インド人街名誉アンバサダー」に任命されたほどのカレー好きだ。

「インドに1カ月くらい滞在してましたから、ちょっとインドカレーにはうるさいんですよ」(有吉)

 『進め!電波少年』(日本テレビ系)における、「ユーラシア大陸横断ヒッチハイク」インド編のことを言っているのだろう。いや、あのときの有吉はとてもカレーを食べられる状況じゃなかったと思うのだけど……。

 ちなみにこのお店、オーナーさんと華丸の関係性が深いらしい。なんと、「華丸白虎隊」の1つに数えられる店舗だそう。東野幸治曰く、「華丸のためなら身を捧げるくらいの店主が営んでいる飲食店」を、名付けて「華丸白虎隊」と呼ぶようだ。いや、福岡なのに白虎隊って……。

 このカレー店で有吉がオーダーしたのは、スペシャルランチ(バターチキンカレー、タンドリーチキン、ナン、アイスコーヒー)とダルカレーであった。さすがの大食漢。アラフィフなのに、よくこんなに食べられるものである。ウォーキングが趣味だけに、それだけ摂取量が多いのかもしれない。

 最初に出てきたのは、お通し感覚のスペシャルランチ用サラダであった。意外にベジファーストを気にしている有吉。これをバクバク食べる彼だが、しっかりキュウリを残しているところが味噌。決して媚びず、嫌いなものは躊躇せず残すグルメ番組である。

 続いて出てきたのは、タンドリーチキンだ。もちろん、こちらも安定の黙食。ご飯かナンかバゲットが欲しいところだが、彼はチキンだけでいく。『孤独のグルメ』みたいにナレーションで心の声を付け足せばわかりやすいだろうが、断じてそれはしない。『孤独のグルメ』と似ているようで、『孤独のグルメ』とは対極の演出法を『有吉クイズ』は選んでいた。

 その後に出てきたのは、豆から作るダルカレーである。パッと見、おかゆみたいだし、あまり我々には馴染みのないカレーだと思う。できれば、有吉に解説してほしい。なのに、やはり彼は黙食する。何もレポしない。でも、下手にゴチャゴチャ語られるより興味は惹かれる。いわば、これは“コメントしない食リポ”か?

 あまりにおいしそうで、見ているこっちが口をパクパクしてしまう有吉の黙食。やり方としては、彦麻呂のそれとは対極なリポートの仕方だ。彼が選んだ手法はYouTuberには難しいだろうし、この手法をゴールデン枠で成立させる有吉のタレント力はやはり強い。しかも、黙食でおいしさは十分伝わるので、世のグルメ番組がいかに“テレビ的”な文脈でパッケージされているかが、逆説的に露わになった感もある。

 さあ、最後は本命のバターチキンカレーだ。これを一口いった直後、「コクコク」とうなずく有吉。どうやら、当たりだったっぽい。口に入れた瞬間、まだ味わってもいないのにしゃべり始めるリポートより、夢中で食べてるほうが感情は伝わってくる。少なくとも、視聴者に「おいしそう!」と思わせるのは“コメントしない食リポ”のほうだ。事実、筆者は放送翌日、ランチをカレーにしてしまった。

 最後はナンでお皿を綺麗に拭き、必要以上にたいらげた「飽食の時代」どこ吹く風の有吉。そう、カレー店ではこれをするためにナンを注文したいのだ。正確にいえば、ナンでカレーを食べる文化は南インドではなく北インドが主流だ。“南インドの絶品カレーが味わえるお店”というコンセプトにナンはそぐわない。でも、客としてはナンがあってくれたほうがありがたい。

 有吉はお皿を極端に綺麗にしてみせた。そのまま、次の人にこのお皿を出せそうなレベルだ。間違いなく、カレーがおいしいのは伝わってきた。キュウリは残すけど、カレーは残さない有吉。

 彼は本当によく食べる。『有吉ゼミ』(日本テレビ系)でのギャル曽根との大食い企画に、有吉本人が出ればいいのでは? と、思うくらいの大食らいだ。さすが、“ビッグ有吉”。朝ラーメンをいき、2軒目では2人前のカレーを綺麗にたいらげた快男児である。

 それでいて、太らないのも不思議。日ごろ、恐ろしいほど歩く彼の散歩趣味の賜物だろうし、さらに、プライベートでは木村拓哉と同じジムに通いワークアウトに励んでいるという情報も漏れ伝わってきている。

 店を後にした有吉は、カレーの感想をスタッフに述べた。

「いいですね、おいしいですね。オシャレ&本格的でした。『ちょっとオシャレすぎるから、味は……?』と思ったんですけど、めちゃめちゃおいしかったです。本格的でしたねぇ」

「(ダルカレーは)日本で言うところのお味噌汁じゃないですけど、ちょっとあれで口直ししながらまたちょっと濃い目のカレーを食べて、ちょっとまたあれで口直ししながら……っていう」(有吉)

 だから、後で語るなら素直に食リポすればいいのに! ……という意見もあるだろうが、それじゃダメなのだ。理由は、今まで書いてきた通りである。

 このタイミングで、華丸から有吉に電話がかかってきた。

華丸 「なんか、あんまりおいそうに食べてないみたいな……」

有吉 「そんなことないです(苦笑)。非常においしくいただいております」

華丸 「本当ですか? (電話が)かかってきましたよ、オーナーから連絡が」

有吉 「あんまりおしゃべりせずに食べてるもので、そういうふうにとられてるかもしれませんけど」

 華丸白虎隊からの報連相を受け、有吉を詰める華丸。たしかに、説明もせずテレビ収録であんな食べ方をしていたら、お店側は不安に思うだろう。ゴールデン枠の番組で、自店のメニューを大物タレントが黙食しているのだ。心配になっても不思議じゃない。視聴者的には、むしろめちゃくちゃおいしそうだったのだけど。

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