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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム > 世界は映画を見ていれば大体わかる  > 『スーパーパンプト』が痛快すぎる!
世界は映画を見ていれば大体わかる #40

「法が腐ってるんだ」Uberの栄枯盛衰を描いた『スーパーパンプト』が痛快すぎる!

トラヴィスとトランプはよく似ている?

 そういう意味でトラヴィスとトランプはよく似ている。過剰な上昇志向、傲慢すぎる態度、妥協なんかしない、敵は叩き潰さなければ気が済まない。モラル無視もルール違反クソくらえ、みんな成功する人間が大好きなんだろといって憚らない。トラヴィスはある意味魅力的ではある。危険すぎるほどに。

 周囲のスタッフや投資家からも見放され、ひとりぼっちになったトラヴィスは観客に向けて大演説をぶつ。

「俺のしたことは非難されるが、真実はこうだ。世界を変えるには仕方のないことだ。クソだっていうなら、俺はクソさ。認めろよ。みんなUberを使ってる。好きな時に呼べば来る。俺の革命から生まれたんだ。俺の恩恵に預かってるんだ。みんな俺のおかげなんだ!」

 これってAmazonがあまりに便利なのでみんな利用しているけど、注文された商品を工場でピッキングするスタッフや配送するトラックドライバーは、重労働なのに低賃金だ。便利になった生活の裏で、誰かが苦しめられている。そういった負の一面をニュースで知らされてもユーザーはAmazonを利用するのをやめられないというのに似ている。そうそう、大演説の途中でトラヴィスはジョブズもゲイツもクソだ! っていうけどAmazonの創業者ジェフ・ベゾスだけは「怖いからやめとこう」っていうの(笑)。

 この鼻もちならないクソ野郎は確かに大した奴ではある。彼は自分の起こした会社から追い出されたけど、Uberは今も残ってユニコーンを脱して上場企業になったんだから。あなたにも世界が変えられる。クソになる覚悟があれば。

 

 

しばりやトーマス(映画ライター)

関西を中心に活動するフリーの映画面白コメンテイター。どうでもいい時事ネタを収集する企画「地下ニュースグランプリ」主催。

Twitter:@sivariyathomas

しばりやとーます

最終更新:2023/02/24 11:41
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