『ドラフトコント』好評で、コント番組が“冬の時代”を乗り越えそうな需要
#吉松ゴリラ
11月19日にフジテレビで『ドラフトコント』が放送された。当番組は、5名の芸人がキャプテンとなり、一緒にコントをやりたいと思う芸人を20名の中からドラフト制で指名。1カ月の稽古期間を経て観客前でそのコントを披露し、チャンピオンを決定するという内容。
今回チームキャプテンには「千原ジュニア(千原兄弟)」「小籔千豊」「春日俊彰(オードリー)」「田中卓志(アンガールズ)」「長田庄平(チョコレートプラネット)」が抜擢された(※敬称略)。披露されたコントは、作品性の高い正統派コントからシュールな世界観を持つコントまで、その種類は多岐に渡って各チームの個性が光る5つの傑作コントが出揃った。
コント番組が増加する背景
少し前までは、今回のような大型特番で、コント番組が取り扱われるのは稀。お笑い芸人のブレークも、漫才師がネタで注目を浴びた後に、トークバラエティに呼ばれるといった流れが主流であった。
漫才は「ネタ」が名刺代わりであり、ネタを見れば各々のキャラクターや関係性がわかる。そのため、トーク番組初登場であったとしても、何となく演者としての扱い方が分かる。しかしコントの場合そうはいかず、当時コント師は「ネタでハネた後、トークでもう一度ハネなければならない」と言われ、苦戦を強いられてきた。そのため漫才師の需要が、コント師の需要を上回っていたように思う。
しかし現在多くのコント番組が乱立し、沢山のコントが世に出ている。その背景の一つとして、お笑いブームに後押しされた「人気芸人をたくさん出してネタをやりたい」という思惑と、「コント」という演芸のマッチングがあると思われる。
なぜならコントは、ユニットや急造コンビで行うには、漫才よりはるかにやりやすいのだ。
集団では漫才よりコントのほうが、行うにはやりやすい?
基本的に漫才は、各々が持つ「個性」と「関係性」を魅せる芸である。お互いの個性を大事にし、その個性を持った二人だからこそ出来上がる関係性があり、その「個性」と「関係性」が最も映える「ネタ」を用意する。漫才とは先に「個性」と「関係性」があり、それらを最も光らせる「ネタ」を後から考えるものなのである。
そのため漫才は、どんなにおもしろくても「そのコンビならでは」のものが多い。お互い初めましての急造ユニットの場合、表面をなぞるような浅い漫才になってしまう。また複数人で関係性を作る事が難しく、時折コンビ2組が4人で漫才をすると、キャラが渋滞したり担う役どころ(ボケ・ツッコミ)が重なったりと、途端に表現する方法が難しくなる。
逆にコントは、設定勝負の側面が強い。登場人物のキャラクターやパーソナルな設定も「本人自身の個性」ではなく、「台本」が用意されるので演者はその役を憑依して演じる。演者によって得手不得手はあるものの、ある程度表現の幅がある芸人にとっては、演じる事が出来る役柄は多い。また、登場人物を自然に増やせる所もコントの魅力だ。上述した漫才のような渋滞は起こりにくく、役柄と出順を振り分けさえすれば見やすくなる上に、ストーリーに厚みを出す事ができる。
つまり、昨今のコント番組の増加は「人気芸人をたくさん出したい」・「人気芸人をコラボさせて、プレミア感のあるネタを放送したい」という時代の需要と、「コント」という演芸が持つ長所が程よくマッチした結果と感じる。
そして現在、ネクストブレイクと言われる芸人達の中には、強烈なキャラクターや特徴のある芸人が数多く存在する。彼らが世に出ればまた、彼らを起点とした新しいコントが生まれる。今後も良質なコントが生まれていくだろう。
オードリー春日俊彰の「コント」と私たちの15年間
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