トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • x
  • feed
日刊サイゾー トップ > エンタメ > お笑い  > コント番組“冬の時代”を越える?

『ドラフトコント』好評で、コント番組が“冬の時代”を乗り越えそうな需要

『ドラフトコント』好評で、コント番組が冬の時代を乗り越えそうな需要の画像1
『ドラフトコント』フジテレビ 公式サイトより

 11月19日にフジテレビで『ドラフトコント』が放送された。当番組は、5名の芸人がキャプテンとなり、一緒にコントをやりたいと思う芸人を20名の中からドラフト制で指名。1カ月の稽古期間を経て観客前でそのコントを披露し、チャンピオンを決定するという内容。

 今回チームキャプテンには「千原ジュニア(千原兄弟)」「小籔千豊」「春日俊彰(オードリー)」「田中卓志(アンガールズ)」「長田庄平(チョコレートプラネット)」が抜擢された(※敬称略)。披露されたコントは、作品性の高い正統派コントからシュールな世界観を持つコントまで、その種類は多岐に渡って各チームの個性が光る5つの傑作コントが出揃った。

コント番組が増加する背景

 少し前までは、今回のような大型特番で、コント番組が取り扱われるのは稀。お笑い芸人のブレークも、漫才師がネタで注目を浴びた後に、トークバラエティに呼ばれるといった流れが主流であった。

 漫才は「ネタ」が名刺代わりであり、ネタを見れば各々のキャラクターや関係性がわかる。そのため、トーク番組初登場であったとしても、何となく演者としての扱い方が分かる。しかしコントの場合そうはいかず、当時コント師は「ネタでハネた後、トークでもう一度ハネなければならない」と言われ、苦戦を強いられてきた。そのため漫才師の需要が、コント師の需要を上回っていたように思う。

 しかし現在多くのコント番組が乱立し、沢山のコントが世に出ている。その背景の一つとして、お笑いブームに後押しされた「人気芸人をたくさん出してネタをやりたい」という思惑と、「コント」という演芸のマッチングがあると思われる。

 なぜならコントは、ユニットや急造コンビで行うには、漫才よりはるかにやりやすいのだ。

集団では漫才よりコントのほうが、行うにはやりやすい?

 基本的に漫才は、各々が持つ「個性」と「関係性」を魅せる芸である。お互いの個性を大事にし、その個性を持った二人だからこそ出来上がる関係性があり、その「個性」と「関係性」が最も映える「ネタ」を用意する。漫才とは先に「個性」と「関係性」があり、それらを最も光らせる「ネタ」を後から考えるものなのである。

 そのため漫才は、どんなにおもしろくても「そのコンビならでは」のものが多い。お互い初めましての急造ユニットの場合、表面をなぞるような浅い漫才になってしまう。また複数人で関係性を作る事が難しく、時折コンビ2組が4人で漫才をすると、キャラが渋滞したり担う役どころ(ボケ・ツッコミ)が重なったりと、途端に表現する方法が難しくなる。

 逆にコントは、設定勝負の側面が強い。登場人物のキャラクターやパーソナルな設定も「本人自身の個性」ではなく、「台本」が用意されるので演者はその役を憑依して演じる。演者によって得手不得手はあるものの、ある程度表現の幅がある芸人にとっては、演じる事が出来る役柄は多い。また、登場人物を自然に増やせる所もコントの魅力だ。上述した漫才のような渋滞は起こりにくく、役柄と出順を振り分けさえすれば見やすくなる上に、ストーリーに厚みを出す事ができる。

 つまり、昨今のコント番組の増加は「人気芸人をたくさん出したい」・「人気芸人をコラボさせて、プレミア感のあるネタを放送したい」という時代の需要と、「コント」という演芸が持つ長所が程よくマッチした結果と感じる。

 そして現在、ネクストブレイクと言われる芸人達の中には、強烈なキャラクターや特徴のある芸人が数多く存在する。彼らが世に出ればまた、彼らを起点とした新しいコントが生まれる。今後も良質なコントが生まれていくだろう。

 

 

吉松ゴリラ(お笑い芸人)

SHUプロモーション所属。 宮崎大学大学院首席。もともとコンビで活動をしていたが、解散後ピンへ転身した。

Twitter:@hidetaka111

Instagram:@h_yoshimatsu

YouTube「よしまつゴリラちゃんねる」

よしまつごりら

最終更新:2022/11/27 07:00
ページ上部へ戻る

配給映画