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ジャニヲタおじさんのアイドル公論(6):アイドルと退所

タッキーとキンプリ脱退に見る「去る信念」「残る信念」──企業利益と自己実現のジレンマ

タッキーとキンプリ脱退に見る「去る信念」「残る信念」──企業利益と自己実現のジレンマの画像1
King & Prince Johnny’s net 公式サイトより

──ジャニーズを愛するおじさんが考える、アイドルと世相のあれこれ。

 11月に入って、ジャニーズには2つの大きなニュースがありました。ひとつは、11月1日に発表された、ジャニーズアイランド代表取締役社長、タッキーこと滝沢秀明さんの退任と退社。もうひとつは、11月4日に発表された、King & Princeの岸優太くん、平野紫耀くん、神宮寺勇太くんの脱退と退所です。どちらの発表も、ファンはもちろん多くの方に衝撃を与えたものでした。

 1カ月ほど前には想像だにしなかった、いずれもジャニーズ事務所の今後の在り方をも揺るがしかねない大きな出来事で、ジャニーズファンである私自身も大きなショックを受けました。率直に言って、悲しいです。私が40年近くジャニーズのアイドルを見てきた中で、この一連の出来事は今までで一二を争うほどショックでした。タッキーもKing & Princeも、間違いなく創始者亡き後のジャニーズ事務所を牽引する存在だと信じていました。それだけに、いったいどうしてこうなってしまったのだろう、という思いがあります。

 いちジャニヲタとして、タッキーがアイドルを辞してまで、ジャニー喜多川さんの跡を継いでプロデューサーという裏方へと転身したその決意の重さを感じていました。2019年1月にジャニーズアイランドの代表取締役社長、そして同年9月にジャニーズ事務所の副社長に就任して以降も、ジャニーズJr.の育成やプロデュースを中心に、常に精力的に活動し、裏方にもかかわらず、その存在感は誰の目にも明らかなものでした。ある意味、人生をジャニーズに捧げた人、と言っても過言ではないでしょう。

 それが、わずか4年足らずで、タッキーがあれだけ愛したはずのジャニーズ事務所を去らなければならなかった、という事実に愕然とします。そんなに簡単にあきらめるような人ではない、そんなに簡単に折れるような人でもない、ジャニーズを愛する人ならおそらくそう感じる人も多いはずです。そして、タッキーがジャニーズを去る、それが意味する事態の深刻さを、ジャニーズのファンであれば容易に想像できるはずです。

 King & Princeは、ジャニー喜多川さんが晩年寵愛し、彼が最も心血を注いだとも言えるグループです。人気と実力の両方を兼ね備えた、まさに今後のジャニーズ事務所を引っ張るべき存在です。事実、現在のKing & Princeはデビュー時点で誇っていた才能をしっかりと磨き続け、愛されるキャラクターも相まって、デビューを果たした多くのグループの中でも圧倒的な存在感を放っていました。

 私は、Travis Japanが全世界デビューを果たした後、おそらく次に世界へ攻め込んでいく大本命はKing & Princeだろうとさえ思っていました。特に最近の5人が見せるパフォーマンスは、世界を目指す本気度が伝わるものでした。それだけに、少なくとも脱退、退所する3人のコメントを聞く限り、彼ら自身が下した到底そのレベルに至っていないということに、私はしばらく理解が追いつきませんでした。

 タッキーの退社とKing & Princeの脱退、それぞれの直接的な原因はおそらく全く異なるものだったのではないかと推測しています。2つの出来事の因果関係について臆測記事もおそらく多いことでしょう。ただ、少なくともKing & Princeのメンバーから発せられる言葉からは、その原因としてグループ内での方向性の違いが一番大きかったのではないかと思いました。事務所が示した活動方針に対する考え方の違いも、あるいはあったのかもしれません。ただ、King & Princeの脱退劇は、彼らがそれぞれに考えていたであろうエンターテイナーとしての在り方を、最終的に擦り合わせることができなかった結果のように感じています。

 ジャニーズ事務所が、5人のKing & Princeを維持することができなかったことは、残念ながら紛れもない事実。King & Princeがジャニーズ事務所にとって将来を担う大切な存在であると同時に、今のジャニーズ事務所の売り上げを大きく支える存在であったことも、間違いないでしょう。King & Princeを維持できなくなることで被る損失は、我々ファンですら容易に想像できます。当然事務所が維持するための最大限の努力をしないはずがありません。しかし結果だけ見れば、やはり彼らが抱える問題を事務所が解決することはできなかったと言わざるを得ません。

 また、タッキーにしても、傍目から見れば、社内での立場を確立し、ある程度の裁量を持って自身が実現したいプロデュースや後進の指導に邁進していたように思っていました。組織を離れた今も退社に関して明確な意見等の表明を行ったわけではないため、本当のところはまだ何もわかりません。ただ、退社という決断に至ったということは、自身が考えていたより大胆な戦略や投資が今のジャニーズ事務所では難しいと判断したのかもしれません。

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