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宮下かな子と観るキネマのスタアたち50

『天気の子』、映画館のバイトで見たお客さんたちとヒロイン・陽菜の横顔

『天気の子』、映画館のバイトで見たお客さんたちとヒロイン・陽菜の横顔の画像1
文/イラスト 宮下かな子

 上京してから、多分人並み以上にアルバイトを経験してきた。数えてみたら15種類以上。 赤裸々に打ち明けると、昨年の夏までアルバイトをしていました。

 本業の収入が不安定なので、もう1つ仕事があることに安心感があったのだけど一度、本業1 本で生活する覚悟を持とうと思い、ちょうど舞台やらドラマの撮影でバタバタしていたことにも背中を押されて、思い切って辞めてみたのが1年前。不安は常にありますが、今もなんとかギリギリ生活できています。

 経験は豊富な私ですが、恥ずかしい話、人に話すと引かれてしまうくらい失敗エピソードが多数。お盆にのせた飲み物をこぼすという典型的なものは勿論のこと。ハイボールと注文されれば「何割ですか!?」と聞いていたし、レジ打ちが遅すぎて本を万引きされたこともあるし、厨房の排水溝掃除をしていることを知らず、その排水溝に勢いよく落ちて営業中に悲鳴を響かせたことも。

 失敗エピソードを話し出したらキリが無いくらい、聞いている人が段々苦笑いになるほど出てきます。今だから笑い話にできますが、随分とご迷惑をおかけしてきました。私だって、私みたいな人と絶対働きたくないもん!(笑)

 そんなわたしの、失敗エピソードの少ない(ないわけではありません笑)アルバイトの1つが、映画館のチケットのもぎり!

 仕事内容は、担当になったシアターの時間帯をチェックして、入り口でチケットをもぎり、上映終了時間に扉を開けてお客さんを送り出し、忘れ物チェックをして軽く掃除等。基本的にこの繰り返しで比較的のんびり。

 業務としてもうひとつ、上映の途中にシアター入り、シアター内をチェックするという作業があって、私はこの作業が大好きでした。だって、映画を観ている大勢の人の顔が見られるから!

 もともと私、誰かと映画を観に行くと、映画の途中でその人の表情を見るのが好きなんです。自分がグッときたシーンの時に、ちらりと隣を見て、その人も良い表情をしていたら本当に嬉しくて。それがね、映画館のスタッフだとものすごく沢山の人の顔が一度に観れるんですよ。スクリーンの光に照らされた顔が、いっぱい! 今まで観たことない光景だったなぁ。みんな夢中でまっすぐで、良い表情をしていて。 長くは働きませんでしたが、あの光景は、心の中でシャッターを押したような大切な思い出で、今でもしっかり胸に刻まれています。

 突然こんなアルバイト話を始めたのは、最近Netflixで観た新海誠監督の『天気の子』が、私が映画館で働いていた時期に上映されていた作品だったから。上映回数も多かったからか、『天気の子』は多くもぎりを担当した作品で、何度も『天気の子』を観る沢山の人の顔を見てきました(笑)。

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