また12球団最多記録を更新、西武ライオンズの主力が次々とFA流出するシンプルな理由
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プロ野球は現在オフシーズンだが、アツいのが移籍市場だ。
オリックス日本一の立役者の吉田正尚、ソフトバンクの千賀滉大、DeNAの山崎康晃らがメジャー移籍を目指せば、日本球界屈指の好打者の森友哉(西武)と近藤健介(日本ハム)もFA移籍の意向を表明し、森はオリックスへの移籍が決まった。
今回の森の移籍で、西武からFAで選手が流出するのは20人目。この数字は12球団で飛び抜けて多い。
「FAが導入されたのは1993年で、翌年にはさっそく、工藤公康と石毛宏典という投打のチームの顔が移籍。その後も清原和博、松井稼頭央、和田一浩、中島宏之、涌井秀章、岸孝之、浅村栄斗、秋山翔吾と、その時代の球界を代表する名選手が他球団に移籍しています。ただ、工藤と石毛が抜けた1995年以降、西武はリーグ優勝7回、日本一に5回輝いており、最下位はわずか1度だけ。FAでの大量流出は目立ちますが、育成力の高さも注目されて然るべきでしょう」(野球ライター)
とはいえ、毎年のように主力が他球団に出ていく状況は、ちょっと“普通”ではない。大きな理由のひとつは、「お金」だ。
「これはわかりやすい理由ですが、西武は全体的に査定がカラいのが特徴です。年俸総額が12球団の中で突出して低いわけではありませんが、例えば浅村の場合、西武で2億1000万円(金額は推定)だった年俸は、楽天で一気に5億円に跳ね上がりましたし、巨人に移籍した野上亮磨は、5000万円から『3年4.5億円』と、まさかの3倍増。これでは残れというほうが無理な話です。
近年、特に目立つのは楽天の強奪ぶりです。岸、涌井、浅村、牧田和久、炭谷銀仁朗と、選手が次々に移籍し、『楽天ライオンズ』と呼ばれるほど。また、松井、中島、秋山など、メジャーから帰ってきた際に、古巣に戻らないのも西武ファンの大きな不満のタネになっています」(週刊誌スポーツ担当記者)
球場の環境が良くないという声も根強い。
「西武の本拠地は西武ドーム(ベルーナドーム)ですが、『ドーム』とは名ばかりで、実際は屋根付き球場。もともとあった球場に“傘”を乗っけただけで、壁面がぱっかりと開いているため、春先は寒く、夏は空気が籠もって蒸し暑く、霧が入り込んだり、鳥が飛び込んだりすることもあります。しかも球場周辺は丘陵地帯で道は狭く、渋滞が酷いので、近隣に住んでも通勤には時間を要します。2021年まで在籍したメヒアは、数億円の年俸をもらいながらも電車で通勤していました」(前出・野球ライター)
どれだけ高い車に乗ろうが、渋滞の前では無力。試合が終わってヘトヘトの体に渋滞は堪えそうだ。しかし、選手は表立って声には出さないものの、一番有力な理由は“これ”だと関係者は語る。
「選手のみならず監督やコーチ、さらに解説者や取材陣まで文句を言うのは、歓楽街まで遠いことです。試合が終わっても球場近辺に飲み屋はなく、最低でも所沢駅周辺まで移動しなくてはなりません。都心まで出れば、たっぷり1時間は掛かります。ドラフトで指名された地方出身の高卒選手が、初めて球場を訪れて、ショックを受けた様子で『ウチの地元より田舎だ』とこぼしたこともありました。
1980年代から90年代の西武黄金時代の主力選手は近隣の小手指あたりに住んでいましたが、近年は立川市内が人気。ここ10年ほどで立川駅周辺は一気に栄えましたからね。選手の中には都内に居を構えている選手もいますが、下手すると通勤に1時間半ぐらい掛かります。
西武ファンは非常に温かく、他球団のように厳しいヤジが飛ぶことは稀ですが、結局、試合後に飲みに行けないような環境だと、どうしても不満は溜まります。他球団の選手は試合後にバンバン合コンなんかをしてるんですから(笑)。また、西武は地元との繋がりも薄いですね。西武沿線では圧倒的に人気ですが、同じ埼玉県でもJRや東武沿線の住民には“おらが街のチーム”という感覚はゼロ。そのあたりも、FAでチームを出る抵抗が薄い理由のひとつなのは間違いないでしょう」(前出・スポーツ担当記者)
来年はキャプテンの源田壮亮、山川穂高がFA権を獲得する見込みだが、彼らの決断やいかに?
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