フジテレビ『silent』『エルピス』でドラマ王国に返り咲く? 快進撃の内部事情
#ドラマ #フジテレビ
長らく各番組の低視聴率が続いていたフジテレビ。しかし、そんなフジに希望の光が見え始めている。
今秋スタートのドラマ『silent』と『エルピス —希望、あるいは災い—』が、大きな話題を作っているからだ。
「両ドラマともに視聴率が特段に良いわけではないですが、聴覚障害を扱ったラブストーリーの『silent』は、10月31日から11月6日の期間の一週間だけでTVerの関連動画の再生数が累計1000万回を越えた。これは、かつてない記録的な数値となります。TVer独占の『第4話 エピソード0』を制作するなど、とにかく配信に力を入れている。また、『エルピス』はカンテレ(関西テレビ)制作ですが、こちらも冤罪事件という難しいテーマを、スキャンダルで失脚した女性アナウンサーが追う作品。主演の長澤まさみの迫真の演技もよく、大根仁監督を中心に作り込んだ世界観が話題となっている。視聴率は初回から下降を続けていますが、業界視聴率は高く、高評価を得ています」(民放関係者)
業界人を驚愕させたのは、フジにおける女性が手がけるオリジナル脚本の多さだという。
「今秋のフジ放送のドラマは、メインとなる4作品中3つのドラマが女性による脚本になります。話題の『silent』では、新進気鋭の生方美久氏が脚本を務め、秀逸なオリジナルストーリーを作り出している。生方氏は『フジテレビヤングシナリオ』の出身で、フジの秘蔵っ子と言われている。今作が本格的な脚本家デビューとなり、プロデューサーをはじめ多くの人間がサポートしています。これまで、ヤングシナリオ出身者は他局で成功するというトホホなジンクスがあったため、フジは生方氏の囲い込みを始めているようです」(同上)
『エルピス』の脚本は、映画『ジョゼと虎と魚たち』(2003)やNHK連続テレビ小説『カーネーション』(2011)で注目を集める渡辺あや氏が担当している。
「『エルピス』に関しては、冤罪を扱っていることで、警察や司法の裏側もしっかり描いている。しかも、大手テレビ局の腐敗ぶりもしっかりと描けているので、当のテレビ関係者が盛り上がっているんです(笑)。報道部の人間がムダに忙しそうにしている様子など、裏側がしっかりわかっている。堤幸彦氏や秋元康氏に可愛がられた大根氏はテレビ業界でも長く仕事をしているので、その内情を渡辺氏に伝えているようです」(同上)
まさに“ドラマのフジテレビ”が復活しそうな勢いだが、この流れを作ったのは、かつて伝説のテレビマンとして名を馳せた2人の存在だという。
「フジは今年6月、かつてバラエティー番組で活躍した港浩一が新社長に就任しました。実は、同じく6月末に専務取締役に就任したのが、伝説のドラマプロデューサーの大多亮氏です。『東京ラブストーリー』(1991)を始め、月9を盛り上げた立役者です。この大多氏が、フジのドラマや映画などの実質的な総責任者となっている。港社長も全権を委ねているようで、今回の秋ドラマから新体制が始まった。現在のフジの快進撃は、大多氏の影響が非常に色濃いと言われています」(スポーツ紙記者)
フジのドラマの好調は、用意周到なプランと予算にあると、他局のスタッフは分析する。
「『silent』は視聴率が二桁を越えないのに、ここまで話題になっているのは、SNSと見逃し配信に注力したからです。公式のツイッターアカウントは細かい情報や舞台裏を頻繁に更新しますし、視聴者へのメッセージをプロデューサーなども配信している。『エルピス』に関しても、謎解き要素を多くしてSNSでバズる仕掛けを取っている。“語りたくなるドラマ”を作ることを大多氏は求めているようです。
また、番組の制作費が縮小する中で、ドラマに関しては必要であれば金をかける方針にしたとか。『silent』は、主演の川口春奈、目黒蓮の他にも、篠原涼子や夏帆、風間俊介など主演クラスの俳優を脇役で豪華に使っている。そういった俳優陣の重厚な演技が、しっかりとしたドラマを作り上げています」(民放関係者)
さらに、ドラマのプロフェッショナルである大多氏が指揮をとることで、若手が自由に働ける環境も作り出しているという。
「大多氏は、なにかトラブルがあれば自分が責任を取ると若手に発破をかけているとか。なので『silent』では、若手脚本家の生方氏を起用できたんです。また、『エルピス』では新しい視点でテレビ業界の裏側も鋭く切り込めている。まあ、フジの報道部からしたら気持ちの良いものではないようですが(笑)。そういった調整も大多氏が行っているそうです。
また、フジといえば、月9ドラマの『PICU 小児集中治療室』が、北海道美瑛町を描いた際に、町議などから抗議を受けるトラブルが起きた。この際も、大多氏は間違いは謝罪した上で、現場に対しては、それでもチャレンジはするようにとアドバイスしたといいます。フジは今年の年初には早期退職者制度を行うなど、社内に嫌な空気が流れていましたが、ドラマ班だけは息を吹き返したようにやる気にあふれているようです(同上)」
そんな大多氏は、自ら動いて大きな仕事も獲得しているという。
「木村拓哉が主演を務めるスペシャルドラマ『教場』が、2023年4月期の月9で連続ドラマ 『風間公親-教場0-』として放送されることになった。当初は木村もジャニーズ事務所も連ドラ化を渋っていたようですが、大多氏が自ら提案したようです。ドラマでは、木村演じる風間教官の過去が描かれ、対立する犯人役に菅田将暉などの主役クラスをブッキングしたいと動いているようです」(フジテレビ関係者)
専務自ら陣頭指揮を取って、ドラマの立て直しを図っているフジテレビ。話題作ができれば映画化もできるだけに、低迷する会社の再浮上を狙えるかもしれない。
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