日本最北端、利尻島でウィスキー蒸留所を立ち上げた外国人−北海道産酒が人気に
#北海道
興味深い調査結果が11月に入って発表された。リサーチ事業をてがけるネオマーケティングが、北海道の魅力を「在住者」と「非在住者」についてそれぞれ調査した結果、「食事がおいしい」、「自然が豊か」、「地元の食材が豊富」などの項目では回答が近しい結果になったが、なかにギャップがある項目がいくつか明らかになった。
特にギャップが大きかったもののひとつに「お酒がおいしい」というものがある。在住者はお酒おいしさを推しているものの、非在住者にはあまり伝わっていないということになる。
これに加えてもうひとつ興味深いニュースがあった。今年10月末に、北海道稚内市からフェリーで1時間40分ほど離れた利尻島で、ウィスキー蒸留所が稼働開始したというものだ。これは日本最北のウィスキー蒸留所になるとして、NHKなどにも取り上げられている。
このウィスキー蒸留所を立ち上げたのは、日本人ではない。ニューヨーク出身の米国人経営者ケイシー・ウォール氏だ。ウォール氏は6年前に利尻島を訪れその魅力にどハマり。滞在中に、あることに気づいたという。それは、ウィスキーの本場であるスコットランド・アイラ島に気候や雰囲気が似ているというものだ。利尻はミネラル豊かな水にも恵まれている。すでに日本酒や地元の名産品である昆布を使った焼酎など他の酒類でも有名だ。
ウォール氏は「ウイスキーづくりにとって、利尻は世界一のレベルだと思うし、特別でオンリーワン」とNHKの取材に答えているが、このエピソードからはある話がオーバーラップする。今や一大リゾート地として開発されたニセコの事例だ。
外国人が世界と北海道を相対化することで魅力を感じ、そこでコンテンツを生み出し、ビジネスを開拓しようとする構図が浮かび上がってくる。外国人投資家A氏は言う。
「私の知人の投資家は、跡継ぎがいないブドウ畑を買い取って、自分で栽培を始めています。ゆくゆくワインをつくって販売する予定だとしています。まだまだ始まったばかりで、趣味半分、実益半分だと本人は言っていましたがとても楽しそうです。北海道は国内有数のブドウ栽培地であり、台風の影響も少ない。ヨーロッパなどに気候条件などが似ているということもあり、もともと道産ワインは注目されてきましたが、これからもっと有名になるといいですね」
また北海道では近年、温暖化や地場農家の努力の結果、米の質が劇的に高まったという評価も受けている。10月末には、道産の酒米でつくられた日本酒の味を競う「日本酒アワード」も開催され、グランプリには帯広市にある上川大雪酒造の「碧雲蔵」がつくった「十勝特別純米」が選出されている。
北海道の町の居酒屋を巡ると、道産の焼酎や日本酒が置かれている。芋焼酎など他県の焼酎は置いていないことが多く最初は戸惑うが、道産の酒と地場の食材との相性はとても良く、どんどん新しい銘柄を試したくなる。まだ時間はかかるだろうが、今後はそこに外国人が北海道の長所を生かした酒類をつくっていくとなれば楽しみは膨らむばかりだ。
近年では日本産の酒は米国や中国でも人気が高い。北海道は外国人との接点も多いので、東京など日本国内の都市を経ずに、海外でそのまま人気を得ていく可能性もあるだろう。そうなる前に、酒好きの方々には北海道旅行の際にぜひ地酒を楽しんでもらいたいものだ。
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