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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 日韓の交流が生みだす新しい表現
連載「クリティカル・クリティーク VOL.9」

ちゃんみなからLE SSERAFIMまで、日韓の交流が生む新しいボーカル表現

CHANMINA(ちゃんみな)と韓国人ラッパー・ASH ISLANDとのコラボが見せた日本語×韓国語という新しい組み合わせ

 あるいはもうひとつの事例として、果敢に日韓の線引きを更新していくのはCHANMINA(ちゃんみな)である。以前から「I’m POP」でのトリリンガルラップや少女時代・テヨンとのコラボレーションなどで韓国音楽シーンへの接近は観察されていたものの、このたびついに韓国人ラッパー・ASH ISLANDとのコラボ曲「Don’t go」と全編韓国語詞の「Mirror」で本格的な海外挑戦へと駒を進めた。

 もともと力強い発声で怒りを、倦怠感のある発声で切なさを表現することに長けているCHANMINAだが、特に「Don’t go」では母音を退け流音化させていくような韓国語の特性を最大限生かすことでエモーションを滑らかに伝える歌唱に成功している。1ヴァース目で「내가 너땜에/이렇게 됐는데/니가 나한테 이러면 안돼 she’s crazy」とスムースに言葉を転がす場面では、ギアを上げドライブしていく疾走感が心地よい。

 一方で「Mirror」では、ポップパンク風のサウンドにリバーブを効かせたアンニュイな韓国語を漂わせることで、近年グローバルで多く生まれている紋切り型のポップパンク曲とは決定的に異なる質感を提示している。

 CHANMINAが駆使する韓国語、さらにアプローチする幅広い音楽ジャンル/様式の組み合わせによって、今後私たちは新しい景色を見ることが叶うかもしれない。

 それは、複数の言語の音と多様なサウンドフォーマットの掛け合わせによって新鮮な響きを創出していくことがまだまだ可能であるという発見である。ヒップホップからダンスホールレゲエ、ロックに至るまで、そこに〈日本語×英語〉の発音を乗せることで響きとしての音のポテンシャルを追求してきた彼女は、次に韓国語を加えた組み合わせによって、未だ見ぬ音の絡み合いへと私たちを連れていこうとしているのだ。

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