『M-1』3回戦ネタ動画全部見男が注目する“敗れた”けれど面白かった10組
#M-1グランプリ #TPの芸人礼賛
――お笑い大好きプロデューサー・たかはし(TP)が見た、芸人たちの“実像”をつづる。今回は、『M-1グランプリ2022』大阪・京都3回戦の敗退組のネタ動画に注目。
『M-1グランプリ』が盛り上がる季節になった。8月から始まった予選は、先日いよいよ準々決勝進出者が発表され、過去最多エントリー数を記録した7261組も116組まで絞られている。
『M-1グランプリ』の異様な盛り上がりの一翼を担っているのが、予選ネタ動画だ。ここ数年、3回戦と準々決勝のネタ動画は基本的に全てYouTubeとGYAO!にて配信されるため、お笑いファンはお気に入りのネタを見つけてはSNSでシェアする。毎年このネタ動画がバズったり話題になったりして注目されることで、敗退してもブレイクにつながる芸人が少なからず生まれる。僕も去年これで「10億円」というコンビを初めて見て才能を感じ、今一緒にYouTubeチャンネル「10億円無問題」をやっている。関係者と芸人の「出会いの場」にもなっている『M-1』には頭が上がらない。
今年の3回戦進出者は299組。3回戦の持ち時間は3分なので単純計算で動画の総尺は897分、約15時間だ。僕はこれが仕事だし生きがいなのでもちろん全部観るのだけど、たとえお笑いファンだとしても全てチェックするのは相当難しいだろう。有名どころは観るとしても「こんなにたくさんいたら誰を観たらいいかわからない」と思う人も多いのではないだろうか。そんな人のために、3回戦のネタ動画を全て観た僕がおすすめする「敗退組の中で面白かった人たち」を紹介したい。
今回は大阪・京都編。敗退組といっても、3回戦まで進出するのだって至難の業なので、基本的に全組面白さは保証されている。僕の好みもかなり入ってしまうが、参考にしていただけたら幸いです。なお、ぜひ実際のネタ動画を見てほしいので、ここでは基本ネタバレはしない。ご安心を。
爛々
24歳の萌々さんと32歳の大国さんによる年の差女性コンビ。「チョメー!」というお決まりのツッコミセリフを多用する、いわゆる「キャラ漫才」の印象が強かったのだが、久しぶりに見たら超立派なナニワの王道しゃべくり漫才師に変貌を遂げていた。冒頭も冒頭、大国さんがまさかの挨拶を噛むというハプニングに見舞われるも、萌々さんが「はーっ!!」とシャウトして力技で軌道修正させるところが見どころ。さらに萌々さんのツッコミセリフ「何してんねんはしゃぐなババア!」は、言葉としても面白すぎるし、言い方も大迫力で何回も見てしまった。
ちなみに大柄に見える萌々さん、プロフィールを確認したところ158cmだった。めちゃくちゃな厚底を履いているのだろうか……。
牛ぺぺ
最初の明確な笑いどころまで1分55秒かかる超スロースタート漫才。そこから怒涛の笑いラッシュ。おそらく3回戦で最も「フリが長い」ネタだったと思う。回収が気持ちよすぎる。
マイスイートメモリーズ
その日の「1ウケ」という情報も多く、マイスイ敗退の報を聞いたセルライトスパ大須賀さんが「『M-1』に電話したほうがいい」と言ったくらい「勝ち確」のウケだったのに残念。今年の『キングオブコント』準々決勝でもウケまくっての敗退、つくづく賞レースと相性が悪い。去年の単独ライブもめちゃくちゃ面白かったし、僕は福田さんのあの飄々としたツッコミが大好きなので引き続き追いかけます。
ちなみに先日金属バットがラジオで「マイスイはあれ以上の笑いを浴びたら死んじゃうから『M-1』側がわざと落とした」という彼らなりの粋なフォローをしていてとてもよかった。
例えば炎
冒頭10秒くらい訳の分からないことを言った後に「今のは忘れてもらって」と言うツカミが斬新すぎて超引き込まれた。そこから「コンビニバイト」という擦り倒された設定で展開されるコント漫才、ベタなのにパワーがすごい。まだ芸歴2年目というのだから末恐ろしい。
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