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『関ジャム』「原由子は桑田佳祐にとっての灯台である」サザンの“頭脳”原由子特集!

『関ジャム』「原由子は桑田佳祐にとっての灯台である」サザンの頭脳原由子特集!の画像1
『関ジャム 完全燃SHOW』(テレビ朝日系)TVerより

 10月30日放送『関ジャム 完全燃SHOW』(テレビ朝日系)は、原由子の特集。31年ぶりとなるソロ・アルバム『婦人の肖像 (Portrait of a Lady)』が10月19日にリリースされたので、そのタイミングに合わせての今回の企画だろう。

 ラジオ番組『桑田佳祐のやさしい夜遊び』(TOKYO FM)で、頻繁に「『関ジャム』に出たい」と発言している桑田佳祐を差し置いて、先に原を特集するこの番組もいけずというか、なんというか。ちなみに、『関ジャム』がサザンオールスターズを特集したのは4年前の2018年11月だ。

 サザンのキーボーディストである原は、バンドと並行して1981年からソロ活動を開始。番組は、その歴史をざっと振り返った。

 彼女のソロデビュー曲は、桑田が作詞作曲を担当した「I Love You はひとりごと」である。いきなり、この曲は「歌詞の一部が猥褻」とされ、放送禁止に処されるという憂き目に遭っている。いや、今の時代の感性で聴けばなんてことない描写なのだけれど……。

桑田佳祐の曲作りの秘訣は「困ったときの原さん頼り」

 例によって、事前に原のインタビューは収録されており、そのVTRを見ながらスタジオの識者が解説していくという形式が今回もとられる模様。この日、ゲストとして登場したのは、音楽プロデューサーの本間昭光、サザンのサポート・キーボーディスト&アレンジャーとしても活動するピアニストの片山敦夫、原由子の最新作でアレンジやサウンドメイクを務めた曽我淳一の3人であった。

 インタビュー映像が流れるや、彼女の第一声はこれである。

「よろしくお願いします、原由子と申します!」(原)

 いや、知ってるよ! まったく偉ぶらず、相変わらず感じのいい人だ。

「ほとんど毎週、(『関ジャム』は)拝見させてもらってます。すごく勉強になりますね。私たち、勘で音楽やってきたので音楽用語とか全然知らないんですね(苦笑)。それで『これのことをこう言うのか』とか、勉強になってます」(原)

『関ジャム』で音楽用語を勉強する桑田夫妻。2人がこの番組を見ている事実は、ラジオ(『やさしい夜遊び』)を通じ、我々も知っている。

「私たちは勘で音楽をやってきた」というサザンの楽曲制作において、原の役割はどういうものなのだろうか?

「まず、桑田が曲を作ってきましたら、主に私がキーボードを弾いて、だいたいの曲の全体像みたいなものを掴む感じで、コードを全部入れるんですね。それを徐々に、リズムパターンを考えていったりとか、アレンジを膨らませていくっていう」(原)

 同じ質問に対し、コメントという形で桑田も回答を寄せてくれた。

「私が曲を作っていて、ちょっと悩むことがあると彼女に意見を聞くことはありますね。書斎に呼んで『ちょっと聴いてみてくれる?』と聴いてもらうんです。一聴して、彼女はポンと意見を言ってくれる」

「例えば、聴いた音を譜面に書き起こして、ピアノで弾いてみて『こことここが(音が)当たってるね』だったり、『このコーラス、ハモのラインの音が少し高くて主旋と離れすぎなんじゃない?』っていう分析をしてくれる、ということもありますね。『なるほど』と納得するんです。すごく貴重な意見ですね。だから、実際『困ったときの原さん頼り』というのはありますね」

「1番近くに、ポップな感覚と最強の音感を持った人がいる。自分で持ちきれないときは原さんに意見を聞く。当たり前ですけど、僕には何より得難い相棒ですよね」(桑田)

 桑田はラジオで、「俺は譜面を書けないから、俺が歌った鼻歌を原さんが譜面に起こしてくれる」とよく口にしていた。まさに、この証言のことを指しているのだろう。それどころか、サザンで譜面を読めるメンバーは原のみとも言われている。桑田が言った“得難い相棒”という表現は誇張ではなく、そういう意味でも運命の出会いだったのかもしれない。

 さらに、サザンのコーラス作りも原が担当しているらしい。

「コードの中で主メロに当たらないような音を探さなきゃいけないんですけど(中略)悩みながらも『これが1番綺麗な、歌いたくなるラインだな』っていうのを選んでいく感じですね」(原)

 コーラスといえば、95年リリース「マンピーのG★SPOT」で、桑田が「あれはマンピーのGスポット!」と歌うと、それに合わせて原が「Gスポッ! Gスポッ!」とコーラスする姿は、いつ見ても笑ってしまう。いい意味で微笑ましいのだ。

 一方、桑田が作詞・作曲した原のソロ曲「イロイロのパー」の歌詞は、本当にひどい。いくらおしどり夫婦と言えども、あの内容については話し合いが必要だったのではないか? 興味を抱いた方は、ぜひ検索して歌詞を調べてみてほしい。マジでひどいから。

「サザンオールスターズの“本体”は原由子」と目するファンも

 サザンの楽曲つくりでは、原がイントロを作ることも多い。例えば、84年発表の名曲「海」のイントロは、彼女が考えたものらしい。鳥肌ものの素晴らしいイントロだし、原の優しさまで染み渡るような旋律である。もともと、この曲はシングルとして発表される予定だったが、直前でA面が「ミス・ブランニュー・デイ(MISS BRAND-NEW DAY)」に変更になった事実は、有名なエピソードだ。

 実は、その「ミス・ブランニュー・デイ」のイントロを作ったのも原なのだ。この曲のイントロも最高! しかも、掛け値なしの名曲だ。サザンファンの間では、「ミス・ブランニュー・デイ」を最高傑作に挙げる人も少なくない。今から約30年前、84年の時点でこんな名曲を作れてしまう才能に恐れ入る。

「ミス・ブランニュー・デイ」の近未来的なイントロについて、原本人が振り返ってくれた。

「当時、テクノっぽい音楽が流行り始めた頃で、『そんな感じの(テクノっぽい)曲にしたいんだよ』と桑田から言われまして、それでわりと簡単なメロディーなんですけど、考えたのがあの“ピポパポパパポ”ってやつですね(笑)」(原)

 自分で作ったイントロを“ピポパポ”で表現するあたりが、たまらなく原坊だ。

 こうしたサザンのイントロについて、本間は「悔しいくらいに、サザンのイントロって一瞬で(サザンだと)わかっちゃう」と評した。「希望の轍」のイントロを作ったのは小林武史だといわれているが、原由子も負けず劣らず“イントロ職人”である。桑田流のメロディーを、桑田本人より原のほうがうまく表現しているケースも多いくらいだ。

古田 「でも、イントロって基本的にアレンジャーの腕の見せどころだったりするわけじゃないですか。最初の掴みなわけだから。それをメンバーのキーボーディストが『これでいきましょうよ』って言って。それって、ほぼほぼバンマス(バンドマスター、バンドの主導者のこと)ですよね?」

本間 「言えますね。バンマスだしアレンジャーだしプロデューサーだし。それが1つのバンドの中に何人もいらっしゃるっていうのが、サザンの強いところ。スーパーバンドっていうことですよね」

 特に、原をサザンの“本体”だと目するファンは多い。おっとりして見えるが、彼女がバンドのブレーン的存在である。

「なんで、それを前に出さないんですか? そんだけスゴかったら『私、スゴいよ!』って言ってくれたほうが」(横山)

 自分が前面に出ると、サザンオールスターズのパワーバランスは崩れてしまう。それがわかっているから、あえて自分は1歩引く……という奥ゆかしさは、ずっと彼女から感じている。

 それは、原に限らない。サザンの楽曲を聴くと「桑田が考えたんだろうな」「桑田、すげぇな」と思える瞬間はたくさんある。しかしその箇所は意外に、他のメンバーのアイデアだったりすることも多いのだ。

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