帝王コロッケが『モノマネグランプリ』卒業−元芸人が触れたエンターテイナー秘話
#檜山豊
モノマネ界の帝王として42年間トップに君臨し続けたモノマネタレントのレジェンド「コロッケ」さんが25日に放送された『モノマネグランプリ コロッケラストパフォーマンス!&今どこに行っても一番ウケるネタ25連発!!』(日本テレビ)でネタを披露し、番組を卒業した。
各方面から労いの言葉が送られ、ネット上では「伝統芸が見られなくなるのはさみしい」「小さいころから見ていたからさみしい」などの言葉が寄せられていた。
コロッケさんと言えば五木ひろしさんをロボット化した「五木ロボ」を筆頭に、ジムキャリー主演の映画『マスク』さながら、その人物の顔や仕草を極限までディフォルメし笑いに変えるというある種コロッケさんしか出来ないオリジナルのモノマネが他のモノマネタレントと一線を画していた。
コロッケさんのモノマネは基本的には笑いに特化したものが多く、顔の動きや体の動きはモノマネを越えるエンターテイメントとして成立しており、どの世代でも本能で笑ってしまうモノマネの完成形だったと言えるだろう。
コロッケさんの強みは古いものにこだわらず、常に新しいモノマネに挑戦することと、人とは違う発想力。さらにその発想を具現化できる表現力にあった。誰かをただモノマネするだけなら、モノマネタレントさんのほとんどが出来るかもしれない。
しかしコロッケさんの場合、モノマネにプラスαしたものが多く、頭では想像できるがいざ体現して見ると上手くいくかどうかわからない代物が多数存在する。それをことごとく形に出来るというのが本当に凄い事なのだ。
なぜコロッケさんは形にすることが出来たのか。
まずはその歌唱力。何度かコロッケさんのリサイタルを拝見したことがあるが、モノマネで笑いを入れない歌真似を披露することがある。本当にその歌手の方が歌っているかと錯覚するくらい歌が上手く、しかも歌が上手い代表の演歌歌手の方を模写できるというのはかなりの歌唱力が無ければ成しえないことだ。つまり歌の専門家に対して遜色のない実力を兼ね備えているということ。
そしてもうひとつは演技力だ。コロッケさんはモノマネのリサイタルの他に芝居の舞台も行う。もちろん喜劇のような芝居もあるのだが、中にはお客さんを感動させ涙を流させる芝居もある。名立たる俳優さんや女優さんが出演している中メインで芝居をするというのは、芝居の実力も相当なものだと言える。
この歌唱力と演技力があれば、大抵のモノマネはこなせると思うが、コロッケさんの場合さらにご自身の体躯を熟知しているのも強みのひとつだろう。
サイゾー人気記事ランキングすべて見る
イチオシ記事