『内村さまぁ~ず』最終回は回避? 元芸人が語る突然やってくるバラエティの最終回
#檜山豊
伝説のコント番組『感じるジャッカル』最終回、憤ったスタッフの熱い抵抗
かつて僕が芸人だったころ『感じるジャッカル』(フジテレビ)というコント番組をやっていた。僕が組んでいたホーム・チームというコンビと、シャカというコンビ、そしてM-1グランプリ初代チャンピオンの中川家の三組と堀越のりさん、相沢真紀さんがレギュラーとして出演していて、第二期から「間違いない」でお馴染みだった長井秀和さんも加わった。この番組はスタッフさんの情熱が凄かった。とくに北沢さんという演出の方が誰よりも情熱を持ち、誰よりも番組を愛してくれていた。とても豪快で厳しい人だったが、僕はこの北沢さんにテレビでのイロハを教えてもらい、確実に成長することができた。本当にお世話になったといえる数少ないテレビ関係者のひとりだ。
この番組が最終回になった時のことは今でも覚えている。当時『感じるジャッカル』の第二期はフジテレビの「NEW GENERATION」という枠で『はねるのトびら』『ワンナイR&B』『BACK-UP』『トーキョープラズマボーイズ』(すべてフジテレビ系)という他の4番組と括られ5週に一回というペースで放送されていた。
ある時この「NEW GENERATION」という枠が解体されることになり、いったんすべての番組を終わりにしようという話が出た。ほとんどの番組は最終回になることを了承したのだが「継続したい」と最後まで抵抗したのが『感じるジャッカル』と『はねるのトびら』だった。
細かい理由はあえて伏せるが、結果的には『はねるのトびら』は継続、そして『感じるジャッカル』は終了となってしまった。
出演者の僕らはもちろんスタッフさん、とくに北沢さんはショックを受けていた。北沢さんは番組が終了してしまうという憤りを抑えきれず、最終回の放送で番組の最後に「打ち切り」という言葉をテロップで入れたのだ。「最終回」でも「終了」でもなくわざわざ「打ち切り」という言葉を入れた想いを考えたとき、北沢さんの番組に対する愛情と自分へ対する不甲斐なさを感じ胸が痛くなった。
全ての番組がそうとは限らないが、ほとんどの番組は出演者、スタッフが一丸となって作っている。長く続いてる番組ほど、番組に対する愛情も深なっていく。
そんな番組の最終回は視聴者の人と同じくらい出演者やスタッフにもダメージが来る。
16年間続いていた『内村さまぁ~ず』が本当に最終回だった場合、その精神的苦痛は計り知れない。しかし今回のように、またどこかで会えるかもしれない、また番組が放送されるかもしれないという期待があれば、落ち込まずにワクワクに満ちて過ごすことが出来る。
この最終回の仕方は視聴者への希望と、スタッフの愛情が感じられるとても素晴らしい最終回だったと思う。来年が楽しみだ。
『感じるジャッカル』が終わってから20年。あれ以来北沢さんとは連絡を取ってない。もしどこかで会うことが出来たなら、あの時伝えられなかった感謝の気持ちを伝えることにしよう。
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