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『ザ・ノンフィクション』ゲーム芸人・フジタの壮絶半生、稀に見る“胸糞”にネット怒号

『ザ・ノンフィクション』ゲーム芸人・フジタの壮絶半生、稀に見る胸糞にネット怒号の画像1
『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)

 数万本のゲームソフトを持つゲーム芸人・フジタが、フジテレビ系のドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』に10月23日、30日の2週にわたって登場。あまりにも不条理な身の上に、ネットではフジタに対する同情の声と、周囲の人間に対する怒りの声が渦巻いている。

『ザ・ノンフィクション』がフジタを取り上げたのは、彼が特異な人生を歩んできたからだ。まず、フジタの両親は再婚同士。2人の間にフジタが生まれたが、フジタが小学校1年生の時に母が急逝し、父と2人暮らしになった。

 しかし、父はすぐに家に帰って来なくなる。シングルマザーの女性と恋仲になり、そちらの家に入り浸る父。しかもその相手は、フジタの同級生の母親だった。父から定期的に金を渡されるため、生活が破綻することはなかったが、フジタは8歳から自宅で一人ぼっちの日々。孤独を紛らわせるためにのめり込んだのが、ゲームだった。

「彼の著書によれば、父は週末に帰ってきて、溜まっている洗濯物を洗うと、すぐに別宅へと戻っていったとか。フジタは小学校低学年から出前で食事を済ませ、余ったお金でせっせとゲームを買い込み、それに没頭して寂しさを忘れたそうです」(お笑いライター)

 フジタが自分を捨てた父に復讐するストーリーなら、視聴者はスカッとしたに違いないが、現実は冷たい。父は自分が死んだらフジタに遺産を譲ると申し出るが、前後して物忘れが酷くなり、家も荒れ放題に。認知症の症状を示し始めたのだ。金遣いが荒くなり、借金は溜まる一方だが、内縁の妻「朱美」に渡す金のことだけは忘れない。

「朱美は父と同居しておらず、週に1度、食事をするだけ。それでも父は月に3万円を朱美に渡していましたが、それをやめたいと告げると、朱美は『それは困る』『裏切られた』と怒りをあらわにし、『別れる』と言い出します。フジタに遺産を渡すと話していなかったことも、朱美が怒る理由だったようです」(テレビ情報誌記者)

 フジタにとっては、朱美の「別れる」という申し出は“願ったり叶ったり”だが、父は朱美とは絶対に別れたくない様子。朱美があれほど怒ったのは、父が“ずっと面倒を見る”と言ったかららしい。ただ、とにかく自分勝手な発言を繰り返す朱美に、視聴者は呆れるばかりだった。フジタについて聞かれれば、

「(父は)真也くん(=フジタのこと)には厳しかった。かわいそうだった」

 と、他人事のように話し、自分については、

「昔のことを思い出すと私もつらい」

 と、まるで責任を感じていない様子。フジタは、認知症でどんどん金を遣ってしまう父の金を管理するが、そうとは知らない朱美は、

「一番の楽しみを取り上げるなんて」
「あの子(フジタ)のこと嫌いになっちゃった」
「お金がないなら若いんだから働いて」

 と言い放ち、フジタが説明しようとしても電話を切ってしまう。結局、フジタの懸命な努力によって誤解は解け、最後にはフジタ、父、朱美の3人で旅行へ。朱美の「義理の母って虫がよすぎるかな」というセリフも、フジタは「まあ徐々に」と受け入れた──。

 結局、番組は“ハッピーエンド”で幕を閉じたが、視聴者の気持ちは収まらない。ネットには、

「内縁の妻がここ数年で一番クズすぎてしんどい」
「他人の家庭壊してお金も援助してもらってるって、不愉快でしかなかったわ」
「今日のノンフィクションに出てる女性に死ぬほどイライラしてる」

 と、怒りの声が殺到し、フジタに対しては、

「とりあえず、フジタだけは幸せになってほしい」
「あんなことされてあんなに優しく出来るってすごいな フジタさん尊敬します」
「最後のみんなで寿司食うシーン…凄いな! フジタあんためっちゃ優しいやん」

 と、同情の声が絶えない状況。親子問題に詳しいフリージャーナリストは言う。

「フジタさんが小学生だった昭和末期は、まだ『ネグレクト』という単語は一般的ではありませんでしたが、子どもを長期間にわたって1人ぼっちにする行為は、厚労省が定めるネグレクトの定義に明らかに当てはまります。

 ネグレクトは空腹、発育不全、虫歯の多さ、体や洋服の汚れなどにより露見しますが、フジタさんは著書で、食事をきちんとしていたこと、週1回でも父が洗濯していたこと、キレイ好きできちんと風呂に入っていたことなど、1人できちんと生活を営んでいたと振り返っており、周囲は気付きにくかったのかもしれません。

 番組で、内縁の妻がフジタさんの父親の好きな点を聞かれ、『私の子どもを虐待しない』と答えたのは印象的でした。そこからは、元の夫が子どもを虐待していたと推測できますが、フジタさんへのネグレクトは完全に虐待です。『虐待は連鎖する』とよく言われますが、こんな形の連鎖は聞いたことがありませんよ」(フリージャーナリスト)

 自分を捨てた父、そして自分から父を奪った女性を赦したフジタ。称賛すべき器の大きさは、ゲームによって培われたのだろうか……。

 

藤井利男(ライター)

1973年生まれ、東京都出身。大学卒業後に週刊誌編集、ネットニュース編集に携わった後、独立。フリーランスのジャーナリストとして、殺人、未解決事件、死刑囚、刑務所、少年院、自殺、貧困、差別、依存症といったテーマに取り組み続けてきた。趣味はダークツーリズム。

ふじいとしお

最終更新:2022/11/03 06:00
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