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マンガ評論家・伊藤剛氏に聞く!

『GTO』も敵が… カルト教団を描いたマンガが増えている?「カルトは説明不要な悪」

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オウム真理教の元代表、松本智津夫の死刑執行を報じる街頭テレビ。(写真/GettyImagesより)

 日本社会において、「カルト」がこれほど関心を集めるのは、オウム真理教が地下鉄サリン事件を筆頭とするテロに手を染めた1990年代以来ではないか。2022年7月8日、安倍晋三元首相の命を奪った山上徹也容疑者の凶弾。山上が言及した動機は、母親が現「世界平和統一家庭連合」(旧「統一教会」)に傾倒したことによる、家庭崩壊・経済的破産に対する怨恨だった。

 旧「統一教会」は、合同結婚式や霊感商法が問題視され、オウムが出現するまで日本におけるカルトの代名詞的な組織だった。「だった」と過去形で記述されることの意味は小さくない。この組織がもたらした被害・問題は精算されることなく残存し、被害者団体や鈴木エイトら一部のジャーナリストが地道な告発を続けていたものの、山上が事件を起こすまで社会的にはほとんど注目を浴びなかった。オウム解体後の日本では、少なくとも市井の感覚において、カルトの存在感は希薄だったといえる。

 他方、そうした現実と対照的に、どの時代でもカルトが重要なテーマやモチーフとして用いられる表現ジャンルがある。マンガだ。例えば1985年に連載が開始され、作者・荻野真自身が「宗教漫画ブームのはしり」と称する『孔雀王』(集英社)の敵はカルト的な密教集団だった。また、1999年に始まった浦沢直樹の『本格科学冒険漫画 20世紀少年』(小学館)に登場する「ともだち」とそれを心酔する者たちの関係性は典型的なカルトである。

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『21世紀少年』(浦沢直樹/小学館)

 そして現在連載中の作品でも『マイホームヒーロー』『サタノファニ』『子供はわかってあげない』((すべて講談社)『スマイリー』(日本文芸社)『機動戦士ガンダム サンダーボルト』(小学館)など他にも、カルト的な教義を持つ新興宗教が描かれているマンガは数多く、変わったところではラジオ業界を描くコメディ『波よ聞いてくれ』、青春学園モノのはずであった『GTO』(ともに講談社)までもがカルト集団と戦っている。またエッセイマンガで二世信者の体験が描かれたりもしている。さらに、新興宗教ではないもののマルチ商法をあつかった『カモのネギには毒がある 加茂教授の人間経済学講義』(集英社)や秘密の会員たちが企業テロを行っている集団と対峙する『ダーウィンクラブ』(講談社)なども、近いものをテーマにしていると言えよう。

 特に最近、旧「統一教会」問題に注目が集まる少し前からマンガにカルトが頻出するようになったようにも見えるのだが……果たしでどうなのだろうか? また、いずれにしてもカルトがマンガで扱われる背景には何が見えるだろうか。マンガ評論家で東京工芸大学芸術学部マンガ学科教授・伊藤剛氏の話からは、人がカルトを忌避する根本的な理由、さらにはこの概念が内包する「普遍的な悪」が浮かび上がる。

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