呂布カルマのACジャパン「寛容ラップ」CM、今だかららこそヒットできた理由
#CM
少し前だがACジャパンのCM「寛容ラップ」がネット上で人気をよんだ。 舞台はコンビニ。支払いの際に手間取ってしまう高齢の女性の、後ろに並んでいた強面のラッパーの呂布カルマが「相手をディスらないラップ」で、大丈夫と呼びかける。するとその高齢女性もそれに対しありがとうを「アンサー」で返していく……というもの。登場人物のギャップが魅力的に描かれるストーリーが話題となり、ツイッターのトレンドにも浮上した。
「ラッパーの呂布カルマの起用には、キャスティングの妙が見えます。見ての通り強面ながらTVバラエティやABEMAの番組で社会問題や芸能について、独特かつ的確なコメンテーターをつとめるなど若者やサラリーマン層への認知も拡大中。それでいて、これまではテレビCMには出演していなかったこともあって、視聴者には新鮮味もあったのでしょう」(CMディレクター)
そんな「寛容ラップ」を始め、ラップは現在のテレビCMの表現のひとつとして、広く認知されつつあるという。
「『フリースタイルダンジョン』(2015年からテレビ朝日にて放送されていたラップを取り上げた深夜番組)を代表としてラップ文化が、一般層にまで広がってきたという影響はあるのでしょう。また、広告代理店のクリエイターからすると、短い時間に言葉を詰め込むラップは、CMでの商品訴求にも利用しやすい。親和性が非常に高く、かつ流行りものに目ざとい広告業界にはピッタリだと言えるでしょう」(前出・CMディレクター)
先述の呂布カルマはまだまだCM界では新参者。数多いるラッパーの中で、CM界で特に人気なヒップホップユニットがCreepyNutsだ。
「ラップ担当のR-指定は2010年代に、日本最高のMCバトルで5年連続した実力者。また楽曲担当のDJ松永も、DJコンテストで世界一に輝いたこともある実力にも折り紙つきのユニットです。R-指定による高速ラップはやはりCMで重宝されています」(広告代理店関係者)
たしかに15秒など定められた時間の制約があるテレビCMの中で、言葉を詰め込むラッパーはいかにもCM向き。そんなCreepyNutsのブレイクの理由には、まだまだ要因があるという。
「なんといってもDJ松永のSNS上での人気があるでしょう。Twitterのフォロワー数が29万人超ということで、発信力は言うまでもありません。また、彼らがレギュラー番組をつとめるラジオ番組も人気を集め、2022年で丸6年を迎えます。近年はラジオ番組を模したCMにも起用されるなど、彼らの根強いファンへの訴求も注目されています」(前出・広告代理店関係者)
もちろん日本語のラップは何度も一般エンタメとして話題になり、例えば過去にもスチャダラパーがさまざまなラップCMを担当したりしてきたが、最近は「ラップ」という表現を抽出したユニークな表現も増えてきている。
東芝ライフスタイルの洗濯機「ZABOON」では、3歳の歌姫として話題の“ののちゃん(村方乃々佳)”を起用し、可愛らしい表現に仕上がっている。
また、ぶっ飛んだCMでおなじみの「日進カップヌードル」では国民的アニメ「サザエさん」のコラボレーションも。その他「家庭教師のトライ」など、ラップCMは枚挙にいとまがなく、完全に一般化したともいえる。
CMもラップもどちらも言葉が肝要。ふたつの文化の蜜月はまだまだ続きそうだ。
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