中田敦彦「死ぬまで僕は自分の話をする」 若林正恭との対比と対話、わずかな変化
#中田敦彦 #若林正恭 #テレビ日記 #あちこちオードリー
テレビウォッチャーの飲用てれびさんが、先週(10月23~29日)に見たテレビの気になる発言をピックアップします。
中田敦彦「俺、どうしても反則技でやってるやつなんですよ」
26日の『あちこちオードリー』(テレビ東京系)は、オリエンタルラジオの中田敦彦をゲストに迎えて放送された。見終わった後に思い出したのは、最近読んだ新書の内容だった。
「あなたが話を聞けないのは、あなたの話を聞いてもらっていないからです。(中略)聞いてもらえたときにのみ、僕らの心に他者のストーリーを置いておくためのスペースが生まれます」(東畑開人『聞く技術 聞いてもらう技術』筑摩書房、19頁)
かつて、オリエンタルラジオは「武勇伝」や「PERFECT HUMAN」でテレビのなかを賑わせた。しかし、近年の中田は活動拠点をYouTubeに移しており、テレビでその姿を見ることはほとんどない。YouTubeチャンネルの登録者数は492万人(2022年10月末現在)。居住地はシンガポール。そんな彼が地上波テレビのバラエティ番組に出演するのは、約2年ぶりだという。
なぜテレビの世界から離れたのか。中田はそのきっかけを語った。2016年に放送された『中田歴史塾』(テレビ朝日系)。『しくじり先生』(同前)から派生した、中田が歴史についてわかりやすく“授業”する特番だが、彼はこの番組に懸けていたという。しかし、結果は芳しくなかった。
「MCになりたくてしょうがないやつなのに、なれないんだと思って」
そこからロケなども「こなす」ようになってしまった中田は、徐々に自分のなかにツラさを溜めるようになったらしい。もし、あの番組が自分のMCでレギュラーになっていたら、仕事の拠点はテレビに置き続けていただろう、と中田は語った。
「テレビ最後のスターになるんだ! ぐらいの勢いで。俺はテレビ王! とかってやってたと思います。YouTubeふざけんな! とかやってたと思いますね」
歴史を語るテレビ番組で結果が出なかった中田は、歴史などを語るYouTube動画で結果を出した。それこそ歴史にifはないわけだけど、別の世界線を思う。
また、「PERFECT HUMAN」でのブレイクを間近で見ていた若林が当時の心境をたずねると、中田は「オードリーさんとかまぶしかったですよ」と語りはじめた。
「俺、どうしても反則技でやってるやつなんですよ」
求められているものがあり、M-1などでも結果を出している、そういうオードリーと比べると、自分たちは「反則技」で戦っている。「PERFECT HUMAN」もお笑いの場では「すごい」と話題になっても、本物のアーティストのなかでは見劣りしてしまう。あれはいわば「煙玉」「まきびし」「不意打ち」のようなものだった、と中田は振り返った。
もちろん中田はすべてを語っているわけではないだろう。その語りは場の流れを読んだ冗談まじりのものにもなっている。しかし、それでもなんだか中田は“腹を割って”話しているようにも聞こえる。
そんなトークはその後も続く。「会社とモメたところはデカいと思いますよ。モメちゃいけないモメ方ってあるんすよね」、「YouTubeに関しても、絶望のふちでギリやったっていう感じなんですよ。先見の明がどうこうとか、向いてるどうのこうのじゃなくて」、「(YouTubeチャンネルの登録者数が)300万までいって、僕の取り憑かれてたものがとれたんですよ。舐められたくないっていう気持ちがあるじゃないですか」、「死ぬまで僕は自分の話をするんだろうなっていう確信がある」――。
久しぶりにテレビ画面に映っていた中田敦彦は、自身の情けない部分も含めて語っていた。それに呼応するように、今度は若林が語りはじめた。
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