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『ねほりんぱほりん』安倍元首相銃撃の3カ月前に収録したボディーガード特集。彼らは身を盾にして依頼者を守るのか?

『ねほりんぱほりん』安倍元首相銃撃の3カ月前に収録したボディーガード特集。彼らは身を盾にして依頼者を守るのか?の画像1
『ねほりんぱほりん』(Eテレ)Twitter(@nhk_nehorin)より

 

 10月21日放送『ねほりんぱほりん』(Eテレ)のテーマは、「ボディーガード」であった。

 番組が始まるや、「エンダーーーーーー」と、あの曲(ホイットニー・ヒューストン「I Will Always Love You」)が流れる様式美は普遍だ。決して、裏でやってる『金曜ロードショー』(日本テレビ系)が映画『ボディガード』を放送しているわけじゃない。かれこれ30年前の映画なのに、今も「ボディーガード」といえばあの歌を連想するのだから、永遠の名画だと思う。

 まず最初に、番組は「SP」と「ボディーガード」の違いを解説してくれた。

 

●「SP(セキュリティ・ポリス)」
警視庁警備部警護課で身辺警護を担当する警察官の通称。警護対象者は総理大臣を始めとした政府要人。

●「ボディーガード」
民間の警備会社で身辺警護業務を行う警備員。依頼があれば誰でも警護する。

 

 SPは警察官で、ボディーガードは警備員。SPが官で、ボディーガードは民だ。そして、番組は以下の注釈を入れ込んできた。

「今回のボディーガードは今年4月に収録したものです。その3カ月後、安倍元総理大臣の銃撃事件が発生しました」

 奇しくも、タイムリーなテーマになったわけだ。

ボディーガードの業界用語「検索」「消毒」って?

 今回のゲストは、ボディーガード歴8年のカズマさん(40代)と、ボディーガード歴4年のヒロキさん(30代)の2人。スタジオに登場したボディーガード役のブタのぬいぐるみも、ガタイがいい仕様になっている。特に、ヒロキさんの背中が物凄い。ムキムキだ。

 2人が今まで警護してきた対象は、さまざま。政治家はもちろん、海外首脳、韓流アーティスト、世界的ガールズグループ、世界的女性アーティストのご家族まで含まれている。

「●●さん(海外首脳)の警護をしたときです。来日をされて講演会を行うということで、『敵対国のスパイが混じる可能性があるので、慎重に警護してくれ』というミッションだったんですけど、支援者の方々が熱烈で、すごい群衆で押し寄せてくるんで。(中略)もみくちゃになっちゃうと難しいので、業界用語なんですが、事前に『消毒』と『検索』ということをやります」(カズマさん)

 

●「検索」
目的地に危険なものや不審な人がいないか、クライアントが行く現場を先回りしておいて、動線を確保しながら調査・確認をすること。

●「消毒」不審な人がいたら「離れてください」など最初に声をかけておいて、危険な人物や物がなく、安全に対象者を迎えられる状態にすること。

 

「汚物は消毒だー!」という『北斗の拳』の名ゼリフがあるが、意味は決して遠からずである。ところで、どんな人が“危険な人物”と認識されるのだろうか?

「違和感を感じるっていうことを、すごく大切にしていまして。例えば、●●さん(大御所演歌歌手)の警護を担当していたんですけど、ファンの方はどちらかというと年齢層が高め。でも、30代くらいの結構若めの方で頭をバンダナで巻いてるような人が、相方のボディーガードに声をかけてきたんですね。他愛のない言葉ではあったんですけど、普通、オールバックにしてブラックスーツを着ているいかついボディーガードに、一般の方は声をかけてこないものなんですね。ボディーガード同士で無線を回すんですが、『目を離さないでね』っていうことはお互いにコンタクトします」(カズマさん)

 第六感とは、とどのつまり経験から生まれるものである。だから、違和感は信用できる。だとすると、山上徹也容疑者の動きはSPから見ても怪しさは感じなかったということか。

火炎瓶に車爆破…反社絡みの危険な案件が多い!

 当然、ボディーガードは危険な目に遭うことも多い。番組は他のボディーガードにも話を聞き、どんな修羅場をくぐってきたかを掘り下げた。

【ケース1】
 ある高級マンションを更地にして、売却したいという管理人からの依頼だった。そのマンションの一戸は暴力団関係者の住人で、「出ていかない」とゴネにゴネている。しかも、管理人はその住人から軟禁・暴力といった被害を受けてしまっている。その管理人を守るというミッションだ。

「(警護に)入って初日だったと思うんですけど、見るからにヤクザな7~8人がバーって来たんですよ。ズラーっと逃げられないように囲まれて」(ボディーガード)

反社A 「お前、誰だ! お前みたいな管理人いるか! 出てこいや!」

ボディーガード 「出ていってどうすんだ、この野郎!」

反社B 「お前、本当に管理会社の人間なのか? 俺らと同じ稼業の人間じゃねえのか?」

ボディーガード 「いや、警備会社の人間だ」

反社B 「ああ、そうなんだ。警備なんだからそこで守ってりゃいいし、こっちも何もしないからそこでおとなしくしてろや」

ボディーガード 「わかりました」

――怖くなかったですか?

ボディーガード 「人数が多すぎるせいか開き直っちゃうというか、『もう好きにしてくれ』みたいな感じ」

 ときにはやり合い、虚勢を張るのも必要ということか。

【ケース2】
 地主が土地問題のトラブルで暴力団関係者ともめた案件。最初は依頼者(地主)の身辺警護から始まったが、次第に(地主の)家に火炎瓶が投げ込まれたり、車を爆破されたり、そういったことが毎日起こるようになった。そして、最終的には相手が拳銃を持って脅しにくるという事態へと発展してしまう。

「覆面して入ってきたんです。監視カメラで確認しました。『不審者だ!』って連絡を無線で入れて、(現場に)向かおうと思ったら銃声がしました。1人の警備員が撃たれました。すぐに、そちらに向かいました」

「バッタリ犯人と出くわしました。そしたら、1メートルくらいの距離で拳銃を抜かれました。私も『このままじっとしていたら撃たれる』と思ったので、銃の回転するシリンダー部分を両手で押さえました。向こうは銃を使えるようにするため、必死に私の腕を噛んだり振りほどこうとし、10分くらいすったもんだして、なんとか銃を相手から取り上げることができまして。そこに警察官がパトカーで到着して、犯人を引き渡したと」(ボディーガード)

 さっきから、やたらに反社絡みの案件が多い。やはり、危険な職業なのだ。銃声だとか車爆破あたりになると、「どこの国だよ!」とツッコみたくなるし、それはもはや普通にテロ攻撃である。これらのエピソードが、すべて岡田准一を主役にして脳内再生されてしまうのは、筆者がテレビの見すぎだからだろう。

 当然、依頼者と自分の身を守るためボディーガードは武術を身につけている。カズマさんは学生時代に柔道や合気道を学び、ボディーガードになってからはシステマを習得したそうだ。

YOU 「えっ、システマって……」

山里 「あのシステマですか?」

カズマ 「システマです」

YOU 「歯磨き?」

山里 「違います」

「デンターシステマハミガキ」ではない。システマとは、ロシアの軍隊格闘術を指す。システマを習った芸人のみなみかわが、何をされても痛みを感じない“システマ芸”でブレイクしたのはおなじみだ。

 一方、ヒロキさんの前歴は警察官で、その頃に逮捕術と柔道を習得したそう。その後、自衛官に転身して徒手(としゅ)格闘(=武器を用いない格闘のこと)と日本拳法を習得したようだ。ボディーガードになってからは、さらにクラヴマガとシステマを身に着けた。

 システマ、クラヴマガという武術のチョイスから今っぽさを感じる。どちらも今、大注目の格闘技。「チンピラに襲われた悪夢を見て、習得しようと決心した」と東野幸治が告白したクラヴマガは、イスラエルの軍で開発された接近格闘術である。

山里 「それは、ボディーガードになるときに道場みたいなところに行かされるんですか? それとも、自主的に?」

カズマ 「海外の元軍人みたいなのが小銭稼ぎでプロを集めて、研修会みたいなのをやってくれるんです。なので、周りには僕みたいな民間のボディーガードだったりSPとか、あとは格闘技オタクみたいな人をみんな集めてトレーニングする」

 海外の元軍人が、日本に来てセミナーを開く。いよいよ、漫画のような世界がこの現実に起こっているらしい。

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