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日刊サイゾー トップ > カルチャー > 映画  > 新海誠作品描く”男女の距離”
今週の『金曜ロードショー』を楽しむための基礎知識㉜

『君の名は。』新海誠監督が描き続けてきた”男女の距離”が時空をも超え大ヒット

「男女の想いの届かない距離」を描く新海作品たち

『君の名は。』の物語は東京と岐阜、3年間の時間のずれという時と場所を超えた男女の話だが、この「男女の想いの届かない距離」は新海作品で何度もなぞられるテーマだ。

『ほしのこえ』(2002年)は宇宙人と地球人のファーストコンタクトが行われた設定で、地球人は宇宙人の姿を求めて外宇宙へ進出する。ヒロインのミカコは同級生のノボルと互いに想い合っていたが、ミカコは外宇宙調査隊のメンバーとして選ばれ、地球を離れる。

 互いに携帯のメール(宇宙に進出している時代なのに、使っているのはガラケーというのが時代を感じる)でやりとりをするが、距離が離れていくごとにメールが届くまでの日数は開いていく。数日、 1週間、1カ月、1年……遠距離恋愛にもほどがある!

 中々届かないメールを待ちきれなくなったノボルは自分も宇宙を目指す。そして24歳になったノボルに8年半ぶりの、15歳のミカコからのメールが届く……。

 南北に分断された日本を背景にした『雲のむこう、約束の場所』(2004年)は、蝦夷の中心にそびえたつ巨大な塔に憧れる青森の中学3年生、藤沢浩紀と白川拓也は自作の飛行機が完成したら塔まで飛んでいく計画を密かに立てていた。それがクラスメイトの沢渡佐由理に発覚。仲間になった彼女も塔まで一緒に行こうという約束をするが、突如佐由里は二人の前から姿を消す。佐由里を失ったことで二人の夢はなくなり、拓也は反政府組織に身を投じ、浩紀は過去を捨て去り東京で一人寂しく暮らしていた。

 佐由里は原因不明の病で眠り続けていた。どんなに会いたくても夢の世界にいる佐由里には会えない。彼女を目覚めさせるには塔まで彼女を連れていくしかないが、彼女が目覚めることはこの世界の崩壊を意味していた。

 また、「桜の花びらが舞い散る速度」を現した『秒速5センチメートル』(2007年)はこれまでの作品のよう、にSFではなく現実世界の男女の遠距離恋愛を現した。小学生の遠野貴樹と篠原明里は互いに惹かれ合っていたが小学校卒業の時に明里は栃木へ転校。二人は文通でやり取りをするようになる。中学生になった貴樹が鹿児島へ転校することなり、こんなに離れたら一生会えなくなってしまうと思った貴樹は栃木の岩船町に住む明里と会う約束をする。

 3月4日、岩船まで数時間かかる電車に乗った貴樹だが、折しも関東を大雪が襲い、電車を乗り換える度に降雪で停車させられ、時間がただ過ぎてゆく。携帯電話を持ってない二人(時代はPHSが登場する1995年)は連絡もできない。目的地についたのは終電間際の夜中。こんな時間まで待っているはずないと思った待合室に明里はいた。

 鹿児島に行った貴樹はようやく普及し始めた携帯のメールで明里をやり取りをする日々を送る。携帯電話はどんなに離れていても二人の距離を一瞬で縮める。もう電車の遅延で何時間も待たされなくていい。思いはすぐに伝わる。しかし二人の想いは延々とすれ違い続けるのだった。

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