『天間荘の三姉妹』周りを変えていく、天真爛漫なのんの唯一無二の魅力
#のん #ヒナタカ
繊細で複雑な役を体現した門脇麦と大島優子
天真爛漫で朗らかなのんとの対比となる、ちょっと毒づきがちな門脇麦と、貫禄があるようで“至らなさ”が見透かされる大島優子も、これ以上のないハマり役だった。
門脇麦演じるイルカのトレーラーは「昔から責任とか役目とか大好きだよね。なんか可哀想」と、姉である大島優子をなじったりするドライな人物にも思えるが、実際は家族や恋人との関係をとても気にする繊細さも併せ持っている。
大島優子も見た目こそ実年齢以上に“若女将”っぽい貫禄のある出立ちだが、実は毅然と振る舞うだけでいっぱいいっぱい、まだまだ未熟であることが冒頭の「妹と会う前に笑顔をなんとか作ろうする」様や、その後の客それぞれのやり取りから大いに伝わる。
さらに、事あるごとにキツい物言いをしていた女将の寺島しのぶ、不満を並べる客の三田佳子、人間不信に陥っていた少女の山谷花純なども、強い印象を残す。高慢で不遜な印象もある彼女たちが、次第にのん演じる主人公と打ち解けていく様や、ツッコミとボケが織りなす漫才のような掛け合いにもニヤニヤできる。
やはり、本作の大きな魅力はのんというその人の魅力と、彼女によって周りの人たちが少しずつ変わっていくことに説得力があることだ。2022年9月1日より公開されていた、さかなクンの半生をのん主演で映画化した『さかなのこ』も同様の面白さがあり、「この役をやれるのはのんしかいない」と思えるほどだったので、のんはやはり唯一無二の俳優という印象を新たにできた。
ちなみに本作にはCGなどいっさいなしの、本物のイルカが登場するシーンがあり、のんと門脇麦は何度もイルカトレーニングの特訓を積み、ハードな撮影に備えていたという。その「本物」のイルカのショーの迫力と、のんと門脇麦とのイルカの「共演」も楽しんでほしい。
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