『KOC』と『M-1』のはざまで若手が火花を散らす「ラフターナイト」全組レビュー
#お笑い #TPの芸人礼賛
――お笑い大好きプロデューサー・たかはし(TP)が見た、芸人たちの“実像”をつづる。
リスナー投票型の芸人発掘ラジオ『マイナビラフターナイト』(TBSラジオ)の「第8回チャンピオンLIVE」が10月15日に行われ、サスペンダーズが優勝。「TBSラジオ冠特別番組の出演権」と「優勝賞金100万円」をゲットした。僕は幸運なことに現地で観戦することができたのだが、この大会はつくづく「とんでもない賞レース」だと思う。
もちろんニューヨーク、空気階段、真空ジェシカ、オズワルドなど歴代優勝者が豪華で、出世が確約された賞レースだから、ということもあるが、それだとほかの賞レースとそこまで変わらない。僕が思う「とんでもない」理由は、その出場者の決め方である。
「ラフターナイト」は毎月約40組によるライブを行い、審査で毎週5組程度の芸人が選ばれてネタが放送される。そこから「リスナー投票+再生回数+番組審査員のポイント」を総合して「今週の1番」を決定し、さらにその月の「今週の1番」の中から「月間チャンピオン」を決定し、その「月間チャンピオン」が集って年に1回「チャンピオンLIVE」が開催され、その年の優勝者を決定する。つまり1年かけて賞レースをやっているのだ。
ほかの賞レースは基本的に準決勝があって決勝という流れの中で一斉に決勝進出者が決まるため、ある程度バランスの取れたメンツになることが多い。ただ『ラフターナイト』は前述のとおり毎月のチャンピオンが自動的にチャンピオンLIVEに出場する仕組みなので、バランスを考えているとは到底思えない猛者たちが集結する。現に今大会もMCを務めた山里亮太さんも指摘していたように「顔ファンがいないメンツ」「ガチすぎる」顔ぶれとなった。さらに漫才もコントもピンも性別も制限がないので、「チャンピオンLIVE」は実質その年の「関東若手芸人No.1決定戦」といっても過言ではない。
例に漏れず先日の「第8回チャンピオンLIVE」もその様相を呈していた。
僕は「ラフターナイト」を今よりさらに権威ある賞レースにするべく、『M-1』や『キングオブコント』でよく見る「全組振り返り」を敢行する。『キングオブコント』のときも書いたように、僕は評論も採点もせずただ全組褒めちぎるだけ。面白みがないかもしれないが「そういう時代」だと思って大目に見てほしい。
【1】きしたかの
YouTubeやネット番組で高野さんのキレ芸が注目を集める中、ネタもノリに乗っていたし高野さんは相変わらずキレまくっていた。トップバッターなのに拍手笑いが少なくとも3回、信じられないウケ方。高野さんがキレたら拍手笑いが起こる、キレたら拍手笑いってなんだよ、すごすぎる。
【2】パンプキンポテトフライ
めちゃくちゃ面白かったし、ひょろ長の谷さんと小粒坊主の山名さんのシルエットは大きいステージに映える映える。ただ後日会ったときに本人たちも言っていたけど「順番」がツイてなかった。逆を言うとトップのきしたかのがあれだけ荒らした中でちゃんと自分たちの空気に持ち込んで漫才をやっていたのはスゴい。『M-1グランプリ2019』ミルクボーイの後のオズワルドを見ているようだった。あと谷さんがエンディングで「セックスかよ!」というツッコミを炸裂させていて、あぁやっぱこの人やばいなと思った。
【3】ママタルト
安定の面白さ、絶対に生で観たほうが面白いコンビ。檜原さんの長いツッコミセリフを会場全員で聞き逃さないように静かにしている時間がとても心地よくて、ラフターナイトはお客さんの質も最高なんだというのがわかった。
【4】シシガシラ
伝家の宝刀「ハゲ」をほぼ封印したネタで大爆笑をとっててとてもカッコよかった。でも「とはいえずっとハゲてる」という状態に気づくとさらに面白くて最高。きしたかの高野さん・ママタルト肥満さん・シシガシラ脇田さん・ゲストの錦鯉長谷川さんが並んで「ハゲは派手なスーツ着がち」という法則を山里さんにイジられててめちゃくちゃ面白かった。
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