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長渕剛「外国人に土地売るな」発言、中国人問題と掻き立てるメディアの過ち

温暖化の影響で世界のスキー場の雪が溶ける!?噂でニセコが人気に

 90年代にニセコの自然に魅せられたオーストラリア人たちは、移住しコンドミニアムなどレジャー施設の建設を始める。2000年代になると本国のスキーヤーたちにも噂が回り、さらに人気が高まっていく。オーストラリアは日本と季節が真逆だ。オフシーズンに自国のスキーヤーたちが日本に来れば、一年中スキーを楽しむことができる。

 やがてアジアからも観光客が押し寄せるようになるのだが、さらなる転機のひとつとなったのは、ワールド・スキー・アワードなど国際的な賞の授賞だ。パウダースノーの素晴らしさに加え、積雪量などが注目の的となった。というのも今後、「欧米の有名なスキー場は温暖化により雪が溶けてしまい、存続すら危ぶまれるという話が、世界のスキーヤーの中ではまことしやかに語られ始めていた」(ニセコ付近の住人)からだ。

 スキーリゾートとしての国際的評価が上がるにつれて、外国人富裕層向けの施設やサービスが外国人によって提供されることも増え、年を追うごとにニセコに対する外国人の憧憬は加速していく。

ニセコ町の観光客入込状況~訪日外国人編~令和3年度(2021.4月~2022.3月)」(ニセコ町商工観光課より)

 つまり、ニセコ開発の原点に政治的な理由はなく、極めて文化的、経済的なものなのだ。

 仮にお金はないが、スキー好きの若者たちの感覚にベットする日本人投資家や企業がいれば、もしくは海外のスキーヤー・富裕層の感覚や行動原理を理解しアプローチできるビジネスマンがいれば、今のような状況にはなっていない。つまり、日本の良いところを理解し、発信し、利益に変えることができる日本人がいなかっただけの話だ。そこに土地取得の規制の緩さも加わり、現在のニセコの状況が生まれたというわけだ。

 では、北海道に外国資本が流入することは悪いことなのか。これもケースバイケースで精査されるべきではないだろうか。バブル崩壊後のニセコやその近辺の土地は、日本各地の過疎化した地域と同様、住人を除く大多数の日本人にとって価値も魅力もそれほどない土地だった。その日本人が見捨てた“死にゆく土地”に別の魅力を発見し、コンテンツ化したのが外国人だった、というわけである。マーケティングのためのアワードという権威をつくったのも外国人だ。

 そんな土地を法律に則って外国人が大金を払って買い、人流が生まれ、近隣の町の消費が増えるのであれば、住民や北海道全体にとってもメリットは少なくない。現在、スキーリゾートとして開発が進むニセコだが、夏場は自然豊かなレジャーリゾートとしても改めて売り出されている。施設、インフラ、レジャー関連のプラットフォームも増えているので、以前よりも集客の説得力が高い。今年の夏に現地を訪れると、キャンプやアウトドア、ゴルフなどを楽しむ日本人の大学生や家族連れも大勢いた。今後、ニセコのゲレンデの最寄りの街である倶知安町には新幹線が通る計画で、さらに人流や消費が生まれる見通しだ。

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