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日刊サイゾー トップ > カルチャー > 映画  > “人斬り抜刀斎”を演じきる佐藤健
今週の『金曜ロードショー』を楽しむための基礎知識㉛

『るろうに剣心 最終章 The Beginning』すさんだ“人斬り抜刀斎”を演じきる佐藤健の殺意

有村架純の物言わぬ演技で、原作以上の表現に!

 しかし山村の生活は幕府の隠密に監視されており、正体を隠した隠密が巴は幕府側の密偵で、証拠は巴の日記にあるという。その日記にはかつて、剣心が斬った清里が巴の婚約者であったこと、巴は復讐のために剣心に近づいたことが綴られていた。

 巴役の有村架純も佐藤健同様、感情を表に決して出さない演技で、婚約者を愛していたことから、復讐の道を選ぶが、平和を求めながら人を斬るという矛盾に苛まれながら、山村の暮らしで愛する女との小さな幸せのために生きようとする剣心に惹かれ、愛するようになってしまい、婚約者に詫びながら(それをセリフで表現せずに!)剣心の頬に十字の傷を入れるラストシーンは、原作よりも登場人物の感情の揺れ動きが強く表現されている。

 こういった「剣心と巴、二人の人間がそこに至るまでの感情の流れ」を強く印象付けようとした演出の数々は、原作通りの展開を望むファンに残念ながら受け入れられず本作は興行的に苦戦した上、厳しい批判の声が寄せられてしまった。

 しかし大友監督ら製作陣は原作漫画では表現されにくかった「そこに至るまでの感情」を実写ならではの演出で描こうとし、見事に果たされた。映画『るろうに剣心』を原作以上の魅力を感じられる作品として、10年に渡るシリーズの最期を締めくくったことは高く評価したい。

 

  

しばりやトーマス(映画ライター)

関西を中心に活動するフリーの映画面白コメンテイター。どうでもいい時事ネタを収集する企画「地下ニュースグランプリ」主催。

Twitter:@sivariyathomas

しばりやとーます

最終更新:2022/10/21 19:00
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