米津玄師「KICK BACK」記録的ヒットも…“元ネタ”モー娘。の「楽曲サブスク未解禁」問題
#モーニング娘。 #ハロプロ #米津玄師
米津の影響でモー娘。“元ネタ”曲のMV再生数が増加
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米津は「KICK BACK」において、この「努力 未来 A BEAUTIFUL STAR」をイントロ、間奏、アウトロで繰り返し口にしているほか、サビのキメのフレーズにもなっている。非常に重要な要素だ。「そうだ!We’re ALIVE」の生みの親であるつんく♂は、米津サイドから事前に使用許諾の申請が来ていたことを明かしており、曲が完成するまでどのように使用されるかもわからなかったものの「好きなようにやってもらえばいい。最終的に使わなかったらそれはそれ。作品というのはそういうもの」とOKを出し、完成品を聴いて「才能の塊というのは本当に恐ろしい」と、米津を絶賛している(つんく♂note「米津玄師氏の担当の方から連絡がありました。」より)
このことで、当然ながら“元ネタ”となったモーニング娘。「そうだ!We’re ALIVE」も脚光を浴びた。ここにきて公式YouTubeチャンネルで公開されている同曲のMVの再生回数が急増。9月19日に『チェンソーマン』の本予告映像が公開されると共に米津がオープニングテーマを担当することが明かされ、この予告映像の中で「KICK BACK」が初解禁となったが、それ以前は1日におよそ1000回程度が再生されていたのに対し、『チェンソーマン』本予告映像公開直後には1日で1万回が再生され、「KICK BACK」の音源リリース後は1日1.5万~2万回ペースで再生されている。これにより総再生回数は10月16日中に500万を突破。『チェンソーマン』本予告映像公開前は480万回ほどだったため、この1カ月で20年以上前の楽曲のMVが20万回も再生されたわけだ。
YouTubeのコメント欄でも「令和になってまた注目されて話題になるの嬉しいな」「まさか20年を経て、こんな形でこの曲が注目されるとは」「名曲がこうして形を変えつつ受け継がれていくのすごく良いなぁ」といったコメントが寄せられており、米津の「KICK BACK」によって「そうだ!We’re ALIVE」にふたたび注目が集まっていることがわかる。
それだけに、この楽曲がストリーミングで未解禁のままであることは惜しまれるところだ。デジタルダウンロードでの販売は行われているものの、たとえば「オリコン週間デジタルシングル(単曲)ランキング」の1位を獲得した楽曲のダウンロード数が1.5万ほどに留まるケースがあることを考えると、デジタルダウンロードで購入するという選択肢を取る層は非常に少ないと考えられる。
モーニング娘。にかぎらず、ハロー!プロジェクトのグループは、映像のサブスク配信こそ「U-NEXT」で行われているものの、音源については未解禁のままだ(厳密にいえば「ドコモdヒッツ」「auうたパス」にはある程度解放されているが、2020年のICT総研の調査を見ても、いずれのサービスも国内シェアはかなり小さいものと見られる――AKB48の柏木由紀が今年2月に「ハロー!プロジェクト様…。 お願いです…。何でもしますからサブスク解禁してくださいませんでしょうか…。」とツイートしていたことからも、その認知度の低さがうかがえるだろう)。
これはジャニーズ事務所に近いスタンスであり、収益面での懸念があるのだろうが、新譜はともかく、旧譜については解禁をしてもよいのではないだろうか。
たとえば「そうだ!We’re ALIVE」を音源で今聴きたいという場合、もっとも現実的なところで、2007年発売のベスト盤『モーニング娘。 ALL SINGLES COMPLETE ~10th ANNIVERSARY~』か、まったくアレンジは変わっているものの2013年発売の『The Best! ~Updated モーニング娘。~』のCDを購入もしくはレンタルするか、あるいは楽曲をダウンロード購入するか、「ドコモdヒッツ」「auうたパス」に加入するかだろう。CDプレイヤーがなければ前者の選択肢は存在しないに等しく、後者も前述の状況からすると、よほどでなければ行動に踏み切る人は少なそうだ。手軽に聴くとなると、YouTubeでMVを観るくらいになる。
加えて言うならば、今年結成25周年を迎えるモーニング娘。は、数々のヒットを生み、現在のアイドル業界に多大な影響を及ぼしたアイコンだ。2018年には『関ジャム 完全燃SHOW』(テレビ朝日系)で「ハロプロ20周年特集」が放送されたこともあった。2021年にはハロプロの熱狂的ファンを描いた映画『あの頃。』が公開されたことも記憶に新しい。来年1月にはつんく♂の楽曲を解説するムック本『つんく♂COMPLETE SONG BOOK~つんく♂楽曲を全部集めちゃいました~』(CDジャーナル)も発売予定だが、定額制聴き放題のサービスで配信されていない楽曲が大半となれば、その偉業を振り返ることのできる分母も残念ながら限られてくるのではないだろうか。結成25周年というタイミングでかつてのヒットが再注目されているという絶好の機会だけに、事務所にはもう少しだけ柔軟な姿勢を期待したいものだ。
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