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日本版『ゴット・タレント』の賞金は海外より見劣りするのはなぜか? 賞金1000万の壁

審査員がタレントだけになったのはabemaの戦略?

 だがもし海外の雰囲気に合わせ、番組自体のバリューを出すのであれば、メジャーな人物では無いとしても、ある分野では一流と呼ばれる人たちを審査員に据えるべきだ。その方が多角的に物事をとらえることができ、審査される側も納得のいく結果出るはず。

 ただこれは、日本人が海外の人たちと同じくらいエンターテイメントに精通しており、オペラをすこぶる上手に歌う一般職に就いている冴えないおじさんをスタンディングオベーションして、称賛できる場合に限る。もしそうでない場合、審査員だけ本格的にすると視聴者とのギャップが生じてしまうのだ。

 想像してほしい。どこかの山奥で農家を営んでいるおじさんが登場し、超絶上手い演歌を歌ったとしよう。果たして視聴者やお客さんは共通して、そのおじさんを称賛し感動するかどうか。たぶん全員が共感し称賛するのは難しいだろう。それが今の日本人のエンターテイメント性であり、それこそがこの日本版ゴットタレントの核になるのだ。

 そして僕が思うにこの「ジャパンズ ゴット タレント」は、老若男女問わず楽しめる番組というのを端から狙っていないのではないだろうか?

 それは放送媒体がABEMAであるところから推測できる。正直、ABEMAを見ているのは中年層以下が大半だろう。

 高齢層にとってABEMAは視聴しづらくハードルが高い。なので元々「ジャパンズ ゴット タレント」は高齢層をターゲットにしていないと言える。

 となると、高齢層に馴染み深い演歌や歌舞伎、能などの古き良き日本の文化は優勝しづらい大会となる。もちろんカメラワークなどのテクニカルな部分や、その人物の生い立ちなどで、若年層を中心とした視聴者の心を掴む可能性はある。

 しかし優勝となると話は別だ。中年層以下にアドバンテージがある歌やダンス、年齢が関係ないマジックやお笑いが優勝する可能性が高いだろう。日本版ゴットタレントはエンターテイメントに偏りが出るとなり、他国のゴットタレントとは一線を画すことになる。

 日本でもファンが多いオーディション番組「ゴット タレント」の待ちに待った日本版だけにハードルは相当上がっているが、いま持っている「ゴット タレント」の賞金や影響力という固定観念を捨てたとき、「SASUKE」や「マネーの虎」のように世界中にファンを持つ日本のバラエティ番組が根幹に流れている「ジャパンズ ゴット タレント」は、他国のゴットタレントとはまた一味、違う日本ならではのオリジナル番組として成立するのではないだろうか。

 そしてお笑い界におけるM-1グランプリやキングオブコントのように、エンターテイメント界の救世主コンテンツとなることを期待している。

 

 

檜山 豊(元お笑いコンビ・ホームチーム)

1996年お笑いコンビ「ホーム・チーム」を結成。NHK『爆笑オンエアバトル』には、ゴールドバトラーに認定された。 また、役者として『人にやさしく』(フジテレビ系)や映画『雨あがる』などに出演。2010年にコンビを解散しその後、 演劇集団「チームギンクラ」を結成。現在は舞台の脚本や番組の企画などのほか、お笑い芸人のネタ見せなども行っている。 また、企業向けセミナーで講師なども務めている。

Twitter:@@hiyama_yutaka

【劇団チーム・ギンクラ】

ひやまゆたか

最終更新:2022/10/21 12:00
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