野沢直子、発想と生き方がパンクすぎる彼女の今も残る“系譜”
#テレビ #証言者バラエティ アンタウォッチマン!
10月11日放送『証言者バラエティ アンタウォッチマン!』(テレビ朝日系)が特集したのは、レジェンド女性芸人である野沢直子。日本の芸能活動を休止し、単身渡米した年にちなみ、今回のタイトルは「1991年の野沢直子」だ。
#ロンドンハーツ の後は#アンタウォッチマン?‼️#野沢直子 SPです㊙️❣️
是非みてー‼️‼️‼️?♀️ pic.twitter.com/L9pxhw98Oo— 【公式】証言者バラエティ アンタウォッチマン!@neta_sand) October 11, 2022
毎年、日本へ出稼ぎに来るのはもう少し早い時期だった野沢。サマーシーズンでは、『ごきげんよう』(フジテレビ系)や『メレンゲの気持ち』(日本テレビ系)に出演するのが常だった。芸能界の“夏の風物詩”といえば、野沢と兵藤ゆき、そして稲川淳二である。今年は書籍『老いてきたけど、まぁ~いっか。』(ダイヤモンド社)出版のタイミングに合わせ、秋シーズンの帰国となったのかもしれない。
なぜ、野沢の所属事務所である吉本興業は、こんなに野沢を厚遇するのか? それは、彼女が吉本の東京進出の功労者だからだ。『アンタウォッチマン』で特集するほど、今も野沢に世のニーズがあるかは疑問だが、熱心な『夢で逢えたら』(フジテレビ系)視聴者にあたる40代以上の男女には、思い入れの深いタレントである。
それにしても、昨今は円安だ。テレビ局のギャランティーも安くなった。実は、この時代において野沢が行う出稼ぎは、最も割に合わない働き方なのでは? 思えば、たまに日本に戻ってきてテレビ出演するスタイルを作ったのは野沢と大橋巨泉だった。
吉本興業の東京開拓とともに全国区になっていった野沢
まず番組は、野沢の芸能史を振り返った。
91年に日本での芸能活動を休止し、ニューヨークへ飛んだ野沢。当時、彼女は最強の女性芸人だった。どんな例えが適当だろうか。今で言う、YOUの上位互換? フワちゃんタイプのはしり? いろいろな形容の仕方があると思うが、もしもあのまま彼女が日本にいたら、後に出てきた久本雅美や松本明子らがあそこまでポジションを確保できたかは議論の分かれるところだ。
それでいて、テレビだけでなくサブカルチャー方面にも影響力を持っていたのは強い。特に、甲本ヒロトと交際していた事実がまぶしい。あまりにお似合いの2人だったため、かつて筆者もある同人誌で「甲本ヒロト&野沢直子は日本のシド&ナンシー」という原稿を書いたほど、思い入れは強い。
84年、叔父で声優の野沢那智(映画『ダイ・ハード』や『コブラ』の吹き替えで有名)の紹介で吉本入りを果たした野沢。まさに、同事務所が東京に進出し始めのタイミングだった。
当時、彼女は東京吉本唯一の女性芸人だったが、それ以前に、大阪→東京という動線を辿らず吉本に所属した最初のタレントでもあったと思う。ゴリゴリに東京の匂いがしていたにもかかわらず、「吉本興業所属」だという事実に物凄い違和感を覚えたのは、当時ならではの感覚だ。
デビュー後、なんと3カ月でレギュラー番組を獲得した野沢。当時は、芸能界のヒエラルキーも今ほど上がつかえていなかった。若くして売れっ子になる芸人も少なくなかったのだが、だとしても3カ月というロケットスタートはすごい。
その後、『クイズ世界はSHOW by ショーバイ!!』(日本テレビ系)のレギュラーになると、共演者であるジャイアント馬場のことを“ジャイアント”呼ばわりしたり、ビートたけしやとんねるず、ダウンタウンなど多くの芸人と派閥の壁を超えて上質な絡みを彼女は展開していった。
そして、デビュー3年目には早くも『笑っていいとも』(フジテレビ系)のレギュラーに収まっている。これには、からくりがある。『いいとも』を手掛けたプロデューサー・横澤彪の懐刀だった星野淳一郎が『夢逢え』のディレクターだったため、同番組のメンバー全員が『いいとも』のレギュラーになれるという構造があったのだ。
とにかく、野沢は瞬く間に全国区となった。当時の彼女についてコメントするのは、『ビートたけしのお笑いウルトラクイズ』(日本テレビ系)で野沢をアシスタントに起用した“天才ディレクター”伊藤輝夫ことテリー伊藤だ。
「野沢は垢抜けていた。それまでのお笑い芸人の人たちって、どこか小屋の匂いがしたりね。彼女は吉本でしょ? でも、そんな匂いはしない。小屋にいる雰囲気じゃないじゃないですか。例えば、吉本の劇場で育ってきているような感じじゃない。所ジョージさんもそういうところあるでしょ? そういう意味でいうと、お笑い新人類っぽい匂いはしましたね」(伊藤)
テリーは、所と野沢について“小屋の匂いがしない人”と称した。そんな彼女のテレビ初出演は、所が司会を務める『ドバドバ大爆弾』(テレビ東京系)だった事実は因縁を感じる。
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