稲田豊史の「さよならシネマ 〜この映画のココだけ言いたい〜」
『もっと超越した所へ。』反ジェンダーフリーなどんでん返しと主題歌がaikoの意味
2022/10/16 07:00
#稲田豊史 #さよならシネマ
聞き分けのいいオンナノコ
映画本編の出した結論が、びっくりするほど反ジェンダーフリーである(ように見える)こと。その映画の主題歌が、前時代的なオンナノコ性のニーズを満たし続けるaikoであること。ここに逆張り的な批評性の香りを察知するのは、穿(うが)ちすぎだろうか。
果たして彼女たち4人は、心の底から自由意志で「マリア様」になろうとしたのだろうか? マリア様になることが、あるいは「聞き分けのいいオンナノコ」としてふるまうことが、この日本社会では、総合的には結局もっとも苦痛を味わわないで済むのだと理解したうえで、ただ受け入れただけなのでは?
社会を変革するより自分の意識を変革したほうが、つまり「超越した所」に身を置くほうが、よっぽどカロリーを使わない、よっぽど現実的な解決策であると、彼女たちは気づいたのだろうか。
ラストシーンは解釈に迷う。これはハッピーエンドなのか、「ハッピーエンド然」としているだけなのか。
ものすごいものを投げかけられた気分だ。考えることがあまりに多い。
最終更新:2022/10/26 12:59
サイゾー人気記事ランキングすべて見る
2:20更新
イチオシ記事
現役ヤクザも視聴する78歳の元山口組顧問弁護士・山之内幸夫が「アウトロー系YouTuber」に大転身した驚愕の理由