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『覆面D』放送スタート記念ロングインタビュー

関口メンディー×武知海青×上野勇希(DDTプロレス)──アーティストとプロレスの化学反応

上野選手の大流血試合に乱入したくなった武知

──上野選手は『覆面D』のほかに『信長未満-転生光秀が倒せない-』(テレビ神奈川・10月25日放送開始)にも出演されるなど、お芝居の仕事が続いています。俳優業がプロレスに生きている部分もありますか?

上野 ドラマ撮影では監督さんが僕に何を求めているのか常に意識しています。プロレスでは、自分は発信する側だと思っているので、むしろ「こう見てほしい」というふうな佇まいを自分から伝えられるように努めているんです。求められることに対してアンテナを張って受信する力は、お芝居をすることでより身についているんじゃないかと思います。

──なるほど。お芝居はより“受け”の作業が大事ということですね。ちなみに、関口さんと武知さんは上野選手の試合を実際に観戦したことはありますか?

関口 僕はまだ行けてないんですよね。海青は見に行ったんだよね?

武知 上野さんが血だらけになる試合を会場で見てたんですよ! むちゃくちゃかっこよかったです!

──佐々木大輔選手と対戦した日(6月19日・後楽園ホール)ですね。

上野 あのときはもう本当に貧血になるぐらい血が出て、3日間ぐらいぼ~っとしてました。 

武知 信じられないくらい出てましたよ!「救急車呼ばないの?」って思いましたもん。声は出しちゃいけなかったんですけど、興奮して席から立ち上がってしまいました。なんならハオウで乱入しようかと思ったくらいです(笑)。

上野 助けに来てもらえばよかったなぁ(笑)。

DDT・高木大社長からの猛烈ラブコール

──上野選手も両名のプロレスラーとしてのポテンシャルは十分に感じているわけですしね。

上野 そうですね。若手時代というのは、プロレスラーになろうという一生懸命さが良さだったりしますが、お二人はそれを1歩も2歩も超えていると思います。フィジカルはもちろん満点なんですけど、どれだけ運動神経がよくても戦うところに気持ちがついてこないと、いいレスラーにはなれないんです。でも、今日お話をしていても、その気持ちや考え方の部分でも、いいレスラーになる条件がバッチリ整ってるなと改めて思いました。

関口 まじっすか!?  うれしいです。 

──DDTの高木大社長(編註:高木三四郎。CyberFight代表取締役社長。『覆面D』では大地大輔が所属するプロレス団体・BBT社長役として出演)からも、ラブコールを送られていましたよね。 

関口 はい。めちゃくちゃ(笑) 。

上野 高木さんはお誘い上手なんで(笑)。でも、二人の動きを見たレスラーはみんな「プロレスやってほしい!」と言ってますよ。だから、ドラマを見た人もたぶんみんな言うと思うんです。もちろん、撮影技術のおかげで試合のシーンのクオリティも映像としてすごいと思うんですけど、まず実際に二人がすごいんだよ! っていうのは僕から視聴者の方に伝えたいですね。

武知 めちゃめちゃうれしい。お墨付きですね。 

上野 誰が何と言おうと、完全にすごいです。 

妥協をしない二人の熱意がレスラーたちに伝染した

武知 でも、プロレスのシーンはカットがかかるまでの間だけでもすごい大変だったんですよ。あれを試合中ずっとやっていると考えたら、プロレスラーの人たちはちょっとすごすぎますよ。

上野 試合中はアドレナリンが出てますから(笑)。ただ、何回も同じことをやってたらちょっと落ちてくるもんなんですよ。僕がすごいと思ったのは、練習のときからクオリティを上げ続けていくことなんです。僕としては「見映えも良いし、まあできてるよね」くらいでいいんじゃないかと思ってたけど、二人とも妥協しないんですよね。例えば、ドロップキックをしたら受け身を取らないといけないんですけど、自分の全体重の衝撃が毎回かかるわけで、慣れないうちは痛いはずなんですよ。それでも「ちょっと違うな」と思ったら二人とも何度もやり直すんです。痛いはずなのにクオリティをもっともっとって上げていくのが、本当に素晴らしいなと思いました。

関口 えー、うれしいです。

──現場のレスラーの方が二人の熱意に当てられるような状況に?

上野 当てられましたねぇ。二人とも背が高くて跳躍力もあるから、現場で指導してる側からも「こっちのやり方のほうがかっこいいんじゃない?」ってどんどんアイデアが出てきて。それをメンディーさんも武知さんも受け止めてくれて、熱意を持って返してくれるから、すごく楽しかったです。

武知 本当、楽しかったですね。 

関口 アイデアを実践できたとき、みんながめっちゃ喜んでくれるから、それがうれしくて頑張っちゃうみたいな。 

上野 それがいい循環になってましたよね。「まだいける!」「もっといける!」みたいな。

エキストラのマダムたちを沸かせた上野選手のお尻

──撮影に参加されたDDTのレスラーの方々は上野選手をはじめ20代~30代前半の選手も多く、Jr.EXILE世代に近いと思います。普段は別の分野で戦っている同世代の人と触れることで得た刺激はありましたか?

関口 僕は、撮影現場での上野さんのスター感がめちゃくちゃ勉強になりました。試合のシーンは観客席にエキストラの方々がいるんですけど、練習がてらにと技を見せて沸かせたりしていて、そういったサービス精神がすごくスターだなと思いました。

上野 いやいやいや(照)。現場自体がすごく楽しかったんで、テンションが上がってただけだと思いますよ。僕は結構塩というか、サービス精神まったく旺盛じゃないので、そう言われて驚いてるくらいです。

関口 本当ですか? あと、エキストラのマダムたちも上野さんのプリっとしたお尻にめっちゃ沸いてましたよ(笑)。 

上野 そこは、喜んでくれる層がいましたね(笑) 。

関口 僕らとはまた違う、スーパーマンみたいな体つきですから。

ダンスパフォーマーとレスラーの筋肉談義

──関口さんは、インスタライブでも上野選手のお尻を褒めていましたよね。 

関口 もう、お尻ですよ。このお尻欲しいですもん。 

上野 お二人こそ肉体がすごいですよ。メンディーさんは特に大胸筋。僕は筋肉が好きなので、これで腕が太くなったらメンディーさん完璧だなとか想像したり、海青さんは腹斜筋がすごいなとか、そういう話を撮影中もしてましたよね。

関口 でも、やっぱりプロレスラーの方の身体は分厚いんですよね。

武知 分厚いです! 僕はトップレスラーの役をいただいたので、初めて上野さんのレスラー姿を見たときに「うわー、俺、負けてるわ」と思ったんですよ。その頃、ちょうど筋肉のカットを出すために減量してたんですけど、厚みを出さないとレスラーとして弱く見えるなと思って、思いっきり食べて3キロぐらい増やしたんです。 

関口 そうだったんだ! 確かに最初に比べて変わっていたかも。 

武知 撮影的におかしくならないように、後半につれてでかくなるように、地道に調整しました。

上野 メンディーさんは完全にメキシコのルチャリブレの選手の体なんですよ。今すぐメキシコに行っても(レスラーでないことが)バレないレベルだと思います。特に覆面Dはマスクマンなので、リングサイドで「本物やん(笑)」ってニヤニヤしながら見てました。 

関口 あと上野さんには、「寝技上手そう」とも言われましたよね。 

上野 そうそう! 手が大きいから、寝技やったら逃げられんぞって。「上手そう」って褒めたらやってくれへんかなと思って言ってみました(笑)。武知さんも基本的にはメンディーさんと同じタイプなので、寝技に向いてると思います。高身長で跳躍力もあって、関節技が上手そう。5年ぐらいウエイトトレーニングがっつりやったらもうプロレスラーですよ。 

メンディー&武知の対戦相手は竹下か小嶋か!?

──お二人が実際のリングに上がる機会があったらいいですね。

上野 タケ(竹下幸之介)と試合してほしいですね。体も大きくて、187センチで100キロちょっとある。めちゃ強いし雰囲気もあるんですけど、二人ならそのオーラにもたぶん負けないんじゃないかと思って。

関口 マジっすか? 

上野 これぞレスラーという選手とやってほしいんですよ。たぶん見劣りしないだろうし、それでこそちゃんとこの二人のポテンシャルが伝わるだろうなって。逆に相手が小嶋とかだと、持て余しちゃうと思うんですよね(笑)。

──ちなみに、小嶋選手も練習では重要なポジションだったと聞きました。

上野 はい。むしろ小嶋こそ全ての練習に参加してますから。

関口 小嶋さんがいなかったら、僕らこんなに練習できてなかったと思います。 

上野 「小嶋なんで、思いっきり行ってください」って言って。

関口 はい(笑)。本当に小嶋さんじゃなかったら思いきりいけなかったです。小嶋さんは「大丈夫ですよ~」って雰囲気を出してくれるので、めっちゃありがたかったです。今まで人に技をかけたことがなかったから、やっぱり怖さがあったので。

武知 小嶋さんはすごく独特な方ですよね。 

上野 あのキャラクターだからこそ確実に僕たちの架け橋にはなってくれてましたね。小嶋がいることで、一気に仲良くなれるので。 

武知 確かにそれはあります(笑)。

吹き替え一切なし! 覆面レスラーなのに!!

──ドラマ『覆面D』の見どころを聞かせてください。

関口 ドラマの物語自体はリアルな高校生たちが抱えている社会問題をテーマにしています。僕もこの作品に触れるまであまり知りませんでしたが、作品を通してそういった問題を知ることができますし、そのために何ができるかという議論のきっかけにもなると思うので、社会に届ける意味がある作品だと思っています。プロレスシーンは吹き替えなしで、今回はすべて自分でやったので、そこも推しポイントです。しっかり撮り切ることができたので、僕もこれからは「日本のトム・クルーズ」と言っていこうかなと思っています(笑)。

上野 危険なシーンもあるので、本当はもっと僕らに吹き替えなどをやらせてほしかったんですよ。でも、実際に二人がやると言うからには僕らも全力でサポートしました。で、バッチリやり切れちゃうんだから、本当にすごかったですね。

関口 しかも覆面レスラーですからね。吹き替えでもバレないのに、実際にやっているところも面白いなと思います。

武知 プロレスのシーンではシングルマッチもあればタッグマッチもありますし、いろいろな人とも対戦しているので、選手ごとのカラーだったり、そのカラーがぶつかり合ったときの美しさみたいなものも感じ取ってほしいですね。

ダンスが苦手なところも上野の魅力!?

──今回はアーティストのお二人がプロレスの世界に飛び込んだというお話を聞かせていただきましたが、逆にプロレスラーの上野選手からアーティストの両名に聞きたいことってありますか? 

関口 なんでも聞いてください!

上野 うーん、なんやろな……。

──上野選手もたまに試合中に踊ったりすることがありますよね。そのあたりでアドバイスをもらうとか?

上野 ダンスに関してはもう諦めてるしな……苦手なものは苦手なんで(苦笑)。

関口 いや、運動神経は確実にいいはずなので、できるよね? 

武知 できると思います! しかもダンスのいいところは型がないことなんですよ。基本的にはその人が思うままに踊れば、それはダンスです。すべてが正解なんですよ。 

上野 今の聞きました? すべてが正解なんですよ! それが上手かろうが、下手かろうが。 

──ちなみに上野さんのダンスって見たことありますか?

関口・武知 ないです。 

──記事中に貼っておきますね。披露した瞬間に会場がザワついてました。

上野 まあ、人には向き不向きがありますから……。メンディーさんと武知さんがプロレスに向いていたというだけの話で(笑)。

関口 でも、そうなるとダンスを上手くしてしまうのもったいない気もします。このビジュアルでダンスが踊れませんというのも、上野さんの魅力ですよ。

──GENERATIONSやTHE RAMPAGEのライブを観れば、吸収できるものがあるかもしれませんよ。

上野 いや、もう僕のダンスの話はいいんですよ……。でも、プロレスを一緒にやれたし、僕の試合も見てくださったので、ぜひお二人のステージは見に行きたいですね。プロレスでこれだけすごいんだから、本業はどれだけすごいんだって話で、それはもう楽しみです。

関口・武知 ぜひ!

写真=石田寛

<番組情報>
ABEMAオリジナル連続ドラマ『覆面D』

 主人公の大地大輔(だいち・だいすけ)は、熱血教師を夢見て高校の教鞭を執るも、生徒の自殺によって自身の持つ“理想の教師像”に悩むようになる。そんなとき、あることをきっかけにプロレス団体・BBTにスカウトされ、“学校には絶対バレてはいけないこと”を条件に、覆面レスラー・覆面Dとして活動することになり……。現代の高校生たちが直面している社会問題と、それに向き合い続ける教師を描く、完全オリジナルストーリー。

初回放送日:2022年10月15日(土)夜10時~
番組URL: https://abema.tv/video/title/90-1705
企画:脚本:鈴木おさむ
原案:EXILE HIRO 藤田晋
制作プロダクション:ROBOT
製作著作:AbemaTV

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森野広明(ライター)

1980年生まれ、東京都出身。出版社勤務、週刊誌記者を経てフリーランスのライター、編集をやっています。主に雑誌やWEBでインタビューやコラム記事を執筆。エンタメ大好き。ものまね大好き。サウナによくいきます。チャーハンをよく食べます。

もりのひろあき

最終更新:2022/10/18 16:36
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