ビスケットブラザーズ、 生理的に無理でも強制的に笑わせる暴れぶり!全ネタレビュー
#檜山豊 #KOC2022を語ろう
7番手は『コットン』のお二人。
2021年にラフレクランから改名したこのコンビも、ファーストステージを見事勝ち上がりファイナルステージへと駒を進めた。
ちなみに今までいくつかお二人のネタを見たことがあるが、イメージとしては西村さんがオーソドックスな演技と漫才よりの正統派ツッコミの印象、そしてきょんさんが女性の役でも学生の役でも大げさに表現せず自然とそう見せることが出来る憑依タイプのボケという印象だ。
しかしどれも最近のネタではない。最新のコットンはどのくらい進化しているのかとても楽しみだった。
ファーストステージのネタは、浮気の証拠を隠滅するという架空の職業を題材にしたもの。浮気をしてしまった西村さんの元に浮気証拠バスターのきょんさんがやってくるのだが、一見そのキャラクターが男性か女性かわからない。しかしネタが進むにつれて明らかに女性であることがわかる。
ちなみにセリフ自体が大げさに女性らしくしているわけではなく、いたって普通のセリフなのだが、きょんさんの言い回し、なめらかな仕草で中年の女性ということが理解できるのだ。まさに演技力でキャラを憑依させるタイプのお手本と言っていいだろう。
正直、破壊力のあるボケは最後の最後にしか見受けられなかったが、平均70点くらいのボケをきょんさんのキャラ設定とセリフの抑揚で90点くらいに見せていた。これは長い年月をかけて培った、コットンらしさと言ったところだろう。
台本上のボケは面白くなくてもいい。舞台上で芸人が発したときに面白いボケになれば何の問題もないのだ。軽快なテンポで絶え間なく笑いを起こし見事ファイナルステージへ。
ファイナルステージはお見合いというネタ。西村さんが堅苦しいお見合いになっているので、リラックスしてお互いを知ろうという提案をする。すると清楚な女性のきょんさんが、タバコを吸い始めるのだ。このタバコを吸うというのがこのコントの主軸となるボケなのだが、コットンさんの凄いところはきょんさんのキャラクターがタバコに合わせて粗雑になったり、おじさんのようになったりするわけではなく、清楚なキャラクターのままタバコを吸うのだ。
普通のコント師ならボケを中心に流れを作るので。キャラがブレてしまうときがあるが、キャラを憑依させているからこそブレずに進行することができる。ファーストステージよりファイナルステージの方がより強くそれを感じることができ、このネタこそまさにコットンの真骨頂ネタと言えるのではないだろうか。
2つのネタを通して思ったことなのだが、コットンさんのネタは完成度は高い。しかし設定もストーリーもまとまり過ぎていて、もう少しふざけてほしくなる。ネタ中に本人たちがタガを外して楽しむ瞬間があれば、ボケは爆発的な力を持つ。今のコットンさんに設定のオリジナリティと、生の笑いを足すことが出来れば鬼に金棒だ。
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